運用中のシステムをクラウドへ移行するならなぜIaaSが最適なのか。メリットと移行ステップをご紹介!
2017.05.31
オンプレミスのシステムについて中長期的な課題を抱える企業であれば、クラウドへの移行を検討したことがあると思います。
そのように自社の業務システムをクラウドへ移行しようとする場合、IaaS・PaaS・SaaSと3つあるクラウドの中でメリットが大きいのはどれか迷うこともあるかもしれませんが、実はその答えはIaaSという場合が多いのです。
いったいそれはなぜでしょう?
今回は、3つのクラウドの特徴と、IaaSのメリットが大きい理由、そしてシステムのIaaSへの移行ステップを簡単にご紹介しましょう。
現状の利用形態をそのまま移すならIaaS
まずは、クラウドの3タイプであるIaaS、PaaS、SaaSとはどのようなものか、簡単におさらいをしておきましょう。
オンプレミスと3タイプのクラウドの比較
IaaS
クラウド事業者が仮想化基盤を提供し、利用者はその仮想化環境で仮想マシンを利用します。OS、ミドルウェア、ランタイム、データ、アプリケーションなど、仮想マシン上の管理は利用者側の元で行います。サーバー、ストレージ、ネットワークなど、自社運用の際には「インフラ」として扱われそうなものがサービスとして仮想的に提供されます。このように、サーバースペックを自分で決めながら仮想マシンを構築できるのがIaaSです。
PaaS
主に「開発環境」を提供するのがPaaSです。たとえばPHPとMySQL、Apacheを使ったWebサーバーの構築を考えた場合、IaaSやオンプレミスではサーバーを用意し、そこにOSをインストールして各種設定をした後に、PHP、MySQL、Apacheをそれぞれ改めてインストールしなければなりません。
作業としては簡単かもしれませんが、それを自動化できなければ作業コストに直結する問題にもなります。必要な環境が用意されているPaaSを選べば簡単に開発環境を構築できます。
要はOS、データベース、開発言語が準備されているレンタルサーバーを借りた経験のある方なら、それがクラウドで提供されたものがPaaSだと思えば、およそ間違いはないでしょう。ただし、PaaSは非常にスケーラビリティに富んでおり、その点がレンタルサーバーと比較した場合の大きなメリットとなります。
SaaS
ククラウド事業者が展開するアプリケーションをサービスとして利用するのがSaaSです。代表的なものとしては、情報共有サービスや経営支援のシステムなどがあります。
IaaSの特徴とメリットとは
一般的にクラウドのメリットとしてよくあげられるのは、ハードウェアやネットワークまでサービスとして提供されることによる、資材調達の速さやコストの安さです。また、都度、必要に応じてサーバー資源を決められるスケーラビリティもメリットの1つでしょう。
ではそれらを踏まえた上で、オンプレミスのシステムのクラウド移行を考えた場合、IaaSにはどのようなメリットがあるでしょうか?
閉じたネットワーク
オンプレミスのシステムには、外部ネットワークから遮断しやすいという安心感があります。クラウドに移行するとネットワークの安全性が気になる方もいるかもしれませんが、Microsoft Azureをはじめとする主要なIaaSでは、VPN(仮想プライベートネットワーク)や閉域接続を用いて、クラウド上で構築した仮想マシンのネットワークとオンプレミスのIT基盤を接続することができます。これにより段階的な移行も可能になります。
IaaSの閉じたネットワーク
提供されるサービスに業務を合わせる必要がない
クラウドの利用を始めるにあたり、SaaSを選んで既存システムのリプレイスを進めるとしましょう。実はSaaSのサービスは、自社の業務に合わせてシステムをカスタマイズするよりむしろ、提供されるサービスに自社の業務フローを近づけていくことで効率化を目指そうというものです。
そもそも自社の業務が、クラウド上でパッケージ化されたシステムで適切に継続できるのか、移行に関してスタッフや運用者の学習時間はどのくらい必要なのか、システム移行によって失われるデータは業務にどの程度のインパクトを与えるのかなど、検討しなければならない点は山ほどあります。
一方、自社システムをIaaSでクラウド環境へ移行できれば、これまで培ってきた、業務に合わせた最適な状況を継続できます。長く使われているシステムは古臭いだけのシステムではなく、よい意味で「枯れた」システムです。安定して動いているシステムを、クラウドに移行するからといって無理に別サービスに切り替える必要はないでしょう。
一般的な移行ステップ
では、実際にオンプレミスからIaaSへシステムを移行するとなった場合、どのような手順を踏むことになるのでしょうか。これは規模によって違いはありますが、とりわけ中小企業のシステムの場合は、シンプルなステップでまずは切り替えを進めてしまい、クラウド環境での運用開始を当面のゴールとするのが現実的でしょう。
オンプレミスからIaaSへの移行ステップ
ただし勢いだけで移行するのはオススメできません。事前に最低限、以下のことはチェックしておきましょう。
・現行システムに依存している特殊なハードウェアはないか
・IaaS上で目的のOSやアプリケーションは稼働するか
・自社とクラウドをつなぐ回線は高速か
・データセンターの場所はどこか
・決済方法やサーバーの設置場所について、法律上の問題はないか
IaaS移行のチェックポイントに関してさらに興味のある方は、以下のリンクからホワイトペーパーをダウンロードしてみてはいかがでしょうか。他にも移行のポイントやメリットなどがより詳しく知ることができるので、この機会にぜひごらんください。
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