DXハイスクールとは?事業の目的や補助金条件、具体的事例までを徹底解説


世界的にAIやクラウドなど高度なICT技術の利活用が進む中、技術の研究開発とそれを支える人材育成の重要性はますます高まっています。日本においても、デジタル分野でグローバルに活躍できる人材の育成が急務となっています。
そのような背景の中、文部科学省はデジタル領域の人材を早期に育成するため、「DXハイスクール」の取り組みを推進しています。
本コラムでは、DXハイスクールの概要から採択基準・必要な取り組み、そして具体的な事例までわかりやすく解説します。
DXハイスクールとは
まずは事業の基本的な枠組みと、混同されやすい類似事業との違いを整理しましょう。
DXハイスクールの概要
DXハイスクールとは、正式名称「高等学校DX加速化推進事業」と呼ばれる取り組みです。大学では、デジタル・理数分野への学部転換が進んでいますが、その効果を最大限に高めるためには、高校段階からデジタル分野などの成長を支える人材育成を強化する必要があります。
本事業では、高等学校において情報や数学などを重視したカリキュラムを導入し、ICTを活用した文理横断的かつ探究的な学びを強化する学校に対し、環境整備に必要な費用を支援します。
SSH、リーディングDXスクールとの違い
DXハイスクールには類似事業も存在するため、それぞれの特徴を整理しておきましょう。
スーパーサイエンスハイスクール(SSH)
SSHは「スーパーサイエンスハイスクール」の略称で、全国の指定校において、先進的な理数系教育を通じて国際的に活躍できる科学技術人材を育成する事業です。
DXハイスクールが情報教育・ICT活用など幅広く対象とするのに対し、SSHは理数系教育に特化している点が大きな違いです。
リーディングDXスクール
リーディングDXスクールは、小中高のGIGAスクール構想を基盤とし、児童生徒の情報活用能力の向上と、「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実と共に、校務DXの推進を通じて、全国へ好事例を展開することを目的とした事業です。
DXハイスクールとの主な違いは以下です。
対象:リーディングDXスクール→小中高校
DXハイスクール→高等学校
目的:リーディングDXスクール→学校全体のデジタル化とDX推進
DXハイスクール→デジタル人材育成により重点を置く
DXハイスクールの採択基準と必要な取り組み(令和7年度版)

DXハイスクールの採択基準と、採択されるために必要な取り組みについて解説します。
補助額と支援対象
支援対象は、公立・私立の高等学校など、全国で1,200校程度を想定しています。
- ● 新規採択校:1校につき上限1,000万円(定額補助)
- ● 継続校:1校につき上限500万円(定額補助)
補助額は、後述する「類型」や取り組み内容(加点項目)によって決定されます。原則として10/10の定額補助ですが、申請内容の充実度が採択の可否を左右します。
事業類型について
DXハイスクールには以下の類型があります。
- ● 基本類型:都道府県ごとの採択枠が割り当てられており、標準的なDX環境整備を目指す学校向けです。
- ● 重点類型:「グローバル型」、「特色化・魅力化型」、「プロフェッショナル型」などに分かれ、より高度な取り組みを行う学校が対象です。基本類型の要件に加え、独自の加点要素を満たすことで優先的に採択されます。
基本類型・重点類型の共通採択基準
新規申請時の採択基準のうち、主な取り組みをご紹介します。
情報Ⅱなどの履修推進・開設
情報Ⅱ、数学Ⅱ・B、数学Ⅲ・Cなどの情報・理数分野の履修拡大を進める取り組みです。遠隔授業の活用や大学内容の単位認定を行うケースも含まれます。
情報IIは、2022年度から必修化された科目の情報Iで学ぶ「情報デザイン」「情報セキュリティ」「プログラミング」などを基礎に、より高度な情報技術を扱う科目です。
ICT環境の整備
生徒がデータ分析やプログラミング、3Dモデリングなどに適した高性能パソコン、高速インターネット環境、さらにそれらを活用した探究活動専用の「デジタルラボ」などのスペース確保が含まれます。
学科・コースの新設・改編
文理の枠を超えた「DXコース」や、STEAM教育を軸とした学科の新設など、組織的な教育課程の変更が求められます。
外部専門人材を活用した授業
IT企業のエンジニアや大学教授、博士号保持者などを講師として招き、実社会の課題に即した高度な授業を実施します。
多面的な入試の実施(重要加点要素)
ペーパーテストの結果だけでなく、生徒の資質を多角的に評価する入試制度へのアップデートです。
具体例:総合型選抜でのプログラミング実績の評価、情報の配点比率を高める傾斜配点の導入、課題解決能力を問う小論文やプレゼンテーション入試の実施など。
DXハイスクールの事例

具体的にどのような活用が始まっているのか、3つの事例をご紹介します。
【情報II】プロジェクト型学習(PBL)の実践
ある学校は情報技術の実践的な活用により、新しい価値の創造を目指す授業を展開しています。
特徴的なのは、中長期のプロジェクトとして、「企画→設計→開発→評価」のサイクルを実施し、生徒が情報技術を実践的に活用して課題解決能力を高めることにフォーカスしている点です。授業では、動画教材やプログラミング、生成AIなどのソフトウェアを活用して「実施してみたいこと」のアイデアを出し合います。アイデアを具現化するために各生徒の得意分野を活かしつつグループ内で役割分担しプロジェクト実現に取り組んでいます。
プロジェクト例として、文化祭の来場者向けコンテンツの制作や、学校来校者の役に立つシステムの構築があります。
【遠隔授業】離島・中山間地域での教育格差解消
中山間地域や離島の高校では、ある教育委員会が遠隔授業の導入に取り組んでいます。これらの地域では在籍生徒が少なく担当教員が限られているため、学習ニーズに合った多様な科目や生徒の習熟レベルに合わせた授業が十分に開講できないなどの課題がありました。
こうした課題を解決するため、Web会議システムを用いた遠隔授業を導入し、情報Ⅱ、数学Ⅲ、生物などの科目を学校のニーズに合わせて配信しています。安定した通信環境や整ったリモート環境により生徒の学びに多くの選択肢を与え、担当教員の負担軽減につながっています。
【外部連携】IT企業によるAI・データサイエンス実習
ある企業では、AI活用人材の育成を目指し、情報IIや総合的な探究学習に対応したAI教育プログラムを出前授業として提供しています。
AIや機械学習、ディープラーニングの基礎からAIツールの実践的な活用方法までを実習形式で学び、生徒が企画立案・実装・発表までを体験できる探究的な学びを支援しています。社会課題の発見や解決に向けた探究活動への導入が促進されています。さらに、企業の視点からAIによる社会課題解決事例も紹介し、次世代のAI人材育成に貢献しています。
まとめ
DXハイスクールは、単なる機器の導入事業ではなく、日本の教育を「デジタル時代に対応した形」へとアップグレードするための重要な転換点です。制度を積極的に活用し、未来を担う人材を育てる環境を整えることは、学校の魅力向上にも直結します。
SB C&Sでは、オンライン授業と対面授業を組み合わせた高品質なハイブリッド遠隔授業の導入・運用をサポートしております。
- ● 1つのアプリでビデオ再生、資料提示、テスト・アンケート、課題の提示・回収が可能
- ● 板書・教員・教室を映す3点カメラ構成により、オンラインでも授業の臨場感を確保
- ● 専用コントローラーでカメラ切替を簡単操作し、授業開始前のロスタイムを削減
DXハイスクールの取り組み内容に応じた柔軟なサポートも可能です。
教育DX・校務DXに関するお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

