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ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)とは?攻撃の仕組みから被害事例、対策方法を解説

2025.9.30

ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)とは?攻撃の仕組みから被害事例、対策方法を解説

ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)とは?攻撃の仕組みから被害事例、対策方法を解説

目次

  1. ブルートフォース攻撃とは
  2. ブルートフォース攻撃の主な手口
    1. 総当たり攻撃
    2. リバースブルートフォース攻撃
    3. 辞書攻撃
  3. ブルートフォース攻撃による被害と影響
    1. 個人・組織への具体的な被害
    2. 二次被害や長期的な影響
  4. ブルートフォース攻撃への具体的な対策方法
    1. 複雑なパスワードにする
    2. パスワードの使い回しを避ける
    3. 多要素認証(MFA)の導入
    4. アクセス制限
    5. ワンタイムパスワードの活用
  5. ブルートフォース攻撃を受けてしまった際の対応
  6. まとめ

ブルートフォース攻撃とは、パスワードを突破するために考えられるあらゆる組み合わせを試す「総当たり攻撃」です。数字や文字、記号のパターンを入力し続け、不正ログインを狙う典型的なサイバー攻撃のひとつです。

本記事では、ブルートフォース攻撃の基本概念から具体的な手口や被害事例、効果的な対策方法、そして攻撃を受けた際の対応まで解説します。

ブルートフォース攻撃とは

ブルートフォース攻撃とは、あらゆる文字や数字の組み合わせをすべて試してパスワードを突破する「力技」の攻撃です。 たとえば4桁の数字パスワードなら「0000」から「9999」まで10,000通りを順に試せば、必ず正解にたどり着きます。

現在では高性能なコンピュータや専用ソフトを使うことで、1秒間に数百万~数十億回もの試行が可能となり、従来よりはるかに短時間で突破されてしまいます。さらに分散処理やクラウドの悪用により、企業や個人にとって深刻な脅威となっています。

関連記事:サイバーセキュリティとは?サイバー攻撃の種類や代表的な対策方法を解説

ブルートフォース攻撃の主な手口

ブルートフォース攻撃には、攻撃効率を高めるための複数の手法が存在します。

総当たり攻撃

最も基本的な手口で、IDとパスワードの組み合わせを総当たりで試す方法です。攻撃者は「a」「b」「c」...「aa」「ab」「ac」のように、短い組み合わせから長い組み合わせへと順次試行を進めます。

この手法の特徴は確実性にあります。理論上、十分な時間があればどんなパスワードでも解読可能ですが、パスワードの長さと複雑さに比例して必要な時間が指数関数的に増加。そのため、攻撃者は短くて単純なパスワードから優先的に試行するのが一般的です。

GPU(グラフィックスプロセッサ)や専用のハードウェアを使用することで、従来のCPUベースの攻撃と比較して数百倍から数千倍の高速化が実現されており、以前は解読困難とされていたパスワードも短時間で破られる可能性があります。

リバースブルートフォース攻撃

よく使われそうなパスワードを固定し、IDの組み合わせを総当たりで試みる方法です。「password」「123456」「admin」などの一般的なパスワードを使用して、様々なユーザーIDとの組み合わせを試行します。

この手法は、多くのユーザーが弱いパスワードを使用している現実を悪用した効率的な攻撃方法です。攻撃者は過去のデータ漏洩事件で明らかになった、よく使用されるパスワードのリストを活用し、大量のアカウントに対して同時攻撃を仕掛けます。

特に、企業環境では複数ユーザーが同じような弱いパスワードを設定している可能性が高く、一度のキャンペーンで複数アカウントを侵害できる可能性があるため、攻撃者にとって効率的な手法といえるでしょう。

関連記事:パスワードリスト攻撃(リスト型攻撃)とは?標的にされる原因や対策を解説

辞書攻撃

辞書攻撃とは、辞書にある単語やよく使われる言葉を組み合わせてパスワードを推測する攻撃です。人名や地名、年号、一般的な英単語など、人が覚えやすいパスワードの傾向を利用します。

攻撃では「password123」「tokyo2024」といった単語+数字の組み合わせや、「p@ssw0rd」のように文字を記号や数字に置き換えたパターンも試されます。

多くのユーザーがこうした「覚えやすいパスワード」を設定しているため、辞書攻撃は総当たり攻撃よりも短時間で突破できる可能性が高いのが特徴です。

ブルートフォース攻撃による被害と影響

ここではブルートフォース攻撃による被害とその影響について解説します。

個人・組織への具体的な被害

ブルートフォース攻撃が成功すると、不正ログインやアカウント乗っ取り、機密情報の漏洩、データ改ざん、システム停止など、多方面に被害をもたらします。

たとえばECサイトでは不正購入、SNSではなりすまし投稿、業務システムでは不正操作が行われ、経済的・社会的な損失につながります。さらに顧客データや機密情報の流出、データ改ざんや削除による業務混乱も発生します。

加えて大量のログイン試行によるサーバー負荷で、正規ユーザーがサービスを利用できなくなる恐れもあり、企業にとっては業務停止や売上損失という重大な影響を招きかねません。

二次被害や長期的な影響

ブルートフォース攻撃の成功は、さらなる被害拡大の起点となります。主な長期的影響として、以下が挙げられます。

主な被害

  • 社内ネットワーク侵入の足がかり
  • 会社の評判悪化と信用失墜
  • 法的責任と損害賠償のリスク

侵害されたアカウントは内部ネットワーク侵入の踏み台として悪用され、攻撃者は権限昇格やラテラルムーブメントを実行してより重要なシステムへのアクセスを試みます。単純なアカウント侵害が組織全体を脅かす大規模な侵害事件に発展する可能性もあるでしょう。

またデータ漏洩事件の公表により企業の社会的信用が大きく損なわれ、顧客離れや株価下落などの長期的な影響が継続します。さらに個人情報保護法やGDPRなどの規制違反による制裁金、被害者への損害賠償、株主代表訴訟などのリスクもあり、企業経営に深刻な影響を与えかねません。

ブルートフォース攻撃への具体的な対策方法

ブルートフォース攻撃への対策には、複数の防御手法を組み合わせることが重要です。

複雑なパスワードにする

強固なパスワードの作成は、ブルートフォース攻撃に対する基本的な防御策です。効果的なパスワードは、長さ、複雑さ、予測困難性の3つの要素を満たす必要があります。

推奨されるパスワードの条件として、最低12文字以上の長さ、大文字・小文字・数字・記号の組み合わせ、辞書にある単語の回避、個人情報の使用禁止があります。より安全なアプローチとして、「Coffee-Morning-Blue-Sky-2024!」のような、無関係な単語を記号で繋げた長いパスフレーズを使用することで、記憶しやすく攻撃に対して高い耐性を持つでしょう。

パスワードの使い回しを避ける

同一パスワードを複数サービスで使いまわすことは、被害が他サービスにも波及するリスクを生み出します。攻撃者は侵害したパスワードを他サービスでも試行するため、使い回しは被害を拡大させる危険行為です。

各サービスで異なるパスワードを使用することが理想ですが、人間の記憶力には限界があるため、パスワード管理ツールの活用が現実的な解決策です。信頼できるパスワード管理ツールを利用して、安全に一元管理することが有効な対策となります。

関連記事:パスワード管理の重要性とは?情報漏洩による損害と安全な管理方法を解説

多要素認証(MFA)の導入

多要素認証(MFA)とは、パスワードに加えて追加認証を求める仕組みで、ブルートフォース攻撃を防ぐ有効な対策です。仮にパスワードが破られても、二段階目の認証がなければログインできないため、攻撃の成功率を大幅に下げられます。

認証方法には、SMSで届く認証コード、認証アプリ、ハードウェアトークン、生体認証などがあります。特に認証アプリやハードウェアトークンは、SMSよりも安全性が高く、SIMスワップ攻撃といった手口にも強いとされています。

企業においては、すべてのユーザー、特に管理者アカウントにMFAを必須化することが欠かせません。

関連記事:多要素認証(MFA)とは?仕組み・メリットから導入方法まで解説

アクセス制限

システムレベルでのアクセス制限により、ブルートフォース攻撃の実行を困難にします。主要な制限方法として、アカウントロックアウト、レート制限、IP制限などがあるでしょう。

アカウントロックアウトでは、連続する認証失敗の回数に制限を設け、制限を超えた場合に一定時間そのアカウントへのアクセスを禁止します。レート制限では、同一IPアドレスからの認証試行回数を時間単位で制限し、大量の試行を防止します。また、地理的制限により、通常とは異なる国や地域からのアクセスを制限することも効果的です。

ワンタイムパスワードの活用

ワンタイムパスワード(OTP)は、一度使用すると無効になる一時的なパスワードです。時間ベース(TOTP)またはカウンタベース(HOTP)のアルゴリズムにより生成され、通常30秒から数分で自動的に更新されます。

OTPのメリットは、パスワードが漏洩しても短時間で無効になることです。ブルートフォース攻撃で解読できたとしても、その時点では既に新しいパスワードに更新されているため、攻撃の成功率を大幅に低下させます。実装方法として、Google AuthenticatorやMicrosoft Authenticatorなど認証アプリの使用が推奨されます。

関連記事:OTPとは?ワンタイムパスワードの意味・仕組みから導入方法まで多要素認証の要を解説

ブルートフォース攻撃を受けてしまった際の対応

ブルートフォース攻撃を受けた場合、迅速な対応により被害の拡大を防止することが重要です。

まず、被害範囲の特定と拡大防止(ネットワークからの隔離など)を実施します。その際、影響を受けたシステムやアカウントを特定し、侵害されたアカウントの無効化、攻撃元IPアドレスのブロック、関連システムへのアクセス制限などの緊急措置を講じる必要があります。

また、ログファイルの分析により攻撃の開始時刻、試行回数、成功した認証の有無、アクセスされたデータを特定し、組織全体での被害状況を把握することも欠かせません。

さらに、専門家(セキュリティベンダーなど)への相談も実施しましょう。社内にセキュリティ専門家がいない場合や攻撃規模が大きい場合は、外部のセキュリティ専門企業に支援を要請し、効果的な封じ込めと復旧を図ります。

まとめ

ブルートフォース攻撃は、パスワードを総当たりで試して突破を狙うシンプルながら強力な攻撃で、現在も深刻な脅威となっています。総当たり攻撃だけでなく、リバースブルートフォース攻撃や辞書攻撃など、多様な手口によって効率的に不正アクセスが行われます。

この脅威に対抗するには、複雑なパスワードの設定、使い回しの回避、多要素認証の導入、アクセス制限、ワンタイムパスワードの活用といった多層的な防御が欠かせません。特に多要素認証は、パスワードが破られても不正ログインを防げる有効な手段です。

これらの対策を組み合わせて予防策と対応計画を整備することで、ブルートフォース攻撃から大切な情報資産を守りましょう。

この記事の執筆者

イラスト:若園 直子さん

SB C&S株式会社
ICT事業部 ネットワーク&セキュリティ推進本部
若園 直子

サイバーセキュリティのマーケティング担当。
専門的な内容でも、読者にとって親しみやすく、実践につながる形で伝えることを大切にしています。

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