3Dプリンターから生まれた小さな二足歩行ロボット「PLEN2」はどんな未来を連れてくる? - 3D Fab|新しいデザイン、ものづくりを紐解く

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3Dプリンターから生まれた小さな二足歩行ロボット「PLEN2」はどんな未来を連れてくる?

Fusion 360の活用事例を紹介するこちらのコーナー。 第5回目は、株式会社プレンプロジェクトの小型二足歩行ロボット「PLEN2」を取り上げます。

大阪に本社を構える株式会社プレンプロジェクトは2004年に社内プロジェクトとして立ち上がり、2006年8月に机の上で楽しめる本格小型二足歩行ロボット「PLEN」を発売しました。2015年には新型の「PLEN2」のクラウドファンディングを開始し、2016年5月に本格発売が始まったことで大きな注目を集めています。今回は、プレンプロジェクト代表の赤澤夏郎氏にお話を伺いました。

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プレンプロジェクト代表の赤澤夏郎氏

小さなサイズになった二足歩行ロボット、公開データで組み立て可能

「PLENを開発した当時は、私たちのような小さいメーカーがものづくりをするというのは一般的ではなかったのですが、今はMaker的な文脈で、ものづくりをする文化があります。PLEN2は、そういう現在のものづくりの手法でもう一度、PLENを再設計したいということで始めました。機能的にもいろいろ進化していますが、まずサイズが小さくなったことが挙げられます。また、初代PLENは金属パーツでフレームを作って、それにプラスチックの外装を被せていましたが、PLEN2は3Dプリンターでフレームや外装を作ることを想定して設計されていますので、全てプラスチックで構成されています。フレームや外装などの3Dデータは全て公開されていますので、誰でもPLEN2を作ることができます。またマイコンボードも、独自のものから、Arduino互換のものに変わっています。そういうMaker的な要素が多数入っているということが、一番の特徴ですね」(赤澤氏)。

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左が初代PLEN、右がPLEN2。PLEN2は、サイズもより小さくなっている

赤澤氏には、机の上で気軽に動かせる二足歩行ロボットを実現したいという熱い想いがあり、そのサイズにはこだわってきました。

「ロボットの動きのプログラミングやティーチングを行う場合でも、ロボットが大きいと大変ですよね。それから、金属が剥き出しになっていないほうが安全ですし。ですから、我々は初代PLENのときから、部屋の中や机の上に置いても、主張が激しすぎず、違和感なく溶け込むデザインにしたいと思っています。サイズが大きくなると、どうしても主張も激しくなります。ですから、初代PLENも当時の技術としてはできるだけ小さくしましたし、今後、PLEN3とかPLEN4とかでは、さらに小さくしていこうと考えています。ロボットスマホ「ロボホン」の開発者である高橋智隆さんもおっしゃっているように、我々もロボットを胸のポケットに入れて持ち歩きたいという考えを持っています」(赤澤氏)。

クラウドファンディングが成功の決め手!新しいロボットづくり

PLEN2はアメリカの「Kickstarter」と日本の「Kibidango」の2つのクラウドファンディングでの資金調達に挑戦し、両方とも目標額を大きく超える資金調達に成功しました。日米のクラウドファンディングの違いについて、赤澤氏は次のように語りました。

「当初からクラウドファンディングでの資金調達を意識してプロジェクトをスタートさせました。2015年当時は、Kickstarterで人型ロボットのプロジェクトをやっているというのはかなり珍しく、同年アメリカで行われたイベント、サウス・バイ・サウスウエストに出展した際も、かなり注目されていました。アメリカのKickstarterでは、サーボモーターやマイコンボードだけを受け取り、外装などは自分で3Dプリンターを使って出力するというプランが人気だったのですが、日本のkibidangoではフルキットの方が、人気が高かったですね」(赤澤氏)。

プラスチック製の初期型ロボットに強度をプラス

PLEN2は初代PLENとは異なり、外装だけでなくフレームも全てプラスチックで構成されていることが特徴ですが、そうした設計は赤澤氏にとっても初めてのチャレンジであり、とても苦労したそうです。

「プロトタイピングは全てFDM方式の3Dプリンターでやっていましたので、テスト中にボキボキ壊れて大変でした。3Dプリンターの出力部品で、十分な強度を実現したり、正確な動きを可能にすることにすごく苦労しました」(赤澤氏)。

31_3.jpgのサムネイル画像これらのパーツは3Dプリンターで出力されたもので、強度の確保に苦労したという

新製品の制作、Fusion 360が大活躍

プレンプロジェクトでは、以前は3D CADとして「SolidWorks」を使っていましたが、PLEN2の開発の際にFusion 360を使い始め、現在開発中の新製品もFusion 360を使って設計を行っています。Fusion 360を使い始めたきっかけについて、赤澤氏に訊いてみました。

「以前はSolidWorksを使っていましたが、会社の体制が変わって、社員が増えたり、アルバイトの学生や海外からのインターンなども入ってきています。そういう設計ができる人たちは、大抵Fusion 360を使っています。PLEN2程度の設計だと、ものすごく多くの部品を扱ったり、ものすごく高い精度を要求されるわけではないので、SolidWorksではちょっとオーバースペックな部分もありました。それで、実験的な意味で一度SolidWorksを使って作ったPLEN2のデータを全てFusion 360で作り直したのですが、機能的には十分だと感じました。それで、現在開発中の新製品は全てFusion 360で設計しています」(赤澤氏)。

Fusion 360はクラウドベースの3D CADで、データを共有しやすいこともメリットの1つです。プレンプロジェクトでもそのメリットを活かして、マレーシアに帰ったインターンの学生も、同じチームとして設計を行っているとのことです。

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PLEN2設計中のFusion 360の画面

Fusion 360のレンダリング画像、資金集めのプレゼンに有効

Fusion 360は、モデリングだけでなく、レンダリングやシミュレーション、CAMなどの機能も備えた高機能な3D CADソフトですが、プレンプロジェクトでも、そうしたFusion 360ならではのレンダリング機能を資金集めのプレゼンテーションなどに活用しているそうです。

「Fusion 360のレンダリング画像は精度が高く、美しいので、お金を集めるための新製品のプレゼンテーション資料に使ったり、他社にアピールするために使ったりしています。CG作成にお金をかけなくても、説得力のある画像が得られて、反応も良かったので助かりました」(赤澤氏)。

PLEN2がアカデミック分野へ、教材になる日も近い?

プレンプロジェクトでは、PLEN2を使った、子ども向けワークショップやイベントなども積極的に行っています。実際にPLEN2を購入されるユーザーも、以前はホビーユーザーが多かったそうですが、現在は学校や研究機関などのアカデミックな分野での売れ行きが良いそうです。

「正直言って、教育現場に教材としてハードウェアをがっつり導入してもらうのはかなりハードルが高いんですよね。ただ、PLEN2は人型ロボットで、しかも、ものづくりからプログラミングまで段階的にカリキュラム化できうるものであるということは、客観的に見ても間違いないと思います。ですから、そうしたポテンシャルは十分持っていると自負していますので、ハードルは少々高いかもしれませんが、地道にやっていくことで、広がっていくと思っています。国内だけにこだわっていないことも特徴で、どんどん海外の学校や教育コンサルなどとの連携も行っていますので、今はちょっと我慢の時期ですが、必ず広がる時期はあると思っています」(赤澤氏)。

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