コラム
エンドポイント(Endpoint)の意味とは?
【セキュリティ担当者必読】

最終更新日:
「エンドポイント」や「エンドポイントセキュリティ」を耳にしたことはあるが、実際の意味は詳しく知らないという人もいるでしょう。エンドポイントはネットワークにおいて重要な役割を持っており、サイバーリスクを抑えるためにも適切なセキュリティ対策が必要です。本記事では、エンドポイントの分野別の意味や具体例、エンドポイントセキュリティの重要性やポイントを解説します。
エンドポイントとはIT用語でネットワークの末端を指す
IT用語におけるエンドポイントとは、ネットワークの末端に位置する機器のことです。ここでは、エンドポイントの語源や該当する機器を解説します。
エンドポイントの語源とは
エンドポイントは英語で「終点」や「端点」を意味する言葉で、語源は英語の「end(終わり)」と「point(点)」です。IT用語では、通信ネットワークに接続された端末や機器を指します。
キーボードやマウス、タッチパネルを通してユーザーの入力を処理し、ディスプレイやスピーカーを通してアウトプットするのが主な役割です。これにより、情報の入出力をスムーズにしています。
また、さまざまなアプリを実行する基盤を提供するのもエンドポイントの大きな役割です。これにより、ユーザーはエンドポイントを操作することでネットワークを通してアプリを利用できます。エンドポイントはユーザーとネットワークをつなぐ架け橋となる部分であり、ネットワークを利用するうえで欠かせない存在です。
エンドポイントに該当する機器の具体例
エンドポイントの具体例として、以下の機器が挙げられます。
- パソコン:
デスクトップパソコンやノートパソコンなど、個人での使用を目的としたコンピューターです。ビジネスだけでなく家庭にも広く普及しており、文書作成・インターネット・画像や動画の編集・ゲームなどさまざまな作業に使えます。 - スマートフォン:
携帯電話の機能に加え、インターネットへの接続やアプリの利用などパソコンに近い機能を持つ端末です。多くの人々が所有していることから、ビジネスにおいても情報共有やコミュニケーション、スケジュール管理などの目的で活用されています。 - タブレット:
薄い板状のコンピューターでタッチパネルを搭載しており、インターネットや動画視聴、アプリの利用などに使われる端末です。パソコンとスマートフォンの中間的な存在で、画面はスマートフォンより大きいですが、ノートパソコンよりも小さいため、携帯性と視認性に優れています。
ビジネスでは、営業活動や現場作業、店頭接客に用いられるケースも少なくありません。 - ウェアラブルデバイス:
身に付けて使用するコンピューターや電子機器です。具体例として、スマートウォッチやスマートグラスが挙げられます。ビジネスでは、販売促進や商品開発のために徐々に活用されています。 - プリンター:
パソコンやスマートフォンなどで作成されたデータを紙に印刷する機器です。近年はネットワーク機能を内蔵しているプリンターも多く、さまざまな端末から接続できます。 - IoT機器:
インターネットに接続してデータの送受信や遠隔操作を行う機器です。具体例として、スマート家電や産業用ロボット、医療機器などが挙げられます。
WebサービスやAPIの分野では別の内容を指すので注意
この記事ではPCやスマートフォンなど“端末”を指してエンドポイントという語を使っていますが、Webサービス/API開発の文脈でいうエンドポイントは別の概念です。こちらでは、アプリケーションがAPIにリクエストを送信するためのアクセス先URL(URI)を意味します。
API(Application Programming Interface)は、あるソフトウェアが別のソフトウェアの機能やデータを利用できるようにする仕組み(インターフェース)です。利用したい機能に対応するAPIエンドポイントへリクエストを送ることで、必要な処理や情報にアクセスします。
例:ユーザー情報取得用のAPIエンドポイント
https://api.example.com/users/{user_id}
このように、同じ「エンドポイント」でも文脈によって指す対象が異なります。セキュリティ分野での端末としての意味と、APIでのリクエスト先URLとしての意味を混同しないよう注意しましょう。
今、エンドポイントセキュリティが重要視されている理由
エンドポイントセキュリティとは、エンドポイントをサイバー攻撃から守るためのセキュリティ対策です。近年ではネットワーク中心のセキュリティ対策だけでなく、エンドポイント自体の保護も求められています。近年、エンドポイントセキュリティが重要視されている理由は以下の通りです。
- 働き方の多様化:
リモートワークの普及により、業務で使用するパソコンやスマートフォンなどのデバイスが社外に持ち出される機会が増えました。従来は社内ネットワーク内で保護されていたデバイスが外部ネットワークに直接接続されるようになっており、サイバーリスクが高まっています。
ネットワークの入口を守るだけでは社外から侵入する脅威に対応できなくなっているため、エンドポイントセキュリティに重きを置いているのです。 - クラウドサービスやIoT端末の増加:
現在では、多くの企業がファイル共有や電子メール、社内情報共有ツールなどをクラウド上で利用しています。クラウドサービスは導入コストを抑えやすく柔軟性も高いですが、万が一アカウントを窃取されると深刻な被害を受けるかもしれません。
また、IoT端末の増加によるセキュリティリスクの増加も問題視されています。IoT端末はエンドポイントの一つであり、ネットワークに接続されたデバイスが増えれば増えるほど攻撃の標的となるリスクは高まるでしょう。情報漏えいや乗っ取りや踏み台攻撃(第三者の端末を使ってサイバー攻撃させる手法)を避けるためにも、エンドポイントセキュリティは重要です。 - サイバー攻撃の高度化:
ランサムウェアの被害件数は年々増加傾向にあり、マルウェアも巧妙化しています。また、システムの脆弱性が発見される前に脆弱性を悪用して攻撃するゼロデイ攻撃や記録媒体を介したウイルス感染など、攻撃手法も多様化しています。従来のアンチウイルスソフトでは対応が難しくなっていることから、エンドポイントセキュリティの強化が求められているのです。 - ゼロトラストセキュリティの浸透:
ゼロトラストセキュリティとは、社内外問わず全てのアクセスを信頼せず、常に検証するセキュリティ対策の考え方です。ゼロトラストセキュリティを実現するには、接続する際にデバイスがマルウェアに感染しているかどうか、安全な対策が施されているかどうかを確認する必要があります。このようにデバイス単位で検証を行うため、エンドポイントセキュリティの強化が必要なのです。
エンドポイントセキュリティ対策のポイント
ここでは、エンドポイントセキュリティ対策のポイントを解説します。以下の5点に気を付けて、エンドポイントセキュリティを進めましょう。
エンドポイントを正確に把握し管理する
エンドポイントセキュリティを強化するためには、まずエンドポイントを正確に把握し、管理する必要があります。エンドポイントの活動を継続的に監視することで、マルウェア感染や不正アクセスなどの脅威の早期発見が可能です。
また、脆弱性や設定ミスなどエンドポイントに潜むリスクを可視化し、優先的に対応すべき問題も把握できます。エンドポイントの状態を一元的に管理できるようになれば、セキュリティ管理者の負担も軽減させられるでしょう。
具体的な手順として、エンドポイントのリスト作成や管理者設定、設置場所の把握などが挙げられます。重要なデータを扱うエンドポイントは社内ネットワークから分離させることで、インターネット経由でサイバー攻撃を受けても被害を最小限に抑えられます。
EDRを導入する
EDR(Endpoint Detection and Response)とは、エンドポイントの状況や通信内容などを監視し、脅威を検知するセキュリティ技術です。EDRを導入すると、従来のアンチウイルスソフトでは検知が難しい高度な攻撃や、未知のマルウェアにも対応できる可能性があります。
また、攻撃の発生状況や影響範囲も可視化でき、原因も特定しやすくなるため、事後のセキュリティ対策の改善につなげられるでしょう。ログデータを収集・分析すれば、攻撃のパターンや侵入経路を把握し、今後の対策に生かせます。
EDRを導入する際は、適切なソリューションの選定や他のセキュリティ対策との連携が重要です。エンドポイントが多い場合は導入コストや運用負荷が高くなる恐れがあるため、導入する前に費用対効果を考える必要もあります。
脆弱性を洗い出し対処する
エンドポイントの脆弱性を洗い出し、対処することも欠かせません。専用のツールを活用してエンドポイントの脆弱性をスキャンしたり、脆弱性データベースを参照して既知の脆弱性がないか確認したりしましょう。
また、OSやアプリケーションの設定の確認やセキュリティパッチの更新も必要です。脆弱性を把握し、適切に対処し続けることで、セキュリティを確保できます。なお、脆弱性に対処する際はその脆弱性のリスクを評価し、優先順位の高い脆弱性から対処しましょう。
アクセスを制御する
エンドポイントのアクセスを制御し、不正アクセスや情報漏えいを防ぐことも重要です。ユーザーに付与するアクセス権限は必要最低限にとどめ、管理者権限を持つアカウントは不正利用を防ぐために使用状況を厳しく管理します。定期的にアカウントをリストアップし、使用していないアカウントは適宜削除・無効化しましょう。 また、多要素認証や二段階認証の導入もおすすめです。これにより、不正アクセスがより困難になり、セキュリティを大きく強化できます。
MDMやUEMを活用する
MDM(Mobile Device Management)やUEM(Unified Endpoint Management)といったツールの活用も一つの手です。MDMとは、業務で使用するモバイルデバイスを一元的に管理・監視するためのシステムやソフトウェアを指します。アプリの配布・管理や紛失・盗難時のリモートロックやデータ消去など、セキュリティ対策を効率的に行えるようになる点がメリットです。
また、UEMとはエンドポイントを一元的に管理・保護するためのシステムやソフトウェアを指します。デバイスのセキュリティポリシーの適用やソフトウェアのインストールなどを一元管理できるようになるため、業務効率化やセキュリティ強化につながるでしょう。
総合セキュリティ対策なら
パロアルトネットワークス
エンドポイントセキュリティを高めるためには、技術的な対策と物理的な対策と人的対策の3つを組み合わせることが重要です。
パロアルトネットワークスは世界のさまざまな企業・組織のサイバーセキュリティパートナーとして、確かな経験と実績を持っています。エンドポイントセキュリティを含む総合セキュリティ対策を求めている企業様は、ぜひパロアルトネットワークスまでご相談ください。
まとめ
エンドポイントはパソコンやスマートフォンなどネットワークの末端を指す言葉で、ネットワークを利用するうえで不可欠な存在です。働き方の多様化やサイバー攻撃の多様化などから、エンドポイントセキュリティは近年重要視されています。対策を進める際は、エンドポイントの正確な把握や脆弱性の洗い出し、アクセスの制御について押さえておくのがコツです。エンドポイントセキュリティを強化して、安全なIT環境を構築しましょう。