事例Microsoft Azureの導入事例をご紹介します。

コンテンツマネジメントシステム(CMS)の「Movable Type」をベースにした、エンタープライズ向け高機能CMS「PowerCMS」の開発、販売、サポート等を手がけるアルファサード株式会社。同社は、AzureとPowerCMSを組み合わせたマネージドサービス「PowerCMSクラウド」をリリース、サーバーの保守、管理からCMSのバージョンアップ等の運用負荷を軽減するソリューションを提供しています。

きっかけ

「プラットフォームのクラウド化」に対するニーズの高まりからAzure対応を進める

同社とAzureの出会いは、2013年、株式会社パソナ パソナキャリアカンパニーの「転職希望者向けWebサイト」のリニューアル案件を手がけたときに遡ります。代表取締役の野田様は「サイトのプラットフォームをAzureに移行してクラウド化し、サイト制作や運用に必要なテンプレートやデザイン組み込み等のカスタマイズを自在に行えるツールとして、CMSに『PowerCMS』が採用されました」と説明します。

この案件を手がける以前より、お客様より「サーバーの保守、運用をお任せしたい」「CMSのバージョンアップなどの運用負荷を軽減したい」といった声を、絶えずいただいていたとのこと。サービス担当責任者の持田様は「最近は、サーバー管理の負荷軽減や、CMSのバージョンアップ、脆弱性に対するセキュリティアップデートの対応を任せたいというニーズがどんどん高まっています」と話します。

そこで、従来のサーバーインストール型の「PowerCMS」をクラウド化し、サーバープラットフォームの選定から保守、運用、さらにはCMSのセキュリティアップデートなどの運用負荷を軽減するための基盤として、Azureが採用されました。

施策内容

高いサービス品質を保証するために、サーバー構成の冗長化と監視体制強化に注力

「PowerCMSクラウド」にAzureが選ばれた決め手について、野田様は「パソナ様の案件以降、マイクロソフトとはさまざまな技術協力をいただきながらサービス開発を行う関係性が築けた」ことを挙げます。また、持田様は、「パートナーエコシステムにも力を入れていて、カタログへの掲載など、拡販への積極的な取り組みが心強かったです」と別の角度からAzure採用の理由を語ってくれました。

サービス開発時に注力したのは、サービスの品質レベルでした。野田様は「エンタープライズ向けのCMSとして、障害等でサイトが止まることのないようサーバー構成を冗長化し、監視体制も、サイトロック様とパートナー契約を結び、24時間365日体制の監視サービスを提供することにしました」と説明します。

また、セキュリティ面の取り組みとして、持田様は「不正侵入検知・防御システム(IDS/IPS)などと組み合わせたセキュリティ対策についてのお問い合せや要望を多くいただいています。そこで、SB C&Sのご協力のもと、クラウドで利用できる『Trend Micro Deep Security as a Service』というセキュリティ対策製品を有償オプションでサービスに組み込みました」と話します。

こうして、Azure Virtual Machines上に、パフォーマンス最適化済みのPowerCMSがインストールされた「PowerCMSクラウド」は、2015年12月にリリースされました。

結果

お客様の要望に応えるステージング環境や承認フローも、Azureで自在に

Azure採用による具体的な効果が出てくるのはこれからですが、「コンテンツ量が増えてコンテンツの運用管理が大変」「CMSのバージョンアップできないのでセキュリティが心配」というお客様にとって、サイト管理、運用負荷のさらなる低減が期待されます。

持田様は「PowerCMSには、コンテンツを内部確認用のステージングサーバーへパブリッシュし、さらに本番サーバーへの同期も可能なステージングサーバー機能があります。さらに、Azureの『Web Apps』を組み合わせることで、本番サーバーとステージングサーバーを分けることも、全てをクラウド化することも可能です。たとえば、PowerCMSはクラウド上に置きたいが、ステージング環境や、本番公開サーバーを、既存のオンプレミス環境(お客様敷地内やデータセンター)のまま変えたくないというお客様のニーズに対しても、柔軟に対応できるのがAzureの強みです」と説明します。

さらに、野田様は「クラウド上で、PowerCMSをより快適に利用していただくためのチューニング、最適化があらかじめなされています。また、ベーシック認証やSFTPのパスワードの設定といったサーバー設定は、PowerCMSの管理画面上で行えるようカスタマイズしています」と語るなど、使い勝手や利便性にも配慮しています。

今後の計画

Azureと組み合わせた他サービスのクラウド化も視野に

野田様は、今後の施策として、「Movable Typeと弊社開発のプラグインを組み合わせ、PowerCMSクラウドよりもリーズナブルなサービスを提供することや、特定の業種、業務へのソリューションの開発などに取り組んでいきたい」と語ります。

とくに、2020年のオリンピックを控え、WebサイトをJIS規格(JIS-X 8341-3:2016)に準拠させ、アクセシビリティを高めたいという問い合わせを、自治体や官公庁などから多くいただいています。野田様は「JIS規格準拠を支援する『PowerCMS 8341』や、ワークフロー(承認)機能のリリース」に加え、今後は「デジタルマーケティングへの機能対応や、ECシステム構築を支援する『MT Commerce』をAzureと組み合わせクラウド化すること」を進め、さらにサービスの付加価値を高めていきたいと話してくれました。

一方、Azureに対する期待として、持田様は、「CDN(Content Delivery Network)や、Search、Media Servicesなど、モバイルやコンテンツの付加価値を高めるソリューションを開拓していきたいです」と語り、そのために「今後のAzureの機能のバージョンアップにも期待したいです」とコメントしてくれました。

さいごに、SB C&Sに対しては、野田様は「トレンドマイクロの『Trend Micro Deep Security as a Service』をご紹介いただき感謝します。今後も、AzureとPowerCMSの普及促進に向けてさらなる協業を進めていきたいです」と、さらなるビジネス拡大に期待を寄せました。

アルファサード株式会社
2003年にWeb制作会社として大阪で設立。JIS規格に準拠したアクセシビリティの高いWeb制作に強みを持ち、2006年には、エンタープライズ向け高機能CMS「PowerCMS」をリリース。導入実績は1000サイト以上と、「Movable Type」ベースのCMSとして不動の地位を得ている。現在は、SI事業やWeb受託制作と、「PowerCMS」の開発、サポート、販売、パートナー企業への協業支援などを手がける。

※Movable Type は Six Apart, Ltd の登録商標です。
※PowerCMSはアルファサード株式会社の登録商標です。

利用サービス

  • Virtual Machines
  • Storage

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