木製なのに光る不思議なパズルをFusion 360でデザイン - 3D Fab|新しいデザイン、ものづくりを紐解く

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木製なのに光る不思議なパズルをFusion 360でデザイン

3D CADソフト『Fusion 360(フュージョン・スリーシックスティ)』の活用事例を紹介するこちらのコーナー。第21回は、Fusion 360を活用して木製のはめ込み式パズル「おばけパズル」を制作した、Takewari株式会社代表取締役の井上幸人氏にお話を伺いました。

娘が作ったおばけの切り絵がきっかけに

Takewari株式会社は、井上氏らが考案した「おばけパズル」関連製品の製造や販売を行っている会社です。おばけパズルのアイデアは、井上氏の娘さんが小さい時に紙を切って作った、おばけの切り絵と、井上氏が子どもの頃に作っていたジグソーパズルが結びついて生まれました。しかし、構想から実際にパズルが完成するまでには、試行錯誤を繰り返したそうです。

「アイデアを思いついたのは2013年頃で、2014年にはパズル作りを進めようと考えていました。ただ、そこでネックになったのが、おばけパズルのピースは複雑な曲線で、また目の形も再現が難しく、これはレーザーカッターでないと作れないだろう、ということです。当時は私がまだデジタルファブリケーションに触れておらず、レーザーカッターを使ったことがなかったので、レーザーカッターそのものに抵抗を感じていたんですね。そのような時期が結構長かったのですが、1年半後にデジタルファブリケーション施設で試しに使ってみたところ、思ったよりも簡単に機器が取り扱えるということが分かって、データを作りました」(井上氏)

電磁誘導で目を光らせることに成功

おばけパズルには、両目にLEDが仕込まれていて、正しい位置にピースをはめ込むと目が点灯するLEDバージョンがあります。この仕組みの実現にも苦労したそうです。

「まずは目が光らなくても、デザイン担当の山田が考えた普通にかわいいおばけのパズルを作れればいいと思っていたのですが、やはり構想時から目を光らせたら面白いだろうなと考えていたこともあり、試行錯誤が始まりました。最初は、物理的に電源とLEDを接触させて目を光らせるようにしていたのですが、この方法だと金属部品の厚みでパズルピースが浮いてしまうのです。またこのパズルは、表と裏の区別がないので難しいことが特徴なんですが、この場合、必ず電源と接触する面が生まれるので表と裏の区別がついてしまうんですね。そこで思いついたのが、木の中にコイルを入れて、電磁誘導の原理を使って電流を発生させてLEDを光らせる方法です」(井上氏)

電磁誘導の仕組みは、途中からおばけパズルの製作メンバーに加わった、電気担当の堀内氏の協力によって完成しました。ただ最初は、コイルも手で巻いて作っていたため、木のピースがかなり厚くなってしまうという問題がありました。

木製なのに光る不思議なパズルをFusion 360でデザイン基板にコイルパターンを実装して、電磁誘導でLEDを光らせている

Fusion 360をフルに活用して光るピースの薄型化を実現

そこで、コイルを内蔵したおばけのピースをより薄くするために大活躍したのがFusion 360です。

「コイル同士がぶつかるから、もうちょっと目を動かしてほしいとか、おばけの形をちょっと改善してほしいとか、Fusion 360を使ってメンバーとコミュニケーションをとり、試行錯誤しながら完成度を高めていきました」(井上氏)

さらにマイコンも搭載し、おばけの目がときどきまばたきしたり、電源をオンオフするときに、ゆっくりとふわっとついたり消えたりする仕組みも実現しています。

木製なのに光る不思議なパズルをFusion 360でデザインFusion 360を活用してメンバーとコミュニケーションをとりながら設計を改良した

木製なのに光る不思議なパズルをFusion 360でデザイン目が光るおばけパズルの最終モデル

井上氏は、最初はレーザーカッター用のデータを作るために、Illustratorを使っていましたが、効率的に目を光らせる構造の検討やコイルパターン位置の正確な位置合わせを行うにあたり3D CADが必要になり、機能とライセンス費用とを考慮してFusion 360を使い始めたそうです。

Fusion 360の豊富な機能の中でも、井上氏が特に気に入っているのが、寸法値に数式をそのまま入れておけるところだそうです。

「計算結果の数字だけしか残らない3DCADが少なくない中、Fusion 360なら数式がそのまま残ってくれるのが便利です。例えば「この寸法の半分から10ミリ引く」などの式が残ってくれるので、どうしてこの数値にしたのかが後からでも分かります」(井上氏)

木製なのに光る不思議なパズルをFusion 360でデザイン目が光るおばけパズルは合計6枚の木板で構成されている

今後はFusion 360のCAM機能を活用したい

こうして完成した目が光るおばけパズルですが、現時点では目が光らないシンプルなバージョンのみが販売されており、残念ながら、目が光るLEDバージョンの市販は未定。LEDバージョンは製造コストがかかるため、どうしても高価になってしまうからです。

しかし井上氏たちのグループは、おばけパズルの世界を広げるべく、ハガキサイズの製品や丸形の「おばけパズルSARA」、うちわ、LEDバッジなどの製品も開発・販売しています。

木製なのに光る不思議なパズルをFusion 360でデザインおばけパズルの世界を広げるために、さまざまな製品を開発・販売している

その中の一つが、「おばけパズルHOUSE」です。おばけパズルHOUSEは、ピースを厚くし、立体的にすることで、はめこみパズルとしても積み木としても遊べることが特徴です。おばけパズルHOUSEは、ピースが立体的になっているので、レーザーカッターでは作れず、CNCを使って作りたいと考えているそうです。

「木工業界はまだまだマシニングのデータ変換が普及していないんです。3Dデータを渡しても、全部手で入力しますと言われることもあり、その変換にお金と時間がとてもかかりますが、Fusion 360でCAMデータを出せれば、そのような無駄がなくなります。今はCNCが使えなくて、糸のこで10個だけ作ったんですが、糸のこでは目の形が再現できないなどのことがあるので、今後はFusion 360のCAM機能を活用して、CNCで作りたいと思っています」(井上氏)

木製なのに光る不思議なパズルをFusion 360でデザインFusion 360で設計した「おばけパズルHOUSE」。より立体的なデザインとなっている

最後に井上氏は、おばけパズルへの思いをこう語りました。

「おばけパズルでやりたいことはとてもたくさんあるのですが、現状ではとりあえず、身の丈にあった、できそうなことをやっている状態です。今後は例えば、ピース数をもっと増やすとか、アプリでおばけの形状を自動生成するとか、試してみたいことはいろいろありますが、負担をかけずに、持続できる仕組みを作りたいと思っています。おばけパズルのブランド力がもっと上がってくれば、絵本を作るなど、いろいろな可能性があると思っています。おばけパズルをもっと多くの人に手に取ってもらえるよう、工夫しながら頑張っていきたいですね」(井上氏)

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