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SOC(Security Operations Center)とは?主な機能や役割、構築から運用体制まで解説

2025.9.3

SOC(Security Operations Center)とは?主な機能や役割、構築から運用体制まで解説

SOC(Security Operations Center)とは?主な機能や役割、構築から運用体制まで解説

目次

  1. SOC(Security Operations Center)の基礎知識
    1. SOCとは?
    2. SOCが企業に必要な理由
  2. SOCの主要機能と運用体制
    1. セキュリティ監視・分析機能
    2. インシデント対応プロセス
    3. 平常時の予防的活動
  3. SOCの運用形態は主に2種類
    1. 内部SOC
    2. 外部SOC
  4. SOC導入・構築のポイント
    1. 導入時の事前準備と要件定義
    2. ツールと技術選定
    3. 必要な人員とスキルセット
    4. AIの活用と自動化
  5. SOCの選定方法
    1. 運用対象の明確化
    2. 実績と信頼性
    3. 監視体制と報告フロー
    4. 技術力と脅威対応力
  6. まとめ

現代のビジネス環境では、サイバー攻撃が日々高度化・複雑化しています。企業が重要なデータや情報システムを守るためには、常時の監視体制が不可欠となっており、その中核を担うのが「SOC(Security Operations Center)」です。

SOCは、24時間365日体制でネットワークを監視し、サイバー脅威に即応する専門の運用センターとして、企業のセキュリティ強化に大きく貢献します。本記事では、SOCの基本的な役割から、機能、導入形態、構築・運用のポイント、選定方法までをわかりやすく解説します。

SOC(Security Operations Center)の基礎知識

SOCの導入を検討する前に、まずはSOCとは何か、なぜ企業にとって必要なのかを理解することが重要です。ここでは、SOCの基本的な定義と企業が導入すべき理由について見ていきましょう。

SOCとは?

SOC(Security Operations Center)とは、企業や組織が運営するセキュリティ専門の監視センターで、人材・プロセス・テクノロジーを統合した運用基盤を指します。専用の設備とアナリストチームが24時間365日体制でシステムやネットワークを監視し、SIEMやSOARを活用しながら脅威の検知・分析・対応を行います。日本語では「セキュリティオペレーションセンター」と訳され、サイバー攻撃から組織を守る最前線の役割を担います。

単なる監視室ではなく、高度な知識を持つアナリストが最新の脅威動向を分析し、内部不正やAPT(高度持続的標的型攻撃)などの見えにくい脅威にも継続的に対応できる点が、SOCの大きな特徴です。

SOCが企業に必要な理由

近年はゼロトラストモデルが重視され、従来の境界防御だけでは内部不正やクラウド環境での脅威を十分に検知できません。SOCは、全社のセキュリティ可視性を高め、未知の脅威を早期発見し、迅速に対応するための中枢として必要性が高まっています。

また、セキュリティ専門人材の不足により、自社だけで24時間体制の運用を構築・維持するのが困難な企業も多く存在します。特に中小企業にとっては、人的リソースや予算面の制約が大きな課題です。

さらに、個人情報保護法やGDPRといった法規制の強化、業界特有のコンプライアンス要件への対応も、SOC導入を後押しする要因となっています。証跡管理やセキュリティ監査に対応するには、専門知識と対応力を持つSOCの存在が不可欠です。

関連記事:ゼロトラスト(ゼロトラストモデル)とは?重要視される理由と実装するための要素を解説

SOCの主要機能と運用体制

効果的なSOCの運用には、明確に定義された機能と体制が必要です。ここでは、SOCが担う主要な機能と、それを支える運用体制について詳しく解説します。

セキュリティ監視・分析機能

SOCの中心的な役割は、ネットワークやシステムに対するリアルタイム監視です。SOCではファイアウォール、IDS/IPS、EDRに加えて、SIEMによるログの統合管理・相関分析、SOARによるインシデント対応の自動化を行います。さらに、脅威インテリジェンスやUEBA、XDRといった先進技術を組み合わせることで、より高度で広範囲な脅威検知・分析が可能になります。

アナリストは単純なルール検知に加え、行動パターンの変化や機械学習による異常検出を駆使し、より巧妙な脅威も早期に発見することが可能です。また、アラート発生時には、攻撃の真偽を判定し、影響範囲や攻撃経路を特定する分析作業も行います。

インシデント対応プロセス

SOCでは、インシデント発生時に迅速・的確に対応するため、L1〜L3の階層的な対応体制が整えられています。

  • L1(一次対応):アラートの受信と一次判定、誤検知の排除
  • L2(二次対応):詳細なログ分析や攻撃の深掘り調査、封じ込め対応
  • L3(三次対応):高度な脅威ハンティング、フォレンジック調査、根本原因分析と復旧計画の策定

インシデント発生時は、L1~L3のアナリストが段階的に対応するだけでなく、必要に応じて社内のCSIRTや経営層、法務部門、外部のフォレンジック専門家とも連携し、迅速かつ包括的に対応します。

平常時の予防的活動

SOCの活動はインシデント対応だけではありません。日常的な脆弱性管理や脅威ハンティング、検知ルールのチューニングなど、攻撃を未然に防ぐための取り組みも重要です。脅威ハンティングでは、既知のルールやアラートでは検知できない潜在的な侵害兆候を能動的に探索し、被害が拡大する前に封じ込めます。

また、最新の脅威情報をもとに従業員向けの教育や啓発活動を実施し、組織全体のセキュリティリテラシー向上にも貢献します。こうした継続的な活動が、SOCの“受け身ではない”価値を生み出します。

SOCの運用形態は主に2種類

SOCを構築・運用する方法は、大きく「内部SOC」と「外部SOC」の2つに分かれます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の状況に合った運用形態を選ぶことが大切です。

内部SOC

内部SOCは、自社内にセキュリティ専門チームを設け、SOC機能を独自に運用する形態です。自社の業務やネットワーク構成への深い理解を活かし、柔軟かつ迅速に対応できます。特に、機密性の高い情報を扱う企業にとっては、外部へのデータ移転が発生しない点が大きな利点です。

ただし、高度な人材の確保と育成、設備投資、ツールの導入・維持に加えて、24時間体制でのシフト管理なども必要になるため、初期コストと運用負荷は非常に大きくなります。中小企業にとっては現実的でないケースもあります。

外部SOC

外部SOCは、セキュリティ専業ベンダーやMSSP(マネージドセキュリティサービスプロバイダー)が提供するSOCサービスを利用する方法です。近年は、MDR(マネージド検知・対応)やクラウドベースSOCが登場し、オンプレ・クラウド・ハイブリッド環境を横断的に監視できます。複数顧客から収集した脅威データを活用し、グローバルな脅威インテリジェンスを共有できる点も大きな強みです。

ただし、外部SOCは自社専属の監視チームではないため、業務固有の背景を踏まえた細かなチューニングには調整が必要な場合があります。専任アナリストを配置したり、運用ルールをカスタマイズできるサービスもあり、選定次第で内部SOCに近い柔軟性を確保できます。

SOC導入・構築のポイント

SOCの導入・構築を成功させるためには、綿密な計画と適切な準備が不可欠です。

導入時の事前準備と要件定義

まず重要なのは、SOCで何を監視・対応したいのかというスコープの明確化です。ネットワーク機器、サーバー、クラウド、エンドポイントなどの監視対象を定め、それぞれの優先順位をつけていきます。

また、既存の業務フローやセキュリティポリシーとの整合性も確認が必要です。SOC導入によってフローが変わる部分や、新たに定義すべきルール(インシデント対応時の連絡体制、処罰基準など)を洗い出し、あらかじめ関係者と共有しておくことが求められます。

ツールと技術選定

SOCの機能を支える基盤として、SIEMやEDR、ログ管理システム、ネットワーク監視ツールなどの選定が必要です。ツールごとの特徴を理解し、自社の環境やスキルレベルに合った製品を選ぶことが重要になります。

特に、蓄積される膨大なログの分析・保管にはストレージの性能や可視化機能も影響します。セキュリティインシデントの調査に必要なデータを、迅速かつ正確に抽出できる環境を整備しておきましょう。

必要な人員とスキルセット

SOCを円滑に運用するには、人セキュリティ監視、インシデント対応、脅威分析などに精通した人材の確保が欠かせません。経験豊富な専門材の採用に加え、継続的な教育・トレーニングによるスキル維持も重要です。

外部SOCを導入する場合でも、社内のインシデント対応窓口や調整役を担える担当者が必要となるため、最低限のリテラシーを持った人材の配置は不可欠です。

AIの活用と自動化

近年はAIや機械学習を用いて、アラートの優先度付けや異常行動の自動検知、EDR/XDRと連携した自動封じ込めが可能となっています。これにより、SOCアナリストは重要な調査や判断業務に集中でき、全体の対応速度と精度が大幅に向上します。

SOCの選定方法

自社のセキュリティ要件に最適なSOCサービスを選定するためには、運用対象の明確化から技術力の評価まで、多角的な観点での検討が必要です。以下の4つのポイントを押さえることで、投資対効果の高いSOCサービスを選択できます。

運用対象の明確化

まず、SOCサービスがどこまでを監視・分析対象としているかを確認しましょう。オンプレミスだけでなく、クラウド環境やエンドポイントなど、必要な範囲をカバーしているかどうかが選定の前提です。また、どのような脅威に対応できるか、サービス内容や制限事項も細かく確認しておきましょう。

マルチクラウド環境やハイブリッドクラウド環境を運用している場合は、各クラウドプロバイダーとの連携可能性や統合監視の実現性も重要です。IoTデバイスやOTシステムなど、従来のIT機器以外の監視対象についても、将来的な拡張性を含めて検討しましょう。

実績と信頼性

同業種や同規模の企業への導入実績があるかは、信頼性を判断する上で大きな材料になります。特に、過去のインシデント対応事例や、実際の運用評価(顧客満足度や継続利用率など)が明示されている場合は、より安心して判断できます。

業界固有の脅威パターンやコンプライアンス要件への対応実績も確認しておきましょう。金融業界であればPCI DSS、医療業界であればHIPAAなど、業界特有の規制への対応経験は、導入後の運用品質に大きく影響します。

監視体制と報告フロー

24時間365日の監視体制が整っていることは必須条件です。加えて、アラート発生時の連絡手順やエスカレーションフロー、レポートの頻度・内容なども確認しておきましょう。社内の意思決定や対応に支障が出ないよう、連携しやすい体制が整っているかどうかが重要です。

技術力と脅威対応力

導入するSOCが最新の脅威にどれだけ対応できるかは、使用しているセキュリティツールやアナリストのスキルに大きく左右されます。ゼロデイ攻撃や高度なマルウェアにも対応できる分析力・対応力を持っているか、使用する脅威インテリジェンスの質や更新頻度も含めてチェックしましょう。

まとめ

SOC(Security Operations Center)は、企業のセキュリティ対策を担う中枢として、24時間365日の監視と迅速な対応を実現する重要な存在です。内部構築と外部委託の2形態があり、組織の規模や体制に応じた選択が求められます。

導入時には、対象範囲の明確化やツールの選定、人材の確保・育成、AI活用による効率化など、多角的な検討が不可欠です。適切に設計・運用されたSOCは、日々進化するサイバー脅威への対応力を高め、企業の信頼性と事業継続性の向上に大きく貢献してくれるでしょう。

この記事の執筆者

イラスト:須賀田 淳さん
SB C&S株式会社
ICT事業部 ネットワーク&セキュリティ推進本部
須賀田 淳

サイバーセキュリティのマーケティング歴5年。
最新のトレンドや事例をリサーチ。専門的なテーマも、初めての方が理解しやすいように噛み砕いて発信しています。

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