Fusion 360エヴァンジェリスト藤村祐爾氏が語る 「Fusion 360」の魅力と今後の展開について(前編) - 3D Fab|新しいデザイン、ものづくりを紐解く

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Fusion 360エヴァンジェリスト藤村祐爾氏が語る 「Fusion 360」の魅力と今後の展開について(前編)

オートデスク株式会社(以下、オートデスク)の藤村祐爾氏は、世界でも8人、アジアでは唯一のFusion 360エヴァンジェリストとして、日本全国を飛び回り、Fusion 360を広める活動を行っています。Fusion 360のプロ中のプロである藤村氏に、その魅力や今後の展開を前後編にわたってご紹介します。

一つのソフトで全てこなせることと、クラウド対応がFusion 360の魅力

−:藤村さまの略歴、Fusion 360との出会いについて教えて下さい。

藤村:私は18歳くらいのときに、父の仕事で渡米し、現地の高校、大学に進学、卒業後はニューヨークのオフィス家具メーカーで、工業デザイナーとして活動していました。学生時代にはオートデスクのAliasやSolidworksを学び、レンダリングソフトも、Image StudioやKeyShotなどに触れました。6年ほど前に日本に帰国した後も、仕事でSolidthinkingという、AliasやRhinocerosの様なサーフェスモデラーや、トポロジーオプティマイゼーションの解析ができるソフトも扱っていました。その後、オートデスクに転職して、工業デザイナー向け製品を企業さまに訪問して紹介する技術営業をしながら、セミナーなどでも講演したりしていました。そのかたわら、2年ほど前からFusion 360に触れ始め、昨年8月1日にFusion 360のエヴァンジェリストに任命されました。

−:藤村さまは各種3D CADや3D CG、解析ソフトなどの多くの経験を持つプロフェッショナルですが、その藤村さまから見た、Fusion 360のアドバンテージは何でしょうか? 

藤村:私はもともと工業デザインをやっていたので、作業の行程に合わせてさまざまなソフトを使用するのですが、苦戦した部分が多々ありました。例えば、コンセプトデザインを詰めていく際に、形が決まってない段階で色や形状を操作しながら確認できるような柔軟性が欲しかったのですが、3D CADはまだまだ対応できるものがありませんでした。

しかし、Fusion 360は、ハイブリッドモデリング対応で、その柔軟性を担保しつつ、図面も書け、レンダリングも実はShowCaseと同じエンジンが入っていたりするなど、コンセプトデザインから、最終的な設計までハイパフォーマンスを発揮してくれることを実感し驚きました。

−:Fusion 360の大きなメリットとして、クラウド対応ということがあげられます。逆にデータをクラウド上に保存することに対して、セキュリティを心配する企業もあると思いますが、そのあたりはいかがですか?

藤村:おっしゃる通りで、クラウドに対応していることも大きな強みです。データの共有の迅速化だけでなく、ネットがつながっており、Fusion 360が作業できるPC環境があれば、どこでも作業できるようになりました。Fusion 360はクラウドベースといわせていただいていますが、クラウド上にデータをアップすることに不安をお持ちの方に向けて、クラウドに接続せずオフラインでもご利用いただけます。例えば、中国では、政府の規制によってクラウドが使用できないのですが、Fusion 360を購入していただき、「クラウドが使えないというデメリットを差し引いても、Fusion 360が単純に3D CADとして優れているから購入した」というご意見もお聞きしております、

−:クラウドのセキュリティについて、Fusion 360ではどのような対策がなされているのでしょうか。

藤村:当然、クラウドのセキュリティや信頼性も万全です。3つのサーバーが相互に監視をしていますので、今まで一度もサーバーが落ちたことがありません。データやユーザー情報もすべて暗号化されています。もしそれでも心配ということであれば、データをローカルに保存することもできます。従来の3D CADと同じような使い方もできるということですね。ただ、その場合は、クラウドレンダリングなどのメリットは享受できませんが、モデリング機能に制限がかかるわけではないではございません。

企業ユーザーはこれから増えていく段階

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−:Fusion 360は、どういうユーザーに多く使われているのでしょうか? オートデスクのほうで想定されているユーザー層はどのようなものでしょうか?

藤村:ユーザー層は、企業ユーザー、個人またはスタートアップユーザー、学生さんや大学などの教育分野の3つに大別できると思っています。Fusion 360が市場に出てからまだそれほど経っていないので、今、大部分を占めるのは、学生さんかスタートアップだと考えております。先行しているアメリカですと、購入されて使っている企業ユーザーもずいぶん増えています。日本では、まさに企業ユーザーがこれから増えていく段階だと思いますし、実際に目の前でそうした事例を見ております。

−:日本の企業にも受け入れられていくという手応えを感じていらっしゃるんですよね。

藤村:はい、先日関西でセミナーを行いましたが、これならFusion 360でいけそうだという反応を企業さまから多数いただきました。通常、企業さまへの紹介では、どうしても現在使っているツールとの比較になるのですが、私がお伝えしているのは、Fusion 360を、あくまで使っているツールと合わせてご利用いただくことです。例えば、モデリングは別の3D CADでやって、レンダリング、CAM、シミュレーションをFusion 360で作業するなど、オールインワンという特性を活かして導入していただければとお伝えしています。

SNSで起こりつつあるFusion 360の波

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−:Fusion 360のユーザーやコミュニティの反応はいかがですか? AutoCADなどの高価な3D CADとは違うとか、そういう感触はありますか?

藤村:無料のソフトはいくつかある中で、Fusion 360がそれらとは違うのは、個人利用(※)や、学生なら有償版とあまり遜色なくソフトがトライアルで利用できるという点です。このインパクトの大きさをソーシャルメディア関係の反響で確認でき、TwitterやFacebook上のコメントを確認できた中で、「個人利用は無料なのに、こんなこともできるの」などのお褒めの言葉など、9割がたはポジティブなコメントをいただきました。私が今まで担当していた製品ではこんなことはなかったので、驚いています。

企業さまにFusion 360を紹介したときも、年間300ドルという価格とスペックのギャップから、「こんなにできるのに、こんなに安価なの」と驚かれ、同時に、導入する際のリスクが低さを実感され、「これができるんだったら、うちでちょっと買ってみよう」とご相談いただいております。

初めて3D CADを触る人でも1日あれば基本的な機能はマスターできる

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−:初めての3D CADがFusion 360だという方も多いと思いますが、早く上達するためにはどうしたらいいでしょうか?

藤村:やはり、セミナーやワークショップなどで講師から直接学べると早く上達できると思います。自身の課題に対して、すぐに質問でき、一つ一つのステップを解説してくれます。近くでセミナーする機会や時間がない方は、チュートリアル動画を見ていただくとイメージしやすいと思います。

初めて3D CAD自体に触る方なら、私のセミナーに参加していただければ、3Dとは何かという基本的な話から始めたりしています。マンツーマンで私がレッスンさせていただいたら、初めての方でも1時間や2時間で、スマートフォンのケースをモデリングするところまでいけると思います。簡単な形状を作るのであれば、しっかり1日とっていただいて、ワークショップに参加したり、動画や書籍やきちんと自習していただければ、大抵の方はなにがしかの形状を作るまでは可能になると思いますね。

後編では、Fusion 360のおすすめ機能や今後の進化についてお話していただきます。

(※)個人利用や学生が無償版を利用する場合、条件がございます。詳細はコチラをご覧ください。

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