コスプレ造形師が『好き』を『仕事』につなげた原点とは? - 3D Fab|新しいデザイン、ものづくりを紐解く

3D Fab

コスプレ造形師が『好き』を『仕事』につなげた原点とは?

Fusion 360の活用事例を紹介するこちらのコーナー。 第7回目は、コスプレ造形師として活躍し、コスプレ関連のモノづくり紹介イベント「CosFAB」の主催者である西村大(Dai)氏を取り上げます。

西村氏は、システムエンジニア、WEBデザインを仕事としながら趣味の範囲で舞台美術造形をしていて、衣装や特殊メイク、装飾、小道具などを作っていました。3Dプリンターに出会ったことで価値観が一変。以来、デジタル工作機の「現場での実用」をメインに創作を続け、3Dプリンターを使ったモノづくりを一般の人にも楽しんでもらえる『STARTUP CAFE KOZA』の1部で2016年に設立された『OKINAWA MIRAI FACTORY』の管理人を務め、沖縄のモノづくりベンチャー事業として、新製品開発のプロトタイピングから少量生産のサポートもしています。そんな西村氏にお話を伺いました。

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コスプレ造形師、また、野良プロダクトデザイナーである西村大(Dai)氏

趣味のコスプレ衣装制作が、3Dプリンターと出会ってビジネスに!

趣味の舞台美術造形から、コスプレ衣装を中心に手作りで制作していた西村氏。特殊メイクを学ぶ学校に通った際、「ハリウッドで造形に3Dプリンターの利用が流行り始めた」と聞き、「これはコスプレに使える!」と直感で購入。独学で勉強し、自身の創作活動に取り入れました。また、その魅力をもっと世の中の人に知ってもらおうと、モノづくりの文化を広める活動にも積極的に取り組み、『ファブラボ関内』の立ち上げなどに携わりました。

しかし、なかなか活動の手応えを得られず、場所やサービスが整備されていても、「そもそも『作りたいモノ』がないと、人はいきなり何かを作ったりはしない」という壁に当たったのです。 普及させるために悩んでいたところ、ある時、「自分の作品に興味を持ってくれているコスプレイヤーは、自身で作りたいものがある!」と、西村氏は気づきました。作りたいものがあるなら、手法を学ぶ目的意識やモチベーションも高いと考え、コスプレイヤー達のサポート活動を行うことになりました。

そんな活動をする中、西村氏に大きな転機が訪れます。Autodeskの人達と出会いです。3Dプリンターを使ったコスプレイベント「CosFAB」の開催は、彼らとモノづくりに対して意気投合したことから生まれました。今の西村氏のビジネスチャンスとなったのです。

「これまでも私の作品は、趣味とはいえ評判はよく、販売することもありましたが、1人で何個も同じ物を作るのは大変で、よく依頼を断っていました。3Dプリンターならボタン1つで造形できますし、需要があるのは分かっていたので、導入に踏み切りました。しかし、3Dプリンターによる制作を始めた当時、どのソフトも高価で選択肢がありません。そこで、まず123D Designを使い、その後Fusion 360へ移行しました。」(西村氏)

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実際に操作しながらFusion 360の気に入っているところを説明

トライ&エラーを繰り返す・・・しかし、デジタル修正なら簡単!

使い始めた当初、技術面で苦労した西村氏。3D CGデータのままではうまく3Dプリントで造形できなかったため、きれいな出力を実現するために、Fusion 360上のデータで形状を研究し尽くしました。

「Herreriaで販売しているミニ八卦炉は、モデリングを13回やり直しています。13回と言っても、やったことは13回数字を変えてボタンを押しただけです。Fusion 360と3Dプリンターの場合、数字の設定でしかありません。1mmでだめなら0.5mmでやってみる、というレベルの話にすぎません。製造ノウハウを習得する苦労は、特殊メイク技術を覚えるよりはるかに楽です。手作業だと失敗は最初からやり直しですが、デジタルにはCtrl+Z(戻る)やCtrl+S(保存)がありますから。」(西村氏)

さらに、Fusion 360の利便性について、3D CADの流れを汲みプロユースの設計作業がすべてできる点について言及しています。

「3D CG用ソフトですと、物理的に成形不可能な物体を画面で作れてしまいますが、Fusion 360は、3Dプリントできない物は作れない仕様ですし、データも簡単にチェックできます。また、画面上で粘土をこねるように造形する機能もユニークで面白いのですが、私は図面を引いて作っていくタイプなので、数字で指定できる機能を多用します。加えて、ネットワークを介したコラボレーション機能も魅力です。例えば、LEDで光る巻物を使った電飾コスプレは、日本各地のメンバーによるグループ制作で、Fusion 360はこのような共同作業がやりやすくなっています。」(西村氏)

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完成まで13回モデリングし直したというミニ八卦炉

西村氏がFusion 360を使ってデザインを手がけた電飾コスプレ

もっとモノづくりのハードルを低くするために、動画を活用してほしい!

今後の自身の活動について、西村氏はさまざまな人が気軽にものづくりできるようなきっかけづくりに取り組んでいくことを語っています。

「CosFABや海外イベントも魅力的だと思いますが、もっとモノづくりへのハードルを下げていきたいですね。ただ、人を集めるイベントは、継続的に開催するとなると困難です。目的がないと、「凄い」で終わってしまい、メリットがあまりありません。イベント内で制作のノウハウを伝えるにしても、お金がかかります。それに対し、ニコニコ動画やYouTubeなら、何回も動画を見てもらえます。映像では、作品だけでなく作り方も紹介しているので、この動画をきっかけに作る人が増え、サポートの依頼が増えれば良いと思っています。目的のある人は、動画を見てどんどん自分でトライして欲しいですね。」(西村氏)

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ニコニコ動画で制作紹介動画が多数公開されている。一覧はコチラ

勉強の素材はネット上にあり、無料で始められる!

独学でここまで来た西村氏は、3D CADの習得、また3Dプリンティングしやすい環境が世の中に普及しつつあることを実感しています。しかし、それでも、上達のコツは"苦労して試してみる"ことを強調しています。

「今はSNS経由でプロになることもできます。ハンドクラフト系ECサービスも増え、個人のプロダクト販売も容易です。アカデミックな道を通った経験のない私ですら、売れる物を作れています。しかし、とにかく、自分自身で苦労しないと覚えられません。自腹を切って3Dプリンターなどを買えば、元を取りたいと思いますよね。私は、壊れる直前まで何度もトライし、壊したら自分で直して再びトライしてきました。失敗したら失敗したでいいと思います。勉強の素材はネットにありますし、Fusion 360は無料から使えるので、ちゅうちょせず実際に挑戦してもらえたらと思います。」(西村氏)

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