Fusion 360が実現した、アルミニウム削り出しフレーム採用の美しいブリーフケース - 3D Fab|新しいデザイン、ものづくりを紐解く

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Fusion 360が実現した、アルミニウム削り出しフレーム採用の美しいブリーフケース

Fusion 360の活用事例を紹介するこちらのコーナー。第13回目は、Fusion 360を活用して、アルミニウム削り出しフレームを採用したブリーフケース「Briefcase」を開発したBLAUのCreative Director 橋本荘一朗氏に、お話を伺いました。

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BLAU Creative Director 橋本荘一朗氏

3D図面がなく工場で門前払いをされた

橋本氏は、約4年前までイベント企画会社の代表として、さまざまなイベントの運営を行ってきましたが、昔からものづくりに憧れており、その夢を実現するためにBLAUを設立しました。橋本氏が最初に作ろうと考えたのが、ビジネスマンがよく持っているブリーフケースでした。

「ある時、東京のオフィス街を歩いていて、気になったんですよね。ヘアスタイルもスーツもビシッときまっているビジネスマンの持っている鞄がダサいと。例えば、ナイロン製のマチが厚い3Wayビジネスバックとかね。それなら、僕が世界で一番美しいブリーフケースを作ってみようと思いました。」(橋本氏)

橋本氏はまず、素材を決めました。男性が好きな素材といえば、「金属」と「革」と「木」です。橋本氏は、鞄のフレームをアルミで作って、その表面に本革を張れば、クールでカッコイイ鞄に仕上がるに違いないと考え、スケッチブックに何度もイラストをスケッチし、Illustratorを使ってスケッチを書き起こし、そのイラストを持って金属加工を行っている町工場に行ったのですが、全く相手にしてくれませんでした。それはCADの図面がなかったからです。

「CAD図面がないと話にならないといわれて、ガッカリしました。」(橋本氏)

一度は挫折したが、Fusion 360と出会い3D CADをマスター

そこで橋本氏は、無料の3D CADソフトを探し、Amazonでその解説本を購入して3D CADに挑戦しましたが、あえなく挫折したそうです。

「2ヶ月間頑張りましたが、四角い弁当箱がかけるようになった程度で、全く使いものになりませんでした」(橋本氏)

その後、橋本氏は3D CADの達人である沼田士司氏に出会い、自分が考えたブリーフケースのモックを見せて、それを図面化してもらうことになりました。ただ、自分でも3D CADを扱えないと沼田氏とのやりとりに不便なので、他にいい3D CADがないかと探しているときに、Fusion 360を見つけました。

「私が会員になっていたTechShopで、Fusion 360の講習会があったんですね。ごく初歩向けのやつでしたが、今まで僕が使っていた3D CADに比べて、Fusion 360はインターフェースがとてもわかりやすかったです。スカルプトも直感的に使えるので、頭の中のイメージを表現するのにとても便利でした。」

Fusion 360にのめり込んだ橋本氏は、Fusion 360の解説本を全て購入し、メーカズラブ主催のFusion 360の講習会に参加するなどして、Fusion 360を使いこなせるようになりました。

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Fusion 360でデザインしたBriefcaseのフレーム。軽量化のために、肉抜きを行っている

全く新しいロック機構を開発

3D図面が用意できたことで、Briefcaseの開発は本格的にスタートしましたが、特に苦労したのは新しいロック機構の開発でした。普通のブリーフケースやスーツケースで使われているような引っかけて止めるラッチは、美しくないと橋本氏は考えていました。そこで思いついたのが、ノブを回してロックを開閉する機構です。

「高級オーディオで使われているアルミ削り出しのボリュームノブを見たときに、これだ!とひらめきました。」(橋本氏)

これまでになかった機構の開発にはとても苦労したそうですが、試行錯誤を繰り返し、円盤が回転してロックを行う機構が完成しました。

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鞄のロック機構にこだわった

その後も、革の張り付けで問題が生じたり、さまざまな苦労を重ねて、ついに美しいブリーフケース「Briefcase」が完成したのです。

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完成したブリーフケース「Briefcase」。アルミと革のコントラストが非常に美しい

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Briefcaseはハンドルのデザインも美しく、持ったときの感触もいい

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ヒンジにもこだわり、どの角度でも固定できるようになっている

Fusion 360によってものづくりの可能性が広がりました

橋本氏は、Fusion 360を使えるようになって、趣味の分野でも、ものづくりを行っているそうです。

「子供用のぬいぐるみの中にサーボモーターを仕込んで、動かすロボットを作りました。そのフレームもすべてFusion 360で設計しました。」(橋本氏)

Fusion 360と出会ったことで、ものづくりの可能性が大きく広がったと、橋本氏は語ります。

「第一次産業革命や第二次産業革命では、ものを作れる人って、お金を持っている人とか、工場を持ってるとか、そういう人に限られていたわけですよね。アイデアを持っていても、メーカーにはなれない。でも、今は、誰でも使えるFusion 360があり、3Dプリンターもあります。この2つがあれば、誰でもメーカーになれるという、第四次産業革命といってもいいくらいだと僕は思います。」(橋本氏)

次の製品としてバックパックや電動自転車を開発中

BLAUの今後の展開としては、まず、背中に背負うバックパックを開発しているそうです。バックパックは流行っていますが、ビジネスマンはやはり3Wayのナイロンバッグを使っている人が多く、かっこ悪いと思ったそうです。

「ABS樹脂で作る予定で、今までにないデザインと機構を備えたバックパックになります。スーツやジャケットにもあうデザインを考えました。2018年1月の販売を目指しています。」(橋本氏)

さらに、全く新しい自転車も開発中とのことです。その自転車も今までにないデザインのものになるようです。

「日本では電動アシスト自転車として、海外ではeバイクとして販売しようと思っています。スポークもチェーンもなくて、シャフトドライブを採用します。2018年中に原寸大のモックアップを作って、東京オリンピックまでには販売したいと考えています。」(橋本氏)

もちろん、BLAUが開発中のバックパックや自転車も、Fusion 360を活用して設計されています。

また、橋本氏らはBLAUとは別に、MAKERS DESIGN株式会社という会社を設立し、格安で3D CAD図面作製を行うサービスを開始しています。一般的な価格の約半額で気軽に利用できるので、ものづくりに興味がある人や3D CAD図面がない古い製品をまた作りたいというメーカーにとっては、とてもありがたいサービスといえるでしょう。

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左からBLAU専務取締役 橋本拓哉氏、BLAU Creative Director 橋本荘一朗氏、monoproの沼田士司氏

なお、本文中でご紹介したBriefcaseの製作記はBLAUのWebサイト内にあるブログに詳しく書かれています。

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