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トロイの木馬とは?種類や感染経路、対策方法を徹底解説

2025.9.3

トロイの木馬とは?種類や感染経路、対策方法を徹底解説

トロイの木馬とは?種類や感染経路、対策方法を徹底解説

目次

  1. トロイの木馬とは?
    1. トロイの木馬の定義と名前の由来
    2. トロイの木馬の基本的な特徴
  2. 代表的なトロイの木馬の種類
    1. 遠隔操作(バックドア型)
    2. 情報窃取型
    3. ダウンローダー型
    4. 破壊型
  3. トロイの木馬の感染経路と拡散手法
    1. 電子メールの添付ファイル
    2. 不正Webサイト
    3. USBメモリ等リムーバブルメディア
    4. ソーシャルエンジニアリング
  4. トロイの木馬による被害と影響
    1. 個人・企業への具体的被害事例
    2. 被害拡大要因と深刻度
  5. トロイの木馬の検知・除去方法
    1. 感染の兆候と早期発見
    2. アンチウイルスソフトによる対策
    3. 手動除去と専門家への相談
  6. トロイの木馬の予防対策
    1. 技術的予防措置
    2. 従業員教育と意識向上
    3. システム管理と定期点検
  7. まとめ

サイバー攻撃の手法として最も代表的なマルウェアのひとつが「トロイの木馬」です。巧妙に正常なソフトウェアを装いながら、システムに侵入して様々な被害をもたらします。

本記事では、トロイの木馬の基本的な仕組みから具体的な種類や感染経路、そして効果的な対策方法まで詳しく解説します。

トロイの木馬とは?

トロイの木馬は、一見正常なソフトウェアを装いながら、実際には悪意のある機能を隠し持つマルウェアです。その名称の由来と基本的な特徴を理解していきましょう。

トロイの木馬の定義と名前の由来

「トロイの木馬」という名称は、古代ギリシャ神話の「トロイア戦争」に由来しています。ギリシャ軍は難攻不落の都市トロイアを攻め落とすため、大きな木馬を“贈り物”として敵に送りつけました。城内に引き入れられたその木馬の中には、実は兵士たちが潜んでおり、夜中に中から出てきて城を内部から陥落させたという有名な逸話です。

この神話になぞらえ、コンピュータの世界でも「無害に見えるプログラムの中に悪意のある機能を潜ませたマルウェア」が「トロイの木馬」と呼ばれるようになりました。

トロイの木馬の基本的な特徴

トロイの木馬は単体で動作し、自己増殖しないタイプのマルウェアです。これはネットワーク経由で自律的に拡散するワームや、既存ファイルに寄生するウイルスとは異なり、ユーザーが「安全なソフト」と誤認して実行することで侵入します。企業環境では、この「ユーザー実行依存型」の特性が、従来の境界防御だけでは防ぎにくい要因となっています。

また、感染後はバックグラウンドでひっそりと動作を続ける潜伏性や、システム起動時に自動で実行される持続性も特徴です。一度感染すると、ユーザーが気づかないうちにデータの窃取や遠隔操作などの被害が長期にわたって続く恐れがあります。

代表的なトロイの木馬の種類

トロイの木馬は、その機能や目的に応じていくつかのタイプに分類されますが、ひとつのトロイの木馬が複数の機能を兼ね備えている場合もあります。ここでは代表的なタイプを紹介し、それぞれの特徴を解説します。

遠隔操作(バックドア型)

トロイの木馬は、その機能や目的に応じていくつかのタイプに分類されますが、ひとつのトロイの木馬が複数の機能を兼ね備えている場合もあります。ここでは代表的なタイプを紹介し、それぞれの特徴を解説します。

遠隔操作型トロイの木馬は、攻撃者が被害者のPCやネットワークに裏口(バックドア)を設置することを目的としています。これにより、攻撃者は被害者に気づかれないまま外部からアクセスし、以下のような操作を行えます。

  • ファイルの閲覧・削除・変更
  • スクリーンの監視やキーボード入力の記録
  • 新たなマルウェアのインストール

単なる侵入口にとどまらず、恒常的な遠隔制御を可能にする点で、サイバー攻撃の拠点として悪用されやすいタイプです。

情報窃取型

情報窃取型は、個人情報やログイン認証情報、企業の機密情報などを盗み出すことを目的としたタイプです。

遠隔操作型トロイの木馬は、攻撃者が被害者のPCやネットワークに裏口(バックドア)を設置することを目的としています。これにより、攻撃者は被害者に気づかれないまま外部からアクセスし、以下のような操作を行えます。

  • キーロガー機能で入力情報を記録
  • スクリーンキャプチャで画面情報を取得
  • 保存データを暗号化して外部へ送信

これにより、被害者のオンラインバンキング情報が盗まれたり、企業の知的財産が流出したりする深刻な被害を引き起こします。

ダウンローダー型

ダウンローダー型トロイの木馬は、最初の侵入役として機能する“中継型マルウェア”です。初期感染時は目立った動作を見せず、静かに以下のような活動を行います

遠隔操作型トロイの木馬は、攻撃者が被害者のPCやネットワークに裏口(バックドア)を設置することを目的としています。これにより、攻撃者は被害者に気づかれないまま外部からアクセスし、以下のような操作を行えます。

  • 攻撃者の指示で外部サーバーに接続
  • 他のマルウェア(ランサムウェアやスパイウェアなど)をダウンロード
  • システム上に追加マルウェアを設置

このタイプは、より深刻な攻撃への入り口として機能するため、検知と対処が遅れると大規模な被害につながります。

破壊型

破壊型は、データやシステムそのものを破壊することを目的とした攻撃的なトロイの木馬です。金銭的な利益よりも、混乱や損害を引き起こすことが狙いです。

遠隔操作型トロイの木馬は、攻撃者が被害者のPCやネットワークに裏口(バックドア)を設置することを目的としています。これにより、攻撃者は被害者に気づかれないまま外部からアクセスし、以下のような操作を行えます。

  • システムファイルやレジストリの破損
  • ハードディスクの初期化
  • 起動不能にするブートローダー改ざん

このような活動により、復旧が困難な被害が発生し、個人だけでなく企業の事業継続にも深刻な影響を与えることがあります。

トロイの木馬の感染経路と拡散手法

トロイの木馬は、様々な経路を通じてシステムに侵入します。主な感染経路は以下の通りです。

電子メールの添付ファイル

電子メールの添付ファイルは、トロイの木馬の最も一般的な感染経路です。攻撃者は、業務関連の文書や重要な通知を装ったメールを送信し、受信者が添付ファイルを開くことで感染を狙います。

不正Webサイト

悪意のあるWebサイトや改ざんされた正常なWebサイトを通じて、トロイの木馬が配布されます。ユーザーがサイトを訪問するだけで自動的にダウンロードされる場合もあります。

USBメモリ等リムーバブルメディア

USBメモリやCD-ROMなどのリムーバブルメディアを介して感染が拡大します。感染したメディアを別のコンピュータに接続すると、自動実行機能により感染が拡大します。

USBメモリやCD-近年はUSBやCD-ROMを介した感染は減少しており、代わってサプライチェーン攻撃や水飲み場型攻撃、クラウドストレージやファイル共有サービスを悪用した感染が増えています。取引先や業界団体のWebサイトが改ざんされ、そこからダウンロードした正規更新プログラムにトロイの木馬が仕込まれるケースもあります。

ソーシャルエンジニアリング

心理的操作技術を用いて、ユーザーを騙してトロイの木馬を実行させる手法です。緊急性や権威性を装い、ユーザーの判断力を低下させて感染を狙います。

トロイの木馬による被害と影響

トロイの木馬による被害は、個人から企業まで幅広い範囲に及びます。その影響の深刻さと拡大要因を理解することで、適切な対策の必要性が明確になります。

個人・企業への具体的被害事例

企業ネットワークでは、1台の端末がトロイの木馬に感染するだけで、Active Directoryの認証情報が窃取され、社内のサーバーやクラウドサービスへの侵入が連鎖的に発生することがあります。これにより、業務アプリケーションやERPシステム、顧客データベースへの不正アクセス、ランサムウェア拡散など、ビジネス継続に直結する深刻なリスクが発生します。

個人情報や機密データの漏洩も重大な被害の一つで、氏名、住所、クレジットカード情報、企業の顧客情報、技術情報などが外部に流出し、二次被害を引き起こします。

被害拡大要因と深刻度

トロイの木馬の活動は気づきにくく、長期間にわたって被害が継続します。バックグラウンドで動作するため、ユーザーが感染に気づくまでに時間がかかるのが特徴です。

企業ネットワーク内で横展開により被害が拡大するリスクも高く、一台の感染が全体のシステムに影響を与える可能性があります。これにより、事業継続性に重大な影響を与えます。

トロイの木馬の検知・除去方法

トロイの木馬は、見た目が正常なソフトウェアと変わらないため、発見が遅れるケースが少なくありません。被害を最小限に抑えるには、感染の兆候を早期に察知し、適切な方法で迅速に対処することが大切です。

企業環境では、従来のアンチウイルスだけでは高度なトロイの木馬を完全に検知できない場合があります。EDR(Endpoint Detection and Response)やXDRを導入し、端末での不審なプロセスや通信をリアルタイムで監視することが重要です。さらにSOC(Security Operations Center)と連携し、感染端末の自動隔離や横展開阻止を行う仕組みを整備することで、被害の拡大を防げます。

感染の兆候と早期発見

まず大切なのは、「何かおかしい」と気づけるかどうかです。トロイの木馬に感染した場合、以下のような異常が現れることがあります。

  • パソコンの動作が極端に遅くなる
  • CPU使用率が高い状態が続く
  • 知らないプログラムやプロセスが勝手に動いている
  • 不審な外部との通信が行われている

また、以下のような画面上の変化も、感染を疑うサインです。

  • ブラウザの設定が勝手に変わる
  • ポップアップ広告が頻繁に表示される
  • ファイルが勝手に削除・移動される
  • システムが頻繁にクラッシュする

これらの兆候が見られた場合は、放置せずに早急な調査やスキャンを行いましょう。

アンチウイルスソフトによる対策

基本的な対策としては、信頼性の高いアンチウイルスソフトを導入し、定期的にシステムスキャンを実行することが効果的です。

  • リアルタイム保護によりファイル実行時やダウンロード時に脅威をブロック
  • ウイルス定義ファイルの更新により新たなマルウェアにも対応
  • システム全体の定期スキャンで潜伏中の脅威を検出

とくにトロイの木馬は一見して無害なファイルに見えるため、最新の定義ファイルによる高精度な検出が鍵となります。

手動除去と専門家への相談

高度に巧妙なトロイの木馬や、アンチウイルスソフトでも除去できない場合には、手動での対応が必要になることもあります。

  • 不審なプロセスの停止
  • レジストリの確認・修正
  • 感染ファイルの削除

ただし、これらはシステムに深刻な影響を与える可能性があるため、十分な知識がないまま操作するのは危険です。

企業ネットワークや業務用PCなど重要な環境では、セキュリティ専門家への相談をおすすめします。誤った対応でシステムが起動しなくなるリスクを避け、確実な除去と復旧を図れます。

トロイの木馬の予防対策

効果的な予防対策により、トロイの木馬の感染リスクを大幅に軽減できます。技術的な対策と人的な対策を組み合わせることが重要です。

技術的予防措置

まずは、システム面での備えを徹底しましょう。

  • 信頼性の高いセキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保つ
  • ファイアウォールを適切に設定し、不審な通信をブロック
  • OSやアプリケーションにセキュリティパッチを適用し、既知の脆弱性をふさぐ
  • 使用していないソフトウェアはアンインストールし、攻撃対象の範囲を狭める

こうしたすき間を作らない設計が、トロイの木馬の侵入を防ぐ基本となります。

最新のセキュリティ対策では、ゼロトラストアーキテクチャを採用し、すべてのアクセスを検証する多層防御が推奨されています。サンドボックスを活用した添付ファイルやダウンロードファイルの動的解析、Eメールゲートウェイによる事前検査、クラウドアクセスセキュリティブローカー(CASB)によるクラウド利用監視を組み合わせることで、未知のトロイの木馬侵入を防ぎやすくなります。

従業員教育と意識向上

次に欠かせないのが、利用者の意識と判断力の強化です。

  • フィッシングメールの見分け方
  • 怪しい添付ファイルやリンクを開かない習慣
  • ソーシャルエンジニアリング(心理的なだまし)の手口とその対処法

これらをテーマに、定期的なセキュリティ研修や情報共有の機会を設けましょう。さらに、模擬フィッシングメールを使った訓練や問題発生時の初動対応を確認するロールプレイなど、実践的なトレーニングも有効です。こうした取り組みによって、本番での対応力が身につきます。

システム管理と定期点検

技術・教育に加え、継続的な監視と点検の仕組みも重要です。

  • ログファイルやネットワーク通信のモニタリング
  • CPUやメモリ使用率などのリソース異常のチェック
  • 定期的なウイルススキャンの実施

あわせて、定期的なバックアップと復旧テストも忘れずに行いましょう。トロイの木馬に感染した場合でも、早期復旧が可能になります。さらに、万が一の感染に備えて、あらかじめインシデント対応計画(緊急対応マニュアル)を整備しておくと、被害を最小限に抑えられるでしょう。

まとめ

トロイの木馬は、正常なソフトウェアを装って侵入し、裏で悪意ある活動を行う危険なマルウェアです。多様な種類と巧妙な手口により、個人・企業問わず深刻な被害をもたらします。

企業におけるトロイの木馬対策は、単なるウイルス駆除だけでは不十分です。トロイの木馬は日々進化しているため、一度の対策で終わりにせず、常に見直しと改善を重ねる姿勢が求められます。EDRやゼロトラストを含む多層防御、SOCによる監視、脅威インテリジェンスの活用など、組織全体で継続的な防御体制を構築することが必要です。

この記事の執筆者

イラスト:野口 綾香さん
SB C&S株式会社
ICT事業部 ネットワーク&セキュリティ推進本部
野口 綾香

サイバーセキュリティのマーケティングを担当。
初心者の方にも理解しやすく、役立つ情報を発信することを大切にしています。

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