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CSPMとは?クラウドセキュリティ態勢管理で実現する設定ミス防止と継続的監視について

2025.9.30

CSPMとは?クラウドセキュリティ態勢管理で実現する設定ミス防止と継続的監視について

CSPMとは?クラウドセキュリティ態勢管理で実現する設定ミス防止と継続的監視について

目次

  1. CSPMとは
  2. CSPMが求められる背景
  3. CSPMの主な機能
    1. クラウドサービスの一元管理
    2. 設定ミスやインシデントの検知
    3. 国際基準に基づいたチェック
  4. 主要クラウドプロバイダー対応
    1. AWS・Azure・GCPマルチクラウド対応
    2. Kubernetes・コンテナ環境監視
    3. SaaS・IaaSサービス連携
  5. CSPM導入のメリット
    1. セキュリティレベルの向上
    2. ガバナンスとコンプライアンス強化
    3. 保守や運用コストの削減
  6. CSPMツール選定・導入のポイント
    1. 利用中のクラウドサービスプロバイダとの連携
    2. マルチクラウド環境でも利用可能かどうか
    3. 拡張性の有無
  7. まとめ

CSPM(クラウドセキュリティ態勢管理)は、クラウド環境の設定や構成を継続的に監視・評価し、不適切な設定やコンプライアンス違反、脆弱性を早期に発見・修正するソリューションです。

IaaSやPaaSの利用が拡大する中、設定ミスや管理不足による情報漏洩リスクを低減する手段として注目されています。CSPMを導入することで、クラウドのセキュリティ状況を可視化し、インシデントを未然に防ぐだけでなく、自動修復機能により運用負荷の軽減も期待できます。

本記事では、CSPMの基本概念から導入メリット、選定ポイントまで解説します。

CSPMとは

CSPM(Cloud Security Posture Management)とは、クラウドセキュリティ態勢管理と呼ばれ、クラウド上にある各種システムの「現在の状態」を継続的に確認し、設定ミスや脆弱性などを検証してセキュリティを担保するソリューションです。

従来のセキュリティ管理では、物理的なサーバーやネットワーク機器の設定を個別に管理していましたが、クラウド環境では仮想的なリソースが動的に作成・削除される特性があります。CSPMは、このような流動的なクラウド環境において、セキュリティポリシーに準拠した設定が維持されているかを自動的に監視します。

さらに、単なる監視にとどまることなく、発見された問題に対する具体的な修復提案や自動修復機能も提供。継続的にセキュリティレベルを維持します。

CSPMが求められる背景

DX推進やリモートワークの拡大により、企業のクラウド利用は急速に進んでいます。しかし、導入スピードに対してセキュリティ体制の整備が追いつかず、設定ミスや権限の過剰付与といったリスクが増大しています。

クラウド環境では「責任共有モデル」が適用され、インフラの物理的セキュリティはクラウド事業者が担う一方、アプリやデータの保護や設定管理は利用者の責任です。この責任範囲の認識不足が、重大なインシデントの原因となっています。

こうした背景から、ゼロトラストの考え方を取り入れ、クラウド環境の設定や権限を継続的に監視・是正するCSPMの重要性が高まっています。

関連記事:クラウドネイティブとは?技術やアプリの特徴、導入メリットなど分かりやすく解説

CSPMの主な機能

CSPMツールは、複雑なクラウド環境におけるセキュリティ管理の効率化を図るため、多角的な機能を提供しています。

クラウドサービスの一元管理

現代の企業では、AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platformといった複数のクラウドプロバイダーを同時に利用するマルチクラウド戦略が一般的です。CSPMは、これらの複数のクラウドサービスを一元管理できる機能を有しています。

一元管理機能により、各クラウドプロバイダーの異なる管理インターフェースや設定項目を統一された視点で管理できます。複数のクラウド環境にまたがるセキュリティポリシーの適用、インベントリ管理、コンプライアンス報告書の作成などを、単一のプラットフォームから実行できるため、管理工数の大幅な削減が可能です。

設定ミスやインシデントの検知

CSPMの価値は、違反となる操作や設定ミスが検知された場合に、担当者にアラートが通知される自動検知機能です。トラブルが発生する前に問題を検知・解消することで、事業への影響を未然に防げます。検知対象には、以下のようなものがあります。

  • データベースのパブリックアクセス有効化
  • セキュリティグループでの不適切なアクセス許可
  • 暗号化設定の無効化
  • 権限の過度な付与

国際基準に基づいたチェック

CSPMツールは、セキュリティ業界で広く認められている「CISベンチマーク」や「PCI DSS」などの国際的な規格に基づいた包括的なセキュリティチェックを実行します。

CISベンチマークは、各クラウドプロバイダーに特化したセキュリティ設定を詳細に定義しており、CSPMは数百項目にわたるセキュリティチェックを自動実行し、準拠状況をスコア化して表示します。

主要クラウドプロバイダー対応

CSPMソリューションの実用性は、企業が実際に利用しているクラウド環境との適合性によって大きく左右されます。

AWS・Azure・GCPマルチクラウド対応

効果的なCSPMソリューションを導入するためには、Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platformといったネイティブサービスにおける、プラットフォーム固有のセキュリティ設定に対応しているか確認する必要があります。

各プロバイダーの主要対応サービス

クラウドプロバイダー 認証・認可システム セキュリティサービス
AWS IAM Security Hub, GuardDuty
Azure Active Directory Security Center, Sentinel
GCP Cloud Identity Security Command Center

Kubernetes・コンテナ環境監視

コンテナ技術とKubernetesの普及により、CSPMツールにはこれらの新しい環境への対応が求められます。Kubernetesクラスターのセキュリティ監視では、コンテナイメージの脆弱性スキャン、ポッドのセキュリティコンテキスト設定、ネットワークポリシーの適切性などを包括的なチェックが欠かせません。

SaaS・IaaSサービス連携

現代の企業IT環境では、IaaSだけでなく、Microsoft 365、Google Workspace、SalesforceなどのSaaSサービスも欠かせない存在です。CSPMは、これらのSaaSアプリケーションのセキュリティ設定も管理対象とし、ユーザーアクセス権限の適切性や多要素認証の設定状況を監視します。

CSPM導入のメリット

CSPMの導入は、企業のクラウドセキュリティ体制を多方面にわたって強化します。

セキュリティレベルの向上

CSPM導入により、企業全体のセキュリティレベルの向上が期待できます。

従来、人的な監視に依存していたクラウド環境のセキュリティ管理を自動化することで、見落としがちな設定ミスや脆弱性を確実に検出できるようになります。これらの継続的な監視により、新たに発見される脆弱性への対応速度も大幅に改善できるでしょう。

ガバナンスとコンプライアンス強化

CSPMは、企業のITガバナンス体制とコンプライアンス管理を大幅に強化します。クラウド環境の設定状況を継続的に監視し、企業の定めたセキュリティポリシーや業界規制への準拠状況を自動的に評価。ガバナンス活動の効率化と精度向上を実現します。対応可能な主な規制には、以下のようなものが挙げられます。

  • GDPR(一般データ保護規則)
  • HIPAA(医療保険の携行性と責任に関する法律)
  • SOX法(サーベンス・オクスリー法)
  • ISO 27001

保守や運用コストの削減

CSPMの導入により、長期的な観点から企業の運用コストを大幅に削減できます。従来は手動で行っていたセキュリティチェック作業を自動化することで、作業効率が劇的に向上。戦略的な業務に人的リソースを集中できます。

事前にリスクを検出し予防的な対策を実施することで、インシデント発生時の調査・復旧・損害対応にかかるコストを大幅に削減可能です。またクラウドリソースの最適化により、不要リソースの削除や過剰な権限設定見直しを促進し、クラウド利用料金削減にも貢献します。

関連記事:サイバーセキュリティとは?サイバー攻撃の種類や代表的な対策方法を解説

CSPMツール選定・導入のポイント

CSPMツールの選定と導入を成功させるためには、現状と将来計画を考慮した戦略的なアプローチが必要です。

利用中のクラウドサービスプロバイダとの連携

CSPM導入では、現在利用しているクラウドサービスプロバイダ(AWS、Azure、GCPなど)との連携可否を確認しましょう。接続できるかどうかだけでなく、各プロバイダの最新サービスへの対応スピードや、ネイティブセキュリティ機能との統合度も重要です。

マルチクラウド環境でも利用可能かどうか

マルチクラウド対応は必須要件と言えます。複数プラットフォームへの接続だけでなく、統一されたセキュリティポリシーを全環境に適用できるかどうかが重要です。評価すべきマルチクラウド機能には以下が挙げられます。

  • 異なるクラウドプラットフォーム間でのセキュリティ基準の統一
  • 相互運用性の確保
  • 一元的な監視・管理機能の提供
  • 将来的なクラウド戦略変更への柔軟な対応

拡張性の有無

企業の成長とともにクラウド環境は規模も複雑性も拡大します。監視対象リソースやデータ処理量の増加に耐えられる技術的スケーラビリティはもちろん、カスタムルール作成、API連携、サードパーティツールとの統合など機能面での拡張性も欠かせません。

これらが不足すると、新しいサービスやリソースのセキュリティ管理が追いつかなくなります。

まとめ

CSPM(クラウドセキュリティ態勢管理)はセキュリティリスクから企業を守る重要なソリューションです。従来の手動管理では対応困難な複雑なマルチクラウド環境において、継続的な監視と自動化されたリスク検出により、企業のセキュリティレベルを大幅に向上させます。

ツール選定においては、利用中のクラウドプロバイダーとの連携性、マルチクラウド対応能力、拡張性を評価することが重要です。適切なCSPMソリューションの導入により、企業は安全で効率的なデジタル変革を推進できるでしょう。

この記事の執筆者

イラスト:若園 直子さん

SB C&S株式会社
ICT事業部 ネットワーク&セキュリティ推進本部
若園 直子

サイバーセキュリティのマーケティング担当。
専門的な内容でも、読者にとって親しみやすく、実践につながる形で伝えることを大切にしています。

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