CADデータをHoloLensに取り込んで見てみよう - 3D Fab|新しいデザイン、ものづくりを紐解く

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CADデータをHoloLensに取り込んで見てみよう

近年、Oculus VRやHTC ViveなどからVRデバイスが次々に発売され、MicrosoftからはARデバイスであるHoloLensが開発者版ながら発売が開始されています。これらのデバイスの活用を考えている方も多いと思います。

本記事では、これらVR/ARデバイスが3Dモデルに関わる方々の、どんな役に立つのかということを紹介していきます。

3DモデルをVR/ARデバイスで表示する

最初は3DモデルのVR/ARデバイス内での表示を考えてみます。今まではディスプレイという2次元の平面で3次元のデータを作るという作業だったものが、3次元の空間で3次元のデータを確認しながら作業できるようになります。

私はMicrosoftのKinectという人や空間を3次元的に認識できるセンサー用のアプリを開発する機会が多かったのですが、Kinectの入力は3次元に対して、出力がディスプレイという平面しかないことがもったいないと感じていました。3次元の入力を3次元のままで出力できれば、もっと違った見え方が出てくるのではないかと考えていました。それがVRやARのデバイスを使うことで、3次元での出力が可能になってきました。

例えば、3Dモデルのモデリング作業で、実際に3Dプリントや製作してみないとわからないようなもの、立体物でのレビューなどが、これらのデバイスを使ってできるようになると考えています。3Dプリント含め、物理的な出力にはとても時間がかかります。VR/ARデバイスへ3Dデータをインポートして見るには数分ですみます。もちろん、実物ではないので今までと全く同じというわけにはいきませんが、作業工程の途中ではかなり効率的にトライ&エラーやフィードバックをもらう機会を作れると考えています。

VR/ARデバイスで3Dモデルを見るもう一つのメリットは、3Dモデルが実寸で表示されるということです。VR/ARデバイスで作られる仮想空間は、1単位が現実世界の1mに相当しています(Unityで開発する場合)。この空間に3Dモデルを入れると、その大きさで表示されます。さらに、モデルは空間に固定されるので、自分が動き回れば、3Dモデルを様々な方向から見ることができます。これによって、VRデバイスであれば大きなモデルをいれてスケール感を見る、ARデバイスであれば実空間に配置して実際のイメージを描くといったことが挙げられます。

例えば、下記のような1m四方の机をHoloLensに取り込むと、その大きさ(1m四方)で表示されます。

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直径1m四方の机モデルを作成する

実際にHoloLensで表示すると下図のようになります。マットが1枚60cm四方なので、おおよそのサイズ感がわかると思います。スクリーンショットではモデルが一回り小さくなってしまいますが、実機では実寸で表示されています。

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机モデルをHoloLensで表示する

これは自社内にとどまらず、客先でも利用できるでしょう。モデリングした3Dモデルをお客様に見てもらう時にも、平面のディスプレイで大きさの感覚もわからない状況よりも、実物大で3次元的に、多方面から見られる方がより的確なフィードバックがもらえます。

もう少し身近な例を考えると、家具などの配置がまずは思いつきます。カタログを見ながら家具を配置し、大きさや色を変えながら自分の好みに合った家具を選ぶ。そうすれば購入後にイメージと違ったというようなことも減るでしょう。

他にも空間上に点を配置すればその点の間の距離が測れます。これで寸法が測れるので、たとえば壁紙の購入時にどのくらいの長さが必要か、ペンキを塗るときにどのくらいの量が必要か。慣れていなくても間違いが少なくなるでしょう。

3Dデータについて

筆者がVR/ARデバイスのアプリを開発するときはUnityというゲームエンジンを使うので、それをもとにしていますが、Unityは標準でFBXやOBJなどの3Dモデル形式の読み込みはサポートしていますが、CADデータの読み込みはサポートしていません。これらのCADデータをUnityで使用する場合には、「Unity CAD Importer」を使用します。

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Unity CAD Importer

別途ライセンスの購入が必要にはなりますが、Fusion 360を含む様々なCAD/CAMツールデータが出力するIGESやSTEP、STLファイルの読み込みができるようになり、3Dデータ活用の幅が広がります。

先の机モデルはFusion 360からIGESで出力し、Unity CAD Importerで変換処理後に表示しています。

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Fusion 360 からIGES形式などで出力する

これを応用することで、ブラウザやFusion 360からCADデータをクラウドにアップし、それをHoloLens上で見ることができます。それを「AR CAD Cloud」として現在開発を進めています。これら一連の流れをより簡単に使えるようにしています。

既にあるCADデータ資産をVR/ARデバイスに取り込むことで、いつでも実寸大のデータを持ち運べることになります。実寸で見られるカタログとでもいいましょうか。

特にHoloLensはAR認識で有名なVuforiaとの連携もできます。先の家具の例で考えると、VR/ARデバイス内にカタログを持っていて、従来の紙のカタログをマーカーとして認識して、その家具のモデルを出す。そして家の間取りで実際に試す。そんなこともすでにできる状況にあります。

まとめ

このようにVR/ARデバイスはゲーム以外の、普段の仕事や生活の中で役に立つ、今までにない特徴を持っています。普段の生活の中に入ってくるにはもう少し時間がかかりそうですが、3Dにかかわる仕事をしている方には今から使えるアイデアもあるでしょう。

VR/ARデバイスが普及すると、使用用途、開発に使うリソース(例えばメニュー要素が2Dテクスチャのから3Dモデルになっていく)も含めて3Dデータの需要が今まで以上に増えてきます。日常から使っていくことで、これらデバイスの普及が進むことを願っています。

寄稿者 中村 薫

個人事業主としてKinectなどDepthセンサーに関するソフトウェアの開発や講演などを行っている。HoloLensはWave1で初期(2016年5月)に入手でき、それ以降すっかりHoloLensにシフトしてしまった。
Natural Software / TMCN Technical Evangelist
Microsoft MVP for Kinect for Windows

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