有限会社サークル・ドット・エムエス
コミケ開催時の急激なアクセス増加に、Azureで柔軟に対応
2015.06.01
コミックマーケット(以下、コミケ)は、年に2回実施される国内最大級の同人誌即売会。50万人もの人々が集まる同人誌の祭典です。有限会社サークル・ドット・エムエスは、その出展者カタログのWeb版を運営しています。イベント開催時に急激にアクセスが増えるWebカタログを効率良く運用するため、Azureが導入されました。
事例Microsoft Azureの導入事例をご紹介します。
有限会社サークル・ドット・エムエス
2015.06.01
コミックマーケット(以下、コミケ)は、年に2回実施される国内最大級の同人誌即売会。50万人もの人々が集まる同人誌の祭典です。有限会社サークル・ドット・エムエスは、その出展者カタログのWeb版を運営しています。イベント開催時に急激にアクセスが増えるWebカタログを効率良く運用するため、Azureが導入されました。
元々、コミケのカタログは紙で配られていました。しかし、直前まで新しい情報を追加したい参加者が増えていたこともあり、Web化が検討されていました。そこで課題となっていたのが、サーバーの設定です。サークル・ドット・エムエスの取締役社長 佐藤一毅様は「イベント時には通常の100倍のアクセスが集中します。そのため、予測できない急激なアクセス増加と減少に対応するには、オンプレミスではムリでした。ピーク時に合わせてサーバーを購入すると、安定期には負債にもなります」と、説明。そんな状況を乗り切るために選ばれたのが、Azureでした。
コミックマーケット準備会からカタログのWeb化にゴーサインが出たのが2012年6月。そこから半年後にはサービス提供と開発スケジュールはタイトでしたが、Azureの特性と合致し作業はスムーズに進みました。
まず効果的だったのは、サーバーの追加・削除が簡単に行える点です。佐藤社長は「Azureのよいところはトライ&エラーを気にせずにできるところ。物理的なサーバーで構築する場合、設計に何日かかるんだ?という不安があると同時に、構築したサーバーに手を加えることは困難です。Azureならボタンを押すだけで追加や削除ができます」と説明します。
さらに開発環境については、技術統括の田邊様は「元々、Visual StudioなどWindows系のツールを使っていたので、それも大きかった。違和感なく移行することができたのも良かったです」と口にします。
一方で「どれぐらいのサーバーを用意すればいいのか、ということは失敗の連続でしたね。10倍必要なのか、100倍必要なのか、やってみるしかなかった。Azureの特性を生かして、1週間だけ増やす対策もしました。やろうと思えば1時間単位で可能です」とのこと。技術統括の田邊浩靖様は、「データベースの全文検索がうまくできないトラブルがありましたが、スムーズに対応できました。また、サイトの公開日と前後して、Windows Server 2012 がリリースされたのですが.NETのバージョンを上げるとマシンがスピードアップするという話を聞き、マシンを全部取り換えました。2週間で終わりました。データベースというコアな部分の入れ替えが2週間でできたのは、クラウドならではだと思います」と話します。
2012年のサービス開始から、ここまで大きな障害はありません。パフォーマンスが低下する場面もありましたが、すぐにサーバーの追加などで対応。2014年冬のコミケでは一切障害を起こすことなく、イベントは終了しました。佐藤社長は「半年や一年で終わるサービスならば、別のクラウドでも良いかもしれない。でも、長いスパンで継続していくサービスについては、Azureの方が良いと思うんですね。ロードマップを提示してくれることや、その計画に沿ってしっかりと機能を追加していってくれる姿勢が、非常に安心感があるんです。100%安全なシステムというのは難しいので、結局は何かあるとわかったときに、どれだけ迅速に対応してくれるかどうか、というのが重要。その点、Microsoftさんは予告したことは必ずやってくれるし、対応も早い」と効果を実感していました。
現在では、Webサーバーに関しては安定期(2015年1月上旬)を1とすると、ピーク時(2014年12月末)には33.3倍のCPU負荷に耐えられるようになりました。SQL データベース は安定期に対して、およそ40倍ものCPU負荷に耐えられるようになりました。
佐藤社長はこれからの施策として「モバイル対応」と「世界展開」を視野に入れています。
モバイルについては機能を絞って、カタログを提供する方向で検討している。「当初はコミックマーケットの会場では携帯電話がつながりにくかったため、モバイル展開は考えていませんでした。ただ、昨年ぐらいからキャリアが競い合って会場の回線を整備するので、回線が混み合うこともなくなりました。モバイルにも注力しなければ、と考えています」(佐藤社長)
そして、世界への展開も視野に入れています。「コミケに参加する方々のコンテンツを世界に紹介することも将来的には考えている。そのとき、各地にサーバーを作れるのなら、現地で作ったほうが良い。」(佐藤社長)と、クラウドのメリットを最大限に利用するつもりです。