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PCの電源ユニットが故障する前兆として見られる不具合を詳しく解説
2024.07.18
PCが故障する際の症状にはさまざまなものがありますが、電源ユニットが故障すると重大なトラブルにつながる恐れがあるため、どのような前兆があるのかを知っておくことが大切です。
この記事では、PCの電源ユニットが故障する前兆や電源ユニットが故障の原因かを調べる方法、寿命を延ばすためにできることについてご紹介します。また、電源ユニットの役割や規格、故障したときの対処法もお伝えしていますので、ぜひご参考にしてください。
PCの電源ユニットとは
PCの電源ユニットとは、PC内部の各パーツに電力を供給するためのパーツで電流を変換する役割があり、「電源」や「電源ボックス」と呼ばれることもあります。電源ユニットには三つの主な規格がありますので、次に役割と規格についてご紹介します。
役割
電源ユニットは、家庭用コンセントから流れる交流の電流を、PC内部のパーツが利用できる直流に変換する役割があります。また、安定的に電力を供給するために、コンデンサーに電力を蓄えて電流・電圧が不安定にならないように調整するといった役割も担っています。
規格
電源ユニットの規格には、主にATX・SFX・EPSの三つがあげられます。ここでは、それぞれの特長やサイズについてご紹介します。
ATX
ATXは、フルタワー型からミニタワー型まで幅広いサイズのデスクトップPCで使われている規格で、サイズは幅150mm×高さ86mm×奥行き140〜180mmとなっています。
この規格は、電源ユニットの中でも最も製品数が多く、価格や容量、騒音のそれぞれに強みを持つ製品が豊富にあるため、用途やニーズに合わせて多くの選択肢から選べます。
SFX
SFXは、ATXがカバーするミニタワー型よりも小型のPCに採用されている規格で、サイズは幅100〜125mm×高さ50〜63.5mm×奥行き100〜130mmとなっています。小さいながらもサイズが幅広く、製品数や容量は少なめです。
EPS
EPSは、主にサーバーやワークステーションで用いられる規格で、ATX規格の一種であるため、サイズはATXと同様に幅150mm×高さ86mm×奥行き140〜180mmとなっています。この規格は、信頼性と安定した出力が求められる業務用のコンピューターに適しており、最も高性能な電源ユニットです。
電源ユニットの寿命とは
電源ユニットの寿命は、一般的に2〜5年とされています。PCの使用頻度や使い方によって寿命は変わりますが、電源に負荷がかからないようにPCを使うことで、5年以上も使用し続けられることがあります。
高価な電源ユニットの中には10年以上の保証が付いているものもありますが、電源ユニットが故障すると重大なトラブルにつながる恐れがあるため、保証期間が切れる手前で買い替えるとよいでしょう。
PCの電源ユニットが故障する前兆
電源ユニットの寿命が近づいている際、前兆として起動や終了ができない、異音がするといった不具合が表れます。ここでは、それらの前兆についてご紹介しますので、当てはまっているか確認してみましょう。
起動や終了ができなくなる
電源ユニットが故障する前兆として、電源ボタンを押しても起動できなかったり、シャットダウンや強制終了ができなくなったりする症状があげられ、電源ユニットのコンデンサーが劣化したときによく見られます。
まだ完全には故障していない場合、電源ボタンを何度か押すと電源が付くこともありますが、通常通り1回押しただけでは電源が付きにくくなっていると、電源ユニットの故障が近いと考えられます。
ファンや電源ユニットから異音がする
PC内のファンの音は、使用中でも気にならないのが通常で、熱がこもったときに音がやや大きくなる程度です。しかし、電源ユニットの故障が近くなるとファンに供給される電力が減り、日常使いでは聞くことのない異音がファンから聞こえることがあります。
また、電源ユニットからバチバチと電気のような音や、高周波音などが聞こえた際も電源ユニットが劣化している可能性があります。
そのため、ファンや電源ユニットから異音が聞こえるときは、完全に故障する前に電源ユニットを交換する準備を進めておくとよいでしょう。
電源がすぐに切れる・勝手に再起動を繰り返す
PCの電源が入っても、電源が不安定な場合は電源ユニットの問題が疑われます。例えば、電源を付けてもすぐに切れる、勝手に再起動を繰り返すといった症状があげられます。
先述した起動や終了ができなくなるのは電源ユニットが原因である可能性が高いですが、これらの症状では電源ユニットだけでなく、他のパーツの故障や一時的な過負荷、OSの不具合などでも起こり得ます。
そのため、放電やパーツの故障がないかの確認を行い、改善策を試しても直らない場合は電源ユニットが原因と判断できるでしょう。ただし、電源が切れても電源ランプがついていたり、ファンが動いていたりする場合は電源の供給ができているため、他のパーツが原因であると考えられます。
負荷のかかるタイミングでフリーズする
PCの使用中に起きるフリーズは、電源ユニット以外にもさまざまな原因が考えられますが、起動や高負荷な作業をしたタイミングでフリーズする場合は、電源ユニットが原因となっている可能性があります。これらのタイミングは一時的に多くの電力を消費するため、電源ユニットが十分な電力を供給できないとフリーズしてしまうでしょう。
スリープ(スタンバイ)状態から復帰できない
スリープ(スタンバイ)状態からの復帰に時間がかかる場合や、復帰ができない場合も電源ユニットの問題が疑われます。この状態から復帰し、通常通りにPCを使える状態になるまでにも多くの電力を消費するため、電源ユニットが劣化しているとうまく動作しないことがあります。
ただし、OSや周辺機器のドライバーなどの不具合でも復帰できないことがあるため、電源ユニットが原因であるとは判断しづらいです。
USB接続した周辺機器が反応しない
周辺機器をUSBで接続しても反応がない場合、電源ユニットが原因で電源供給ができていない可能性があります。USBケーブルが原因の可能性も考えられるため、別のUSBケーブルを使用して改善するか確かめましょう。それでも改善しない場合は電源ユニットの故障が疑われます。
ブルースクリーンが表示される
ブルースクリーン(Blue Screen of Death, BSoD)とは、Windows PCの致命的なシステム障害により、安全な動作ができないときに表示されるメッセージのことです。
以下のBSODが表示される場合は、ハードウエアが正常に動作していない可能性があります。
0x00000080:NMI_HARDWARE_FAILURE
0x00000122:WHEA_INTERNAL_ERROR
0x00000124:WHEA_UNCORRECTABLE_ERROR
0x00000127:PAGE_NOT_ZERO
0x0000012B:FAULTY_HARDWARE_CORRUPTED_PAGE
このエラーはCPU・GPUやメモリ、マザーボードなどのパーツに不具合が起きた場合にも表示されることがあります。しかし、これらのパーツの取り外しや交換を行い、原因ではないことが分かってもBSODが表示される場合は、電源ユニットの不具合が疑われます。
物理的な損傷が見られる
電源ユニットの内部を目視で確認し、コンデンサーの膨らみや焦げ跡、異臭などがある場合は、物理的な損傷を受けているため使い続けると故障する可能性が高まります。確認の際は、コンデンサーの蓄電によるショートや感電などの危険があるため、電源ユニットの内部には触れないように注意し、のぞく程度で目視しましょう。
電源ユニットが故障の原因かを調べる方法
電源ユニットが故障する前兆に当てはまっていても、原因が電源ユニットであるとは断定できません。ここでご紹介する方法を試してみて、電源ユニットが本当に故障の原因かを調べましょう。
電源ケーブルの接続を確認する
電源が入らず電源ユニットによる故障が疑われる際は、まず電源ケーブルがコンセントやPC本体と接続できているかを確認しましょう。また、ケーブルが断線していないか、延長ケーブルを使っている場合はそれが原因となっていないかについても確認し、PCに物理的な損傷が起きていないかを見ておくことも大切です。
ファンの動作を確認する
電源ユニットが故障していると、先述したようなファンの異音が聞こえたり、ファン自体の動作が弱まったりすることがあります。そのため、ファンがしっかり動いているか確認しましょう。また、ファン本体や空気の排出口にホコリがたまったり、ごみが付いたりすると冷却機能が弱まるため、それらも掃除してファンが正常に動く環境にしてから確認するのがおすすめです。
コンデンサーを確認する
こちらも先述したように、コンデンサーの膨らみや焦げ跡、異臭といった物理的な損傷がないかを確認しましょう。また、経年劣化によりさびや液漏れが発生することもあるため、もし起きていた場合は早めの交換が必要です。
出力されているワット数を確認する
電源ユニットから出力されているワット数を調べることも重要です。ワット数を調べると電源ユニットが必要な電力供給量を出力できているのか、どのくらい劣化しているかを把握できます。電源ユニットの劣化によりワット数が下がっていると電力不足になる恐れがあるため、大幅に下がっている場合は買い替えが必要になるでしょう。
周辺機器を全て外す
電源ユニットが劣化すると、PC内部の電力供給量が不安定になります。周辺機器が接続されていると、それらの機器にも電力を供給しなければならないため、さらなる供給が必要になります。この際に電力不足により、電源が落ちるなどの症状が表れることもあります。
そのため、接続している周辺機器を全て外し、PCの動作が安定するかを確認してみましょう。もし安定すれば、周辺機器への電力供給が原因だと判断でき、電源ユニットに問題が起きている可能性が高まります。
室温を調整する
電源ユニットが低温過ぎると、コンデンサーが正常に動かなくなることがあります。PCを使用している部屋の温度が低過ぎると電源ユニットも低温になるため、暖房で室温をゆっくりと暖めて電源ユニットの温度を上げることが有効です。このときにドライヤーなどで早く温めようとすると、内部が結露して故障する恐れがあります。室温を高めた後に正常に動作するようになれば、低温による一時的な不具合であると判断できるでしょう。
PCの内部を掃除する
ファン本体や空気の排出口だけでなく、PC内部を全体的に掃除することもおすすめです。内部にホコリがたまって接触不良が起きている場合、ホコリを取り除くことでPCが正常に動作するようになる可能性があります。
掃除の際はエアダスターでホコリを払い、残ったホコリを綿棒などで取り除くとよいでしょう。これにより動作が安定した場合は、電源ユニットが原因でないと分かります。
電源ユニットが故障する前兆や原因をご紹介しましたが、故障していない場合は寿命を延ばすために、PCの使い方を見直すことが大切です。次に電源ユニットの寿命を延ばすためにできることをご紹介します。
電源ユニットの寿命を延ばすためにできること
電源ユニットの寿命は、使用頻度やPCの使い方によって大きく変わるため、ここでご紹介する寿命を延ばすためにできることを実践することが大切です。
PCの電源を付けたままにしない
電源ユニットやその他のパーツは消耗品であり、PCの電源を付けたままにすると劣化が早まります。コンデンサーも常に電力供給をしなければならないため、劣化が進行して寿命が短くなるでしょう。
PCを毎日使う場合、起動やシャットダウンを毎回行うのが面倒で付けたままにするケースも多いですが、電源ユニットの負荷を抑えるためにも夜間などの使用しない時間帯は電源を切っておきましょう。
電源ユニットやPC内部を定期的に掃除する
電源ユニットやPC内部は定期的に掃除しましょう。ホコリがたまるとファンの冷却機能が弱まって熱がこもりやすくなったり、静電気を帯びたりすることで故障の原因になります。そのため、電源ユニットは少なくとも数カ月に一度は掃除し、ホコリがたまりやすいファンやPC内部は電源ユニットよりも高頻度で定期的に掃除することを心がけましょう。
使用環境の温度を適切に管理する
PCは精密機器であるため、高温多湿となる環境では故障しやすくなります。また、先述したような温度が低過ぎる環境でも、コンデンサーが正常に動作しないことがあります。使用環境は暑過ぎても寒過ぎてもよくないため、温度を適切に管理することが電源ユニットやPC自体の寿命を延ばすために大切です。
定期的に放電する
電源ユニットやPC内部は使用していると静電気がたまっていき、内部のパーツの劣化や故障の原因になります。そのため、定期的に放電するのが効果的です。
放電の際は電源を切り、電源ケーブルを抜いて5分ほど放置すれば完了します。夜間などのPCを使用していないときに電源ケーブルを抜いておくだけでも放電できるため、定期的に行いましょう。
負荷のかかる処理をできるだけ避ける
一時的に多くの電力を消費する処理を何度も行うと、電源ユニットの劣化が早まります。例えば、PCの起動時には電力消費が多いため、1日に何度も電源のオンオフを行うのは避けましょう。
また、PCのスペックが不足するような作業を行うのも大きな負荷がかかります。ブラウジングやオフィスソフトが使用できる程度のスペックが備わっているPCで、動画編集や機械学習などの高負荷な作業を行うと、スペックに見合わない処理が必要になるため電源ユニットや内部のパーツが劣化してしまいます。
電源ユニットが故障したときの対処法
電源ユニットが完全に故障してしまった場合は、電源ユニットやPC本体を買い替えるといった対処法が一般的な方法となっています。ここでは、それらを含めた対処法についてご紹介します。
新しい電源ユニットに交換する
電源ユニットが故障した場合は、新しい電源ユニットに交換するのが一般的です。PCを組み立てる知識と技術がある方は自身で電源ユニットの交換を行えますが、そうではない方はPC修理業者に依頼するのがおすすめです。
もし、知識や技術がないまま交換作業を行うと、静電気や誤った作業によりPCの状態が悪化してしまう恐れがあります。PCの組み立て経験がない場合や交換作業に自信がない場合は業者への依頼を検討しましょう。
PCを買い替える
PCの使用歴が長い場合は、電源ユニット以外のパーツも劣化していると考えられるため、PC本体を買い替えるのもよい選択といえます。もし、電源ユニットやその他の不具合が初期不良の保証対象期間内に起きたのであれば、初期不良として対応してもらった方がよいでしょう。
しかし、購入から数年が経過している場合、最新のPCの方が性能は高くなっており、パーツも新品の状態で使用できるため、買い替えることをおすすめします。
電力をバッテリーに通さずに起動する
ノートPCで電源が入らない場合は、電源ユニットが故障している可能性が考えられますが、バッテリーが原因の可能性もあります。ノートPCでは、コンセントの電力がACアダプターからバッテリーを通ってノートPC本体に流れます。そのため、バッテリーが故障していると電力が本体に伝わらず、電源が入らなくなります。
この場合は、電力をバッテリーに通さない方法で起動することで電源が入ることがありますので、以下のように起動してみましょう。
1.ACアダプターをノートPCから取り外す
2.バッテリーを本体から取り外す
3.ACアダプターをノートPCに接続する
これにより、バッテリーに電気を通さずに起動することが可能になります。この状態で電源が入った場合は、バッテリーが不具合の原因と考えられるため、バッテリーを交換することで不具合が解消できます。
ただし、内蔵バッテリーを取り外すには、ノートPCを分解する知識と技術が必要となるため、PC修理業者を利用することが推奨されます。
まとめ
この記事では、PCの電源ユニットが故障する前兆についてご紹介しました。前兆としては、起動・終了ができなくなることや、電源がすぐに切れる、勝手に再起動を繰り返す、ファンや電源ユニットから異音がするなどがあげられます。
電源ユニットが故障の原因かを調べるには、コンデンサーや出力ワット数、ファンの動作の確認、周辺機器の取り外しなどを行うとよいでしょう。電源ユニットの寿命は使用頻度や使い方によって大きく変わるため、電源を付けたままにせず、定期的な内部の掃除や放電などをすることが大切です。
SB C&Sについて
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