2018.01.30

技術力を駆使してよりよい社会を実現。株式会社リアルグローブのDevOps関連事業

中村真実
初代DevOps Hub編集長
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DevOps Hubでは、DevOpsを実践している企業のインタビューをお届けしています。第5回は、株式会社リアルグローブのDevOps関連事業について、お話を伺います。
(写真:株式会社リアルグローブ 主幹技師 廣川英寿氏、企画制作部長 高橋大樹氏)

株式会社リアルグローブは、2008年 東京に設立。当時東京大学在学中のメンバーを中心に起業したベンチャー企業です。

各チームの「色」を生かし複数事業を展開

──貴社の事業について教えてください。

高橋: 弊社は、教育関連、救急医療・災害対応関連、DevOps関連の3つの分野で事業を展開しております。

教育関連では、教材を配信するためのシステムや学習者をメンタリングするシステム、学習した結果を学習履歴として収集・分析するためのシステムを開発しております。

救急医療・災害対応関連では、ドローン等を活用して映像や位置情報を共有するサービス(Hec-Eye:ヘックアイ)を活用して地方自治体や大学などと実証実験を行っています。

DevOps関連では、AIやAnsibleを活用して自動化をキーワードに業務効率の向上するためのサービスを展開しております。


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リアルグローブ 企画制作部長 高橋大樹氏

─高橋さんと廣川さんは、どのような業務を中心に行われていますか。

高橋:私はいわゆる「何でも屋」なのですが、主に新規事業企画、パートナーさまとの協業体制作りなどを行っています。

廣川:私のチームでは、自動化を軸にAI(機械学習/言語処理)を用いたカスタマーサポートの自動化やテスト自動生成、インテレクチュアルな監視システム構築、運用自動化支援を行っています。

私個人としましては、入社以来、Python+Webという基本軸は維持しながら、コンテナ型PaaSや、Ansible as a serviceの実装・運用を手がけておりまして、最近ではAI寄りの仕事が増えています。

─貴社では複数事業を展開されていますが、開発を進めていくうえで組織的に工夫されていることはありますか。

高橋:縦割りではなくて横に平たい組織を目指しています。組織編成上はトップが束ねていますが、方針は各チームに任せていまして、どういうものを作れというトップダウンはあるんですけど、どういう風に作れというトップダウンは一切無いですね。新しいプロジェクトが始まって、メンバーをアサインする時にも、どういう技術要素でやるのか、どの言語で実装するのかをその都度決めています。最終的にでき上がるものの機能はお客さまのご要望ベースですが、開発の仕方は開発者がスムーズだと思うやり方を優先しています。

廣川:メンバーの特質や技術要素が異なっていまして、例えば我々DevOpsチームはPython中心ですが、Hec-Eyeのチームではサーバーサイドからフロントエンドまで一貫してJavaScriptを用いています。技術に関しては、メンバーそれぞれが独自の嗜好を持っていますし、得意な分野を教え合うことで、お互いの知識をうまく生かせている気がしますね。

─御社ではアジャイル的な開発を中心にやられているんでしょうか。

廣川:もともと、弊社代表が学生時代に情報科学を専攻しているメンバーと立ち上げた、エンジニア中心の会社なので、いわゆるSEさんが設計書を作って、プログラマがそれを見て実装するといった分業の仕方は発想として無いですね。設計することとコードを実装することは、不可分になっていると思いますし、開発サイクルについても、お客さまには動くものをお見せして、要望を聞いて、改善して、というアジャイルな流れで行っています。

高橋:初めてお取引をさせていただくお客さまですと、最初からガッチリしたドキュメントを期待されることがあります。弊社は、要件定義時には内部設計に関するドキュメントはお作りしないので、最初のうちは戸惑われる場合もあるのですが、プロジェクトを進めるにしたがって、アジャイルな開発フローにも満足いただき、「御社じゃないと困る」とありがたい御言葉をいただいたり、新たなプロジェクトへも参加させていただくなど長くお取引きさせていただけるようになるケースが多いです。

「自動化」により運用の負荷を減らし安定化

──DevOpsについては、いつ頃どういった経緯で始められたのでしょうか。

高橋:弊社は創業当初は、Webアプリの受託開発や環境構築・運用をメインに事業を展開していました。しかし、リーマン・ショック以降、受託案件が減少していく傾向にありましたので、受託からサービス開発へシフトする必要を感じて、ちょうどクラウドコンピューティング普及の最中だったこともあり、コンテナ型PaaSの開発をはじめました。

このサービスは幾度かのバージョン改訂を経て、2012年にアプリケーション開発プラットフォーム「NIFTY Cloud C4SA」として当時のニフティ(現・富士通クラウドテクノロジーズ)さまのもとローンチされました。C4SA自体は2017年11月をもってサービス終了となりましたが、C4SA開発の中で培ったITインフラやマシン内操作の自動化に関するノウハウが現在のDevOps事業の基盤になっています。

──5年も前からDevOpsに取り組まれているのですね。貴社の中でDevOpsの定義などはありますか。

廣川:特に社内的な定義はありませんが、私は「開発→デプロイ→運用→フィードバック→開発...」というサイクルを継続的にかつリーンに回し続けること、およびそのために必要となる方法論や技術要素のことと捉えています。

「DevOps」というキーワードが出てきたことについては、今まで必要に応じてやってきたことに「こんな名前があったんだ」という感覚ですね。


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リアルグローブ 主幹技師 廣川英寿氏

──貴社で行われているDevOps開発について具体的な内容を教えていただけますでしょうか。

廣川:私が入社した2011年の時点では、アジャイル開発体制、GitHubでのソース管理、IaaSの利用などは既に行っていましたが、運用については従来的な手作業ベースで行っていました。

弊社は全員がソフトウェアエンジニアだということもあり、「開発に注力できる状態が一番良い」という視点から、開発者がデプロイや運用も行わなくてはいけない中で、コストとリスクを減らして、しかも安定化させるには「自動化」していくしかないと考え、PaaSで用いていたコンテナ技術やデプロイ自動化プラクティスを自分たちの運用にもフィードバックしていく形で導入が進んでいきました。

ちょうどその時AnsibleやDockerなどの汎用的に使えるツールが出てきて、自前で仕組みを作っていくだけではなくそういったツールを活用していくようにシフトしていきましたね。現在は、おおよそDockerベースでの開発・運用、GitHub でコード管理、Travis CIでのCI、Ansibleでの自動デプロイというのが社内標準になっています。

──DevOpsを実践されて、どのような効果がありましたか。

廣川:社内での導入については、漸次的に導入できるものを取り入れてきましたので、具体的な数値化はされていませんが、弊社で運用の自動化を行なったお客さまの効果はたくさん出てきています。

SaaSをご提供されているお客さまのケースですと、元々手動で実行していたものを完全にAnsibleベースで自動化して、プライベートSaaS環境の構築時間が一台あたり半日から15分程度まで削減でき、深夜更新作業を無人化できるようになったという効果がありました。

他にも元々構築・運用を全て外注されていたお客さまは、「今の技術を使えば、少人数の運用チーム、開発チームでも十分回せるのではないか」とお考えになり、Ansibleのデプロイのトレーニングを受講されて、かなりの部分を社内でまかなえるようになったとのお声をいただいております。

──貴社で継続して開発を効率化してきたからこそ、お客さまの運用負荷を減らせているのですね。DevOpsについて、今後はどのように進んでいくと思いますか。

廣川:テストやデプロイを自動実行できるのはもう当たり前な世の中として、今後は適切な受入テストやインフラ構成自体が自動生成されるようになっていくだろうと思っています。そういう未来につながる取り組みを進めていきたいです。

社会貢献につながるシステムを提供し続ける

──廣川さんは、Infrastrucrure as Code(IaC)のコミュティ活動をされているそうですが、どのような活動をされているのですか。

廣川:Ansibleを早くから使い始めていたということもあって、個人として勉強会・セミナーでお話させていただいたり、弊社でAnsibleの無償勉強会を定期的に開催しております。2017年2月に出版された翔泳社の「Ansible徹底入門」という書籍の執筆にも関っています。

他には、今年からTIS株式会社さまなどと「IaC活用研究会」を立ち上げて、SI業界でのIaC活用の普及・促進とそれに伴う生産性向上を目指して活動を実施しております。

──Ansibleのコミュニティの反響は、いかがでしょうか。

廣川:Ansibleは、2012年頃から使い始めているのですが、昨年末のAnsibleユーザー会主催のイベントでは、参加枠180名に対してその倍を超える応募があったり、昨年頃から今後のシステム運用において当たり前に必要なものとして認識されて使い始めている方も増えてきて、活気付いている印象を受けますね。

──貴社の今後の展望を教えてください。

廣川:DevOpsやIaCに関して言えば、個人的にはansible-container, rktなどのDockerオルタナティブの取り組みやKubernetesやDC/OSなどのコンテナオーケストレーション自動化ツールの今後の展開に興味があります。この辺りの技術も組み合わせて、引き続き運用作業の「全自動化」を目指して、推進活動を進めていきたいですね。

また、より広い意味での開発目標としては「クリエイティブでない作業は機械がよしなにやってくれる」未来を作るべく、AIやIoT活用に関するサービス開発や応用研究を進めていきたいと考えています。

高橋:引き続き、救急医療の分野で人命救助など社会貢献に繋がる取り組みを進めていきたいです。有事のシステムですと、予算が降りにくいですとか、導入しても普段は使っていなくていざという時に使えないといったこともありますので、普段から使っていただけるシステムを目指しています。例えば、通常時は観光や何かの見回りに使って、緊急時にはモードが切り替わり、災害現場の探索に使えるシステムなど、お客さまに継続して活用していただけるシステムを提供していきたいです。

リアルグローブさまの継続的な開発効率化の取り組みが幅広い事業を支えていることが伝わってきました。
お話しいただき、ありがとうございました!

この記事の著者:中村真実

初代DevOps Hub編集長

2017年7月~2018年9月まで、DevOps Hubの立ち上げと初代編集長を担当。


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