「世界に一台しかない車」をFusion 360で設計 - 3D Fab|新しいデザイン、ものづくりを紐解く

3D Fab

「世界に一台しかない車」をFusion 360で設計

3D CADソフト『Fusion 360(フュージョン・スリーシックスティ)』の活用事例を紹介するこちらのコーナー。第19回は、救急車や消防車など特装車のメーカーである株式会社野口自動車で、Fusion 360を活用した設計に取り組んでいる武澤真幸氏にお話を伺いました。

Fusion 360なら完成車のシミュレーションも可能に

株式会社野口自動車は、幌馬車の時代から数え、100年以上の歴史を誇る老舗の特装車メーカーです。特装車とは、市販の自動車をベースとして、特定の用途や目的のために、ボディの改造や装備の追加などを施した車のこと。代表的な特装車としては、救急車や消防車、食品販売車などがあります。小さい頃から車が好きだった武澤真幸氏は、自動車整備の専門学校を卒業後、野口自動車に入社しました。

「最初は現場で板金などの仕事をしていたのですが、2009年に当時の設計課長に『設計をやってみないか』と声をかけられ、異動に。そして設計を始めました」(武澤氏)

特装車の製作は、お客さまから「このような特装車を作ってほしい」という依頼を受けることから始まります。そしてまず、その依頼を実際の車として実現できるか、法規的な面と技術的な面から検討を開始するのですが、この時に便利なのが、Fusion 360の重量計算の機能だと武澤氏は言います。

「例えば車体を35度傾けても倒れないか、またタイヤにどれくらいの重量がかかるのかなど、全体の設計をしながらで検討・確認するのですが、その際、Fusion 360ならパーツごとで重量計算もできるので、設計途中でのシミュレーションがとても楽です。このパーツだと重いからこちらに変えてみようとか、構造を変更して重量を減らそうといったことが簡単にでき、いろいろと試した結果も一目で分かります。この機能がなかったら自分で計算をしなくてはいけないので、Fusion 360を使うことで、作業時間はかなり短くなっていると思います」(武澤氏)

そして検討の結果、問題がないことが分かれば、受注。いよいよFusion 360で自動車の各パーツの設計にとりかかります。そして、実際の製作設計に入ってから車両が完成するまでは、3カ月程度だそうです。

「世界に一台しかない車」をFusion 360で設計野口自動車戸塚工場の作業場の様子

Fusion 360の導入で設計効率が向上

野口自動車では、年間に1500台くらいの車両の改造を手がけていますが、その中から、車の一部のパーツを取り替えるだけなどといった軽架装のものを除くと、設計を必要とする特装車は年間数十台。武澤氏は、そのうちの半分ほどの設計に関わっています。そのような武澤氏がFusion 360を設計に導入したのは2016年のことで、それ以前は、2D CADのみで設計していました。

「今は、最初からFusion 360を使って設計をしています。最終段階では2D CADも使っていますが、それは完成した3Dデータを2Dの図面にして、現場や協力会社に渡すためです」(武澤氏)

Fusion 360の導入のメリットはいくつもありますが、その中でも特に役立っているのが、先に紹介した動きのシミュレーションや、干渉チェック機能だそうです。

「軸が1つの簡単な動きなら3D CADがなくてもなんとかなりますが、2つ以上の軸で構成される複雑な動きの場合、平面の図面を見ているだけでは分かりづらいのです。そのため、実際に作って動かしてみると、パーツ同士が干渉してうまく動作しない、などということが起こります。ですからFusion 360の導入で、パーツを実際に作る前に他と干渉しないかを3Dでチェックできるのは非常に助かっています。作業効率が向上し、より短期間で車両を製作できるようになりました」(武澤氏)

また、3Dモデルを見れば実車に近いイメージをつかめるので、お客さまからの評価も高いようです。

「レンダリングは綺麗ですし、デカールなども貼れます。3Dモデルをお客さまに見てもらうと、実際にどのような車になるのか分かるので『この部分をこうしたい』などの要望を直接聞くことができ、コミュニケーションも良好になりますね」(武澤氏)

「世界に一台しかない車」をFusion 360で設計Fusion 360で設計した小児用救急搬送車(ドクターカー)

「世界に一台しかない車」をFusion 360で設計ステップ部分は畳めるようになっている

「世界に一台しかない車」をFusion 360で設計ステップ部分を畳んでいる途中。このようにFusion 360を使えば、動きのシミュレーションが可能

「世界に一台しかない車」をFusion 360で設計完成した小児用救急搬送車

「世界に一台しかない車」をFusion 360で設計小児用救急搬送車の内部。天井部に担架を固定する機構もFusion 360によって設計されている

業界全体でFusion 360を盛り上げていきたい

武澤氏は、特装車設計の魅力を次のように語りました。

「特装車は基本的にオーダーメイドなので、世界に一台しかない車を作るわけです。ですから、自分の作った車はすぐに『これだ!』と分かります。自分が手がけた特装車が活躍して、ネットやニュースで紹介されることも結構ありますが、そういうのを目にすると嬉しいですね」(武澤氏)

武澤氏は今後、Fusion 360を社内や社外にもっと広めていきたいと考えているそうです。

「お客様にも3D CGが分かりやすいと好評ですが、この業界では、3D CADを使っている会社は、まだ多くはありません。しかし、2Dの図面だけでは現場サイドにうまく伝わらないことでも、3Dデータを見せれば、どのようなものを作ればよいのか、すぐに分かってもらえます。そうすれば、余計な工数は削減でき、作業効率は向上します。ですから、外注先でFusion 360を使っている会社があれば、積極的に取引をしたいですね。例えば今は、外注先には3Dデータを2Dの図面に変換して渡していますが、Fusion 360を活用する会社がさらに増えれば、図面ではなく、3Dデータのままやりとりできるようになると思います。早くそのような環境を実現させるためにも、Fusion 360の便利さを知って欲しいと思います」(武澤氏)

「世界に一台しかない車」をFusion 360で設計

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