株式会社オーシャンブリッジ
~遠隔地のPC画面を外部から参照・操作~Azureの採用によって安心のリモートコントロール環境を実現
2019.07.01
ISL Onlineを担当するパートナー営業部の吉田美咲さん(左)と技術部の栁竜馬さん(右)
事例Microsoft Azureの導入事例をご紹介します。
株式会社オーシャンブリッジ
2019.07.01
ISL Onlineを担当するパートナー営業部の吉田美咲さん(左)と技術部の栁竜馬さん(右)
株式会社オーシャンブリッジが国内総代理店として扱う「ISL Online(アイエスエル・オンライン)」は、他者が使用中のPC画面を別のPCやモバイルデバイスから参照・操作できるリモートコントロールのソリューションです。このシステムを使うと、社内はもちろん遠隔地にあるPCに対してもインターネットを介してスピーディに接続し、相手側のPCでアプリ操作や設定変更などの作業が行えるようになります。
今回、このISL Onlineの運用基盤として、マイクロソフトのAzureが追加されました。Azureの利用によってどのようなことが可能になるのか、ISL Onlineの関係者に伺いました。
サポート業務からテレワークまで。幅広い利用用途を持つISL Online
ISL Onlineは、離れた場所のPC同士で画面共有を行う「ワンタイム接続」、遠隔地にあるサーバーや出先のiPhone/iPadなどから社内のPCに接続可能な「常駐接続」、そして「Web会議」の機能を、1つのライセンスで利用できる、簡単・低価格なリモートアクセスツールです。ISL Onlineを使うと、接続先のPCから離れた場所にいる状態で、対象PCの画面を閲覧し、PCを操作できます。そのため、PCやサーバのメンテナンスからアプリケーションの操作サポートまで、いろいろな用途に利用されてきました。
たとえばヘルプデスク用途では、お問い合わせをしてきた顧客(ユーザー)のPCに対し、ヘルプデスク側のオペレーターがリモートでアクセスします。そして、顧客と一緒に同じ画面を見ながらPCを操作、必要なサポートを行います。
このような画面の共有によるリアルタイムなサポートでは、実際の操作手順がそのまま顧客に提示されます。そのため、確実に問題解決が行われ、同時に顧客は安心感を得ることができます。
ISL Onlineには、画面の共有時に音声で会話を行う機能が搭載されています。これを使うと、サポート作業を行うオペレーターが顧客側PCの画面を操作しながら、同時に音声でも操作説明ができます。つまり、顧客に対してより密度が高いサポートが可能になります。
ISL Onlineは、サポート業務以外でもアイデア次第で様々な用途に活用ができます。最近では、政府が掲げる"働き方改革"のスローガンによって、「会社」という固定された場所以外で仕事をする働き方が浸透してきました。
ネットワークとICTシステムの発達は、状況に応じて自宅やサテライトオフィスなどから本社のサーバやPCにアクセスして仕事をすることを可能にしています。ISL Onlineは、このような場面でも利用されています。
オーシャンブリッジのパートナー営業部で当製品を担当する吉田美咲さんは「ISL Onlineは2007年7月にリリースされたもの」と語ります。当時から多くのリモートコントロールソフトがありましたがその後淘汰されました。その意味で、ISL Onlineは使いやすさや信頼性がユーザーから評価され利用され続けているのです。
ISL Onlineのソリューションは、とてもシンプルなシステム構成が特徴です。ISL Onlineの機能を実現するのは、サーバ上で稼働するISL Onlineのメインプログラムとアクセスされる側のPCに入れる小さなプログラムです。
ISL Onlineを利用するには、まず、他のPCからのアクセスを受け入れるPCやサーバ側にプログラムをインストールします。このプログラムは、ISL Onlineのサイトから簡単に入手でき、インストールも簡単に行えます(サイレントインストーラーも作成可能)。
Windows PC の他にMac用のプログラムも用意されているので、遠隔地のMacに対するアクセスも可能です。アクセスされる側のPCに必要な作業はこのインストール作業のみとなります。
オーシャンブリッジ・技術部の栁 竜馬さんは、この手軽さがISL Onlineの大きなアピールポインだと語ります。ISL Onlineは、導入や運用に際してPCやネットワーク機器の設定を変更する必要は一切ありません。インターネットに繋がっていてWebブラウザが使えるPCであれば、そのままの環境でデスクトップ画面と操作を外部と共有できます。
また、サーバ上で稼働するISL Onlineのメインプログラムは、アクセスする側のPCとアクセスされる側のPCなどの間を取り持つ中継サーバとして機能します。この中継サーバの運用環境として、この度Azureが追加されました。
ISL Onlineのリリース当初、ISL Onlineのメインプログラムはパブリッククラウド用のみでした。その後オンプレミス版が追加されてユーザー数を増やし、さらに2015年にプライベートクラウド版が追加されました。Azureは、このプライベートクラウド版の動作環境として提供されます。
前出の栁さんは、現時点でのISL Onlineのユーザー数を「パブリッククラウドとオンプレミスでの運用が多い」と語ります。しかし、新たにプライベートクラウドの環境にAzureが追加されることで、このバランスは変わる可能性があります。Azure上でISL Onlineを運用することによって、既にAzureが有している高い信頼性をそのままISL Onlineに適用できるからです。
ISL Onlineの運用基盤としてのAzureには、実際の利用者はもちろん、最終的に導入を決定する経営層にもアピールする要素があります。その中で代表的なものが、導入に際して特別な費用を準備する必要がないことです。
栁さんは「Azureを利用することで運用環境を資産勘定から除外できる」と、そのメリットを語ります。
ISL Onlineの利用には、本体プログラムを稼働するサーバ環境が必須となります。しかし、ハードウェアを自社で調達するオンプレミスの運用では、機材の調達や設置に対し関係部署の調整を行い、稟議を通すなどの手続きが必要です。これらの作業は、想定以上に時間がかかるのが一般的です。また、導入後のメンテナンスでも人的・金銭的にコストがかかります。これらはリース契約などのサーバでも同様です。
そして一旦調達したサーバは会社の資産となり、数年かけて減価償却をすることになります。そのため、手軽にパーツの追加やリプレイスで処理能力を強化できず、ほとんどの場合、フットワークが重い運用を強いられるかたちとなります。この点、Azureでの運用は非常にフットワークが軽いものとなります。
Azure環境での導入・運用では、実際の業務においてどの程度使えるかを確認しながら、徐々に規模を大きくすることも可能です。ISL Onlineの料金は、同時にアクセスするユーザーの数によって決まります。このため、最小の単位で試験導入を行い、本格導入では必要なアカウント数に増やすような効率の良い導入形態もとれます。
また、サーバ上で稼働するISL Onlineのプログラムも、さほど多くの処理能力を必要とするものではありません。そのため、Azureでは多くのリソースを割り当てる必要はありません。つまり、リーズナブルな運用が可能になります。しかし、もしISL Onlineで膨大な数の同時アクセスを必要とするビジネスを展開するのであれば、快適なレスポンスを提供するためにもサーバ能力の増強は必要となります。ただ、Azureでの運用であれば、サーバ能力の調整は簡単です。管理コンソール上から状況に応じてCPU数やメモリ量など、サーバの処理能力を簡単に増強することができます。さらに繁忙期と閑散期で処理能力を調整し、無駄なサーバ費用を抑えることも可能です。これらは、実際にISL Onlineを使うユーザーに使いやすさを提供すると同時に、運営サイドのコストを最適化することにも貢献します。
さらに、栁さんは「Office 365などAzureをベースとしたサービスは既に日本のビジネスシーンに深く浸透しており、その面での安心感も強い」と説明します。また、栁さんは常に複数のインスタンスが全体を補完するように動作するAzureの可用性も高く評価しています。
AzureをベースとしたISL Onlineの運用スタイルは、Azure相談センターを運営する SB C&S が窓口となります。このソリューションでは、運用基盤としてのAzureとISL Onlineをワンストップで提供します。このため、利用環境全体で非常に高い信頼性を確保できるメリットがあります。
ソリューション全体がパッケージされるため、ISL OnlineはもとよりAzureの運用が初めての場合でも最短期間で導入することが可能になります。これはクラウドサービスの利用自体が初めての場合でもとても心強いことではないでしょうか。
吉田さんは、今回ISL Onlineの利用環境がAzure上に整ったことに際し、「大きな期待を持っている」と語ります。
また、既にISL Onlineを他の基盤(オンプレやパブリッククラウド)で運用している場合でも導入は可能です。AzureでのISL Onlineの利用はSB C&Sの他、オーシャンブリッジでもセットアップが可能です。その他にもいろいろなメニューが用意されています。