重要文化財をハックせよ!「北上ハックブツソン」開催レポート - 3D Fab|新しいデザイン、ものづくりを紐解く

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重要文化財をハックせよ!「北上ハックブツソン」開催レポート

博物館について、皆さんはどのようなイメージを持っていますか?恐竜、昆虫、乗り物、科学やテクノロジー等々、人それぞれ様々なイメージを持つのではないでしょうか。今回レポートするのは、博物館の収蔵品を題材に、2017年11月3・4日に岩手県北上市で開催された、「北上ハックブツソン」という2日間のイベントです。「北上ハックブツソン」とは、「岩手県北上市 × 博物館 × ハッカソン」の造語であり、北上市の歴史に縁のある文化財が収蔵展示されている北上市立博物館の貴重な収蔵品を3Dデータ化し、その3Dデータをオートデスク社の「Fusion 360」を活用し、重要文化財の新たな活用方法を模索するハッカソンイベントです。

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[第1部]スタート!

それでは、北上ハックブツソン1日目の【第1部】の様子をレポートしていきます。まずは、北上市立博物館の見学による歴史的背景のインプットから始まり、北上市立博物館収蔵品の3Dデータを元に「Fusion 360」の基本操作実習となるハンズオンが行われました。

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はじめに【第1部】会場の北上市立博物館を見学

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「Fusion 360」の基本操作ハンズオンの様子(講師:3Dワークス株式会社 大塚貴氏)

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ハック対象となる重要文化財の3Dデータ
[左上]青銅龍頭 / [中央上]青銅錫杖頭 / [右上]大竹廃寺跡出土鉄鐘
[左上]土器.01 / [中央下]土器.02 / [右下]鬼瓦

普段は眺めることしかできない重要文化財を、「Fusion 360」を使用して自由自在に変形・加工でき、3Dプリンターやレーザー加工機、切削装置等で手軽にアウトプットできてしまうことが「北上ハックブツソン」の醍醐味の一つです。さらには、協賛企業各社から提供された素材やツール、デバイスを活用しながら、成果物提示を2日間と限られた時間の中で目指します。

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ツールや素材、デバイスを手に取り確かめながらアイデアを膨らませていく参加者達

アイデアソンでは、「ブレインライティング」という手法を採用し、どんどんアイデアを白紙にアウトプットします。20分で1人16アイデアを絞り出したのち、参加者は自分が作りたいアイデアを1人1分間で発表します。

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ブレインライティングの様子

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様々なアイデアが次々と発表される

アイデア発表後、投票形式でのアイデア選考が行われます。そしてアイデアが5つに絞り込まれ、チームビルディングへ。チームビルディングでは、アイデア主が自信のアイデアを実現させるにあたり、必要なメンバーのリクルーティングを行います。リクルーティングされる側は、入りたいチームへ自分のアイデアを売り込みます。

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アイデア選考会では1人3票を、発表されたアイデアに投じていく

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選考された5アイデアを再度発表し、アイデアを実現するために必要な人材を募集する

チームビルディングが終了し、計5チームが作られたところで「第1部」が終了。軽くチーム毎にミーティングが行われ、会場は宿泊先となる『ふるさと体験館「北上」』へと移ります。2日間のハッカソンでは、この夜の時間帯が最も貴重な時間となります。「第2部」に備えるため、時間を惜しみながら参加者は徹夜で仕込み作業に追われます。

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宿泊先にも設けられた、ハッカースペース(宿泊場所:ふるさと体験館「北上」)

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夜遅くまで【第2部】への仕込みが続けられた

[第2部]スタート!

第2部は、会場を「いわてデジタルエンジニア育成センター」に移し、9:30〜17:00までひたすらハックします。とはいえ、8.5時間ではアイデアを100%の状態で実現させるには短すぎるため、どこまで作り込むべきか、どこを妥協すべきかを天秤にかけながら、チームワークで切り抜けていきます。「北上ハックブツソン」は作るだけではなく、最終的には、チーム毎にプロトタイプとなる成果物を提出し、その完成度や再現性、クオリティを競うことを目標とします。そのため、審査員へのチームプレゼンに備える時間も確保しながら、限られた時間の中でやることはたくさんあります。ただ、忙しく作業する、質の高さを目指す、そのようなことだけでなく、共通のチーム目標に対し楽しみながら作っていくことが、「ハッカソン」の最も大切とすべきことであるように感じます。

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【第2部】ハックタイムの様子

各チームの作品発表へ!

そして、タイムアップを迎えチームプレゼンによる作品発表へ移ります。チーム毎にまとめてご紹介していきましょう!

●チーム:Ryu`s

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傘の柄が「竜頭」の形をしていれば、自分の傘だとすぐに判別がつく。逆に、見分けがつかなくなった時が成功となるようだ。様々なギミックとアクションの搭載が想定されていて、誰もが欲しがる?仕様となる。

●チーム:土器ッチン「やよい」


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土器の形をした食器で、楽しみながら地産地消のおいしい食をいただける女性ならではの視点を活かした作品。カレーを食べ進めると、鬼瓦が出てくる発掘的要素も取り入れられ遊び心が伝わってくる。また、土器ッチン「やよい」の土器食器SHOPアプリ(ARアプリ)を使用することで、いつでもどこでも土器ッチン「やよい」で使用されている土器型食器が拡張現実で確認でき、通信販売で購入できることも視野に入れた隙のない作品。

● チーム:四足歩行竜頭土器だにゃ〜ん♡


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かわいらしいチーム名の割に、四体の竜頭が土器から激しく上下に動き顔を出しながら迫ってくる様は、特撮系の怪獣映画に出てきそうな迫力さえ感じてしまう。本来であれば四足歩行ロボットで再現予定であったが、限られた時間とクオリティーを天秤にかけ、四足歩行ロボットを諦め、タミヤの工作シリーズ「トラック&ホイールセット」を急遽購入し組み上げプレゼンに臨んだ。見事作品としてデモ実演まで成立させた判断は的確であり素晴らしい。チーム間のコミュニケーションが密にとれていたからこそ為し得た成果だ。博物館の案内を行うコンシェルジュロボとしてのアイデアと、北上市立博物館のイメージキャラクターとなる「土器ドキ子」も登場しとてもワクワクする作品となった。

●チーム:KTM48


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3D造形された鬼瓦と土器をシリコンに浸し型取し、ホットケーキミックスを使用し実際に鬼瓦と土器の形をした「鬼瓦まん」と「土器コーン」、「鉄鐘ケーキ」を作り成果提示された斬新な作品。コンセプトは、メイン作者である、高橋 哲さんの持ち味となる独特の世界観で、現代では鬼はもはやヒーローであるとの仮説の元、「鬼瓦まん」を食べれば、皆がヒーローの様に元気になれるという、北上市を応援する力強く美味しい作品となった。

●チーム:北上テラス


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家に帰ると人感センサー(MESH使用)より反応し、光りとアロマ的な良い香りを放ちながら主人についてくるかわいいロボット。LINEと連携することでお子さまの見守りロボとしての機能も見込んでいるようだ。まさに、縄文文化と先端テクノロジーが交錯し生まれた、北上市民を照らす土器型ロボットと言っても過言ではない。

いよいよ審査結果発表と授賞式!

●協賛企業賞


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  • [左上]ねるね賞(協賛:クラシエフーズ株式会社) / 受賞チーム:TKM48 / 賞品:ねるねと仲間達ぬいぐるみセット
  • [右上]タミヤ賞(協賛:株式会社タミヤ) / 受賞チーム:四足歩行竜頭土器だにゃ〜ん♡ / 賞品:カムプログラムロボット工作セット
  • [左下]イーヴァ賞(協賛:合同会社イーヴァ) / 受賞チーム:四足歩行竜頭土器だにゃ〜ん♡ / 賞品:新型「のせラジ」キット
  • [右下]MESH賞(協賛:ソニー株式会社 MESHプロジェクト) / 受賞チーム:北上テラス / 賞品:「MESH」スターターセット


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  • [左上]3Dワークス賞(協賛:3Dワークス株式会社) / 受賞チーム:四足歩行竜頭土器だにゃ〜ん♡ / 賞品:「Fusion 360」操作ガイド
  • [右上]オートデスク賞(協賛:オートデスク株式会社) / 受賞チーム:土器ッチン「やよい」 / 賞品:Fusion 360 Mastersガイド、Autodeskオフィシャルパーカー・Tシャツ・ロングTシャツ(いずれか1種)
  • [左下]北上市市長賞(協賛:北上市) / 受賞チーム:土器ッチン「やよい」 / 賞品:北上市お土産詰め合わせセット

●最優秀賞


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  • 最優秀賞(協賛:3Dプリンター株式会社) / 受賞チーム:土器ッチン「やよい」 / 賞品:YAYA 3Dペン [右]:岩手県北上市市長 髙橋 敏彦 氏

岩手県北上市初のハッカソンイベント開催となった、「北上ハックブツソン」は盛況のうちに終了となりました。これを機に、岩手県北上市では様々なテーマを掲げハッカソンイベントを開催していくとのことです。今回は「北上市立博物館の重要文化財をハックせよ!」をテーマに開催されました。次回は一体何をハックする指令を掲げられるのでしょうか?「北上ハックブツソン」へ参加された皆さま、本当にお疲れさまでした。また、岩手県北上市でお逢いしましょう!

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[主催]岩手県北上市
[共催]株式会社北上オフィスプラザ / 北上市教育委員会
[特別後援]ソフトバンク コマース&サービス株式会社 3D Fab / オートデスク株式会社
[協賛]合同会社イーヴァ / いわてデジタルエンジニア育成センター / オートデスク株式会社 / オーレーザー株式会社 / 北上市産業支援センター / クラシエフーズ株式会社 / 3Dワークス株式会社 / セメダイン株式会社 / 株式会社タミヤ / 合同会社デジタルハイク / 日本3Dプリンター株式会社 / ローム株式会社
[主管]株式会社ネクスメディア monofarm編集室