ホーム図:矢印アイコン黒ブログ図:矢印アイコン黒

サイバーセキュリティとは?サイバー攻撃の種類や代表的な対策方法を解説

2025.9.12

サイバーセキュリティとは?サイバー攻撃の種類や代表的な対策方法を解説

サイバーセキュリティとは?サイバー攻撃の種類や代表的な対策方法を解説

目次

  1. サイバーセキュリティとは?
    1. サイバーセキュリティの定義とその重要性について
    2. サイバーセキュリティが必要とされる理由
  2. サイバーセキュリティの代表的な対策
    1. ネットワークセキュリティ対策
    2. 情報セキュリティ
    3. アプリケーションセキュリティ
    4. エンドポイントセキュリティ
    5. エンドユーザー教育
  3. サイバーセキュリティの対象となる主なサイバー攻撃の種類
    1. マルウェア
    2. ランサムウェア
    3. 標的型攻撃
    4. フィッシング詐欺
    5. DoS攻撃/ DDoS攻撃
  4. サイバーセキュリティ対策で押さえておきたいポイント
    1. 総務省セキュリティガイドラインに沿った対策を取る
    2. OSやソフトウェアのアップデートを行う
    3. パスワードの管理の徹底、多要素認証の導入
    4. セキュリティポリシーの策定と従業員教育
  5. まとめ

サイバーセキュリティとは、ネットワークやシステム、デバイス、クラウドなどの情報資産を、サイバー攻撃から守るための対策全般を指します。

私たちがインターネットを安全に利用し、企業が安心して事業を継続するためにも、サイバーセキュリティは今や欠かせない取り組みです。

本記事では、サイバーセキュリティの基礎知識から実践的な対策まで、企業が知るべき脅威対策の全体像を解説します。

サイバーセキュリティとは?

ここではサイバーセキュリティの基本概念と脅威について解説します。

サイバーセキュリティの定義とその重要性について

サイバーセキュリティとは、コンピューターシステム、ネットワーク、データなどのデジタル資産を悪意のある攻撃から保護する包括的な概念です。その核心は、情報セキュリティの三大要素「機密性(情報漏洩の防止)」「完全性(改ざんの防止)」「可用性(必要時のアクセス確保)」の確保にあります。

サイバー攻撃による被害は、システム停止や情報漏洩による直接損失だけでなく、顧客信頼失墜、法的責任、競争優位性喪失など長期的な影響を企業に与えるため、事業継続性の観点から被害を受けない為の対策が重要です。

サイバーセキュリティが必要とされる理由

インターネットやクラウドサービスの普及により利便性が高まる一方で、サイバー攻撃は年々巧妙化・深刻化しています。近年では金銭目的のランサムウェアや、標的型の高度な攻撃(APT)など、企業や組織を狙った長期的かつ執拗な攻撃が目立っています。

総務省が公表した情報によると、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が観測したサイバー攻撃関連の通信数は、2021年度時点で約5,180億パケットに達し、2018年度からわずか3年で約2.4倍に増加しました。さらに、2023年度には6,197億パケットと過去最高を記録しており、脅威拡大が続いていることがわかります。

サイバー攻撃は一過性のものではなく、今後も継続的に増加する可能性が高いため、企業には自社だけでなく、取引先や関連企業も含めたセキュリティ対策が求められています。

NICTERにおけるサイバー攻撃関連の通信数の推移 引用:総務省|令和6年版 情報通信白書|サイバーセキュリティ上の脅威の増大

引用:総務省|令和6年版 情報通信白書|サイバーセキュリティ上の脅威の増大

サイバーセキュリティの代表的な対策

効果的なセキュリティ対策には、技術的、組織的、物理的な各側面からのバランス良いアプローチが重要です。主要な対策分野について解説します。

ネットワークセキュリティ対策

ネットワークセキュリティは、企業のネットワークインフラを脅威から保護する基盤的な対策です。

対策技術 機能・役割 効果
ファイアウォール
  • 事前定義されたセキュリティルールに基づく通信制御
  • 不正アクセスの遮断
  • 内外ネットワークの境界防御
  • 第一の防御線として機能
  • 基本的な不正通信の遮断
IPS(侵入防止システム)
  • リアルタイムでの通信監視
  • 既知の攻撃パターン検知
  • 異常通信の自動ブロック
  • 未知の脅威への対応
  • 自動的な攻撃防御
ネットワーク分離・セグメンテーション
  • 重要システムの独立したネットワーク配置
  • 攻撃の横展開防止
  • システム間のアクセス制御
  • 被害範囲の限定化
  • 重要資産の保護強化

情報セキュリティ

組織全体でセキュリティを意識した運用体制の構築が不可欠です。人的要因による脅威を軽減し、統一されたセキュリティレベルを維持するための取り組みが重要となります。

対策分野 主な内容 効果・目的
セキュリティポリシーの策定・運用
  • アクセス権限管理
  • データ取り扱いルール
  • インシデント報告手順
  • 定期的な見直し・更新
  • 従業員の行動指針を明確化
  • 新しい脅威や業務変化への対応
  • 統一されたセキュリティレベルの維持
インシデント対応体制
  • 対応手順の事前策定
  • CSIRT設置
  • 緊急連絡体制の整備
  • 復旧計画の準備
  • 迅速で適切な初動対応
  • 専門的な組織的対応
  • 被害の最小化
従業員教育・意識向上
  • フィッシングメール対策
  • パスワード管理教育
  • ソーシャルエンジニアリング対処
  • 定期的な模擬攻撃訓練
  • 組織全体のセキュリティレベル向上
  • 実際の脅威に対する対応力養成
  • 人的要因による脅威の軽減

アプリケーションセキュリティ

アプリケーションセキュリティは、Webアプリケーションやソフトウェアの脆弱性を狙った攻撃から企業を保護する重要な対策領域です。

対策手法 対象・内容 防御できる攻撃
WAF(Web Application Firewall)
  • Webアプリケーション専用ファイアウォール
  • アプリケーション層での攻撃検知・防御
  • SQLインジェクション
  • クロスサイトスクリプティング(XSS)
  • クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)
脆弱性診断・パッチ管理
  • 定期的なセキュリティスキャン
  • 優先度に応じたパッチ適用
  • ゼロデイ攻撃への迅速対応
  • 既知の脆弱性を狙った攻撃
  • システムの弱点悪用
セキュアコーディング
  • 開発段階からのセキュリティ考慮
  • 入力値検証の実装
  • 適切な認証・認可機能
  • 暗号化通信の実装
  • 根本的なセキュリティ脆弱性
  • 設計・実装レベルでの弱点

関連記事:WAFとは?導入によって防げるサイバー攻撃や導入の注意点を解説
関連記事:脆弱性診断(セキュリティ診断)とは?種類から実施方法まで解説

エンドポイントセキュリティ

エンドポイントセキュリティは、ネットワークに接続されたPCやスマートフォン等の端末、サーバーを保護するためのセキュリティ対策です。リモートワークの普及により、その重要性が一層高まっています。

対策技術 対象デバイス・機能 期待される効果
EDR(Endpoint Detection and Response)
  • PC、サーバー等の端末
  • 端末活動の継続監視
  • 行動分析・機械学習による検知
  • 高度な脅威の検知
  • 従来のアンチウイルスでは対応困難な攻撃
  • リアルタイムでの異常検知
デバイス管理・セキュリティ設定
  • 企業管理下の全端末
  • 統一セキュリティポリシー適用
  • 自動アップデート機能
  • 一貫したセキュリティレベル
  • 設定ミスによる脆弱性の排除
  • 最新セキュリティ状態の維持
MDM(モバイルデバイス管理)
  • スマートフォン、タブレット
  • リモートワイプ機能
  • アプリケーション制御
  • 位置追跡機能
  • デバイス紛失時のリスク最小化
  • 業務データの保護
  • 不正アプリケーションの排除

エンドユーザー教育

エンドユーザー教育は、技術的対策だけでは防げない人的要因による脅威を軽減する重要な対策です。エンドユーザーがセキュリティ対策を身につけ実行することで、サイバー攻撃にさらされる危険が大きく低下します。

項目 実施内容 期待される効果
セキュリティ意識向上研修
  • 最新の脅威動向の情報提供
  • 攻撃手法の理解促進
  • 実際の攻撃事例の共有
  • 日常業務でのリスク認識
  • 脅威に対するリアルな認識
  • セキュリティ意識の向上
  • 適切な判断力の養成
フィッシング対策訓練
  • 模擬フィッシングメールの送信
  • 従業員の反応測定
  • 個別指導の実施
  • 定期的な訓練継続
  • 組織全体のフィッシング耐性向上
  • 実践的な対応力の養成
  • 継続的な意識維持
パスワード管理教育
  • 強固なパスワード作成方法
  • パスワード管理ツール活用法
  • 多要素認証の重要性
  • 使い回しリスクの説明
  • 認証セキュリティの強化
  • パスワード関連リスクの軽減
  • 適切な運用の促進

関連記事:パスワード管理の重要性とは?情報漏洩による損害とパスワードの安全な管理方法を解説

サイバーセキュリティの対象となる主なサイバー攻撃の種類

サイバーセキュリティ対策を効果的に実施するためには、企業が直面する具体的な脅威を理解することが欠かせません。代表的なサイバー攻撃の種類と特徴について解説します。

マルウェア

マルウェアとは、デバイスやネットワークに害を及ぼす悪意のあるソフトウェアの総称です。「Malicious Software」の略語で、様々な種類の悪質なプログラムを包含します。

マルウェアの種類 感染・拡散方法 主な活動内容
ウイルス
  • 他のプログラムに寄生
  • 感染ファイルの実行により活動開始
  • 自己複製・感染拡大
  • データ破壊・改ざん
  • システム動作不良
ワーム
  • ネットワーク経由で自動拡散
  • 独立したプログラムとして動作
  • セキュリティ脆弱性の悪用
  • システム間移動
  • 大規模ネットワーク障害
トロイの木馬
  • 正当ソフトウェアを装って侵入
  • ユーザーの意図的インストール
  • バックドア設置
  • 機密情報窃取
  • 不正アクセス許可

関連記事:トロイの木馬とは?種類や感染経路、対策方法を徹底解説

ランサムウェア

ランサムウェアはマルウェアの一種で、近年最も深刻なサイバー脅威の一つです。感染者のデータを暗号化またはシステムをロックし、復旧と引き換えに身代金を要求します。

ランサムウェアの種類 攻撃手法 要求内容
暗号化型
  • 重要ファイルの強力暗号化
  • 復号キーの秘匿
  • ビジネスデータを人質化
  • 復号キーと引き換えの身代金
  • 暗号通貨での支払い要求
  • 期限付きの脅迫
画面ロック型
  • コンピューター画面のロック
  • 警告メッセージ表示
  • システムアクセス阻害
  • アクセス復旧のための支払い
  • 偽の法執行機関による脅迫
二重恐喝型
  • データ暗号化+事前窃取
  • 機密情報の公開脅迫
  • 複合的な被害拡大
  • 復号キー+情報非公開の身代金より高額な要求
  • 評判被害の回避費用

標的型攻撃

標的型攻撃は特定企業や組織に対し、機密情報の搾取やデータ暗号化などを仕掛ける高度で持続的な攻撃手法です。一般的な無差別攻撃とは異なり、特定のターゲットに対して綿密な事前調査を行います。

攻撃の段階 実施内容 使用される手法
初期侵入
  • ターゲット組織への潜入
  • 従業員・業務内容の詳細調査
  • 最適な侵入経路の選択
  • フィッシングメール
  • ウォーターホール攻撃
  • サプライチェーン攻撃
内部探索・権限昇格
  • ネットワーク内の横移動
  • 高権限アカウントの取得
  • 検知回避活動
  • 正当管理ツールの悪用
  • 認証情報の窃取
  • 脆弱性の悪用
目標達成
  • 最終目標の実行
  • 長期間の潜伏活動
  • 継続的な情報窃取
  • 機密情報の窃取
  • システムの破壊
  • 業務妨害活動

フィッシング詐欺

フィッシング詐欺は、正当な組織や個人を装った偽メールやWebサイトを使用して、機密情報を騙し取る詐欺手法です。巧妙な偽装によりユーザーを悪質なサイトへ誘導します。

フィッシングの種類 攻撃対象・手法 狙われる情報
メール型フィッシング
  • 銀行・カード会社等の偽装
  • 緊急性を装った内容
  • 偽ログインページへの誘導
  • ID・パスワード
  • クレジットカード情報
  • 個人情報
スピアフィッシング
  • 特定個人・組織への攻撃
  • 詳細な事前情報収集
  • 高い信憑性の偽装メール
  • 企業機密情報
  • 役員・経理担当者の認証情報
  • 財務情報
SMSフィッシング(スミッシング)
  • SMS経由の攻撃
  • 宅配業者・金融機関の偽装
  • 不正アプリのダウンロード誘導
  • 個人認証情報
  • 金融口座情報
  • デバイスへの不正アクセス

DoS攻撃/ DDoS攻撃

DoS(Denial of Service)攻撃は、サーバーに過剰な負荷をかけてサービスを停止させる攻撃手法です。DDoS攻撃は複数のコンピューターから実行される大規模攻撃です。

攻撃の種類 攻撃手法・規模 影響・被害
DoS攻撃
  • 単一攻撃元からの大量リクエスト
  • サーバーリソースの枯渇
  • 正当ユーザーのアクセス阻害
  • サービス利用不可
  • 業務継続の阻害
  • 顧客満足度の低下
DDoS攻撃
  • ボットネットによる分散攻撃
  • 複数コンピューターからの協調攻撃
  • 大規模で検知困難
  • 大規模サービス障害
  • ISPインフラへの影響
  • 長期間のサービス停止
アプリケーション層攻撃
  • 少量トラフィックでの効果的攻撃
  • CPU
  • メモリリソースの枯渇
  • 検知が困難
  • サーバーの完全停止
  • 復旧困難な障害
  • 隠密性の高い攻撃

サイバーセキュリティ対策で押さえておきたいポイント

効果的なサイバーセキュリティ対策を実施するためには、基本的なセキュリティ原則を理解し、体系的なアプローチを採用することが大切です。

総務省セキュリティガイドラインに沿った対策を取る

総務省が策定する「国民のための情報セキュリティサイト」や各種セキュリティガイドラインは、企業がサイバーセキュリティ対策を実施する際の重要な指針となります。

政府機関統一基準群や「サイバーセキュリティ経営ガイドライン」では、経営層が理解すべきセキュリティの重要性と組織全体の対策方針が示されています。業界別ガイドラインを参照し、金融業界、医療業界、製造業など、それぞれの業界特有の脅威に対応した対策を実施することで、標準的なセキュリティレベルを確保できるでしょう。

OSやソフトウェアのアップデートを行う

OSやソフトウェアのアップデートは、基本的ながら重要なセキュリティ対策です。ソフトウェアベンダーが脆弱性に対するパッチを定期的にリリースするため、これらのアップデートを迅速に適用することで、既知の脆弱性を狙った攻撃を防げます。

緊急レベルのセキュリティアップデートを最優先で適用し、自動アップデート機能を活用しつつ、重要システムでは事前テストを実施した上で計画的にアップデートを実行することを心がけましょう。

パスワードの管理の徹底、多要素認証の導入

強固な認証システムの構築は不正アクセスを防ぐために欠かせません。「12文字以上で英数字・記号を組み合わせる」「他サービスとの使い回し禁止」などの強固なパスワードポリシーを策定し、パスワード管理ツールを導入して、従業員が複数のパスワードを安全に管理できる環境を構築しましょう。

多要素認証(MFA)などを導入することで、たとえパスワードが漏洩しても不正アクセスを防ぐことができます。

セキュリティポリシーの策定と従業員教育

組織全体でのセキュリティ意識向上には、明確なセキュリティポリシーの策定と継続的な従業員教育が不可欠です。情報分類、アクセス管理、インシデント対応、デバイス管理などの各領域について具体的なルールを定義し、実践的で理解しやすい内容としましょう。

まとめ

サイバーセキュリティは、企業にとって事業継続と競争優位性確保のための必須要件です。サイバー脅威も日々進化しており、企業には継続的な対策と適応が求められています。

ネットワークセキュリティ、エンドポイント保護、アプリケーションセキュリティなどの技術を駆使しつつ、従業員教育により人的要因による脅威を軽減することが大切です。

サイバーセキュリティは一度整備して終わりではなく、常に改善が求められる分野です。経営層から現場まで組織全体でセキュリティ意識を高め、サイバーセキュリティ対策に取り組んでいきましょう。

この記事の執筆者

イラスト:須賀田 淳さん

SB C&S株式会社
ICT事業部 ネットワーク&セキュリティ推進本部
須賀田 淳

サイバーセキュリティのマーケティング歴5年。
最新のトレンドや事例をリサーチ。専門的なテーマも、初めての方が理解しやすいように噛み砕いて発信しています。

関連記事

セキュリティ製品選定のコツをご紹介 導入検討者向け資料をダウンロードする うちの会社に最適なセキュリティ製品は?専任の担当者に相談する
図:テキスト01

SB C&Sに相談する

Contact

SB C&Sでは経験豊富な「セキュリティソムリエ」が、お客様の課題をヒアリングし、最適なソリューションをご提案します。
ご相談・お見積りのご依頼もお気軽にお問合せください。

資料ダウンロード

図:ダウンロードアイコン

重要な7大セキュリティ領域を
網羅した資料をご用意しています。

お問い合わせ

図:矢印アイコン

貴社の状況に合わせて
個別にご案内いたします。