コラム
アプライアンスとは?
代表的な種類・メリット・デメリットを解説

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アプライアンス(appliance)とは、ある用途に特化した機能を備えている製品であり、低コスト・高いセキュリティ効果が見込めます。IT分野では特定機能に特化したサーバーやセキュリティ機器を指すことが多い言葉です。
今回はアプライアンスの概要から代表的な種類、導入にあたってのメリット・デメリットについて紹介します。アプライアンスに関する基本的な知識を身につけ、組織のネットワーク環境改善にお役立てください。
アプライアンスとは
アプライアンスとは、「特定用途に向けて設計・開発された機器/器具」を指す言葉です。特にIT用語としては、特定機能に特化した専用機器を意味します。
従来のアプライアンスは、ネットワーク機器やサーバー機器として提供されるケースが一般的でした。しかし最近ではソフトウェアとして提供され、クラウド環境などに導入できる「仮想アプライアンス」も増えてきています。このように、アプライアンスはオンプレミスとクラウドの両ニーズに対応する製品です。
代表的なアプライアンスの種類
ここでは、以下6種類のアプライアンスを紹介します。
- Webサーバーアプライアンス
- セキュリティアプライアンス
- メールサーバーアプライアンス
- ストレージアプライアンス
- 認証アプライアンスサーバー
- キャッシュサーバーアプライアンス
Webサーバーアプライアンス
Webサイトやアプリケーションを構築する際、ホストとして機能するものです。ユーザーのリクエストに応じ、写真や画像を表示させます。 幅広いWebサイトの立ち上げに使われるため、利用頻度の高いアプライアンスの一つです。
セキュリティアプライアンス
ファイアウォールやVPN(仮想プライベートネットワーク)、DDoS攻撃対策、アンチウイルス・アンチスパムなど、統合的なセキュリティ対策機能を備えたアプライアンスです。導入すると、低コストでのセキュリティ対策ができるようになります。各機能に特化した専用アプライアンスもありますが、代表的なセキュリティアプライアンスとしては、複数機能を集約したUTM(統合脅威管理)が挙げられます。
メールサーバーアプライアンス
メールの送受信機能を搭載したアプライアンスサーバーです。メールに関わるシステムの基盤となる存在であり、社内メールなど、組織内でのメールシステムを構築する際にも役立ちます。
SaaS型メールアプライアンスなど、物理アプライアンスに限らない製品がある点も特徴です。
ストレージアプライアンス
データ保管に特化したタイプであり、多種多様なデータを保存できるストレージを提供するアプライアンスです。データを遠隔でバックアップしたいときなどに役立ちます。
認証アプライアンスサーバー
ネットワーク上におけるユーザー・デバイスの身元を確認し、不正ユーザーのアクセスを制御する働きをもったアプライアンスです。UTMのような機能を備えているため、不正アクセスやデータ漏えいのリスクを軽減できます。
キャッシュサーバーアプライアンス
Webサイトなどで提供されているコンテンツの複製を保存するサーバーとして機能するアプライアンスです。ユーザーから要求があった際に、コンテンツの提供元に代わって配信を行います。本来のサーバーに支障が出たときの「代役」として効果的です。
アプライアンスを用いるメリット
アプライアンスを導入するメリットについて、以下の3点を見ていきましょう。
- 低コストで導入できる
- 高いセキュリティ効果を得られる
- 機器自体のセキュリティリスクが比較的少ない
低コストで導入できる
汎用サーバーに比べ安価に導入できるアプライアンスは、保守・管理のコストを抑えられるという点が特徴です。機能の幅が狭いため、比較的安価に導入できます。
それぞれの分野に向けて設計された特化型の機能があり、負荷のかかりやすい運用でも高いパフォーマンスを発揮するという点も特徴です。こうしたコストパフォーマンスの高さが、アプライアンスの持つ大きなメリットだといえます。
高いセキュリティ効果を得られる
アプライアンスは不要な機能を取り払っているため、汎用的な製品よりもパフォーマンス・セキュリティ面が向上しています。一台に複数のセキュリティ機能がパッケージ化されて搭載されており、設定や管理の手間もかかりません。
加えて、管理にかかる手間が少なく、機能が限定的なため操作も容易であるケースが多いのも特徴です。人材面やセキュリティ面の知見に課題を感じている企業であれば、積極的に活用したい製品でしょう。
機器自体のセキュリティリスクが比較的少ない
特にセキュリティに関連したアプライアンスサーバーには、ベンダー独自のOSなどが使用されていることも多くあります。Linuxなどの汎用OSに比べ、外部からの攻撃・不正アクセスを受けにくい点もメリットの一つです。
アプライアンスのデメリット
コストパフォーマンスやセキュリティ面など、さまざまなメリットを持つアプライアンスですが、以下の2点に注意しましょう。
- 拡張性や汎用性が低い
- ハードウェアアプライアンスの場合は運用管理の負担が大きい
拡張性や汎用性が低い
特定機能に特化したアプライアンスは、他目的での活用が難しいという点があります。あるハードウェア・ソフトウェアに向けて専用に設計されているため、カスタマイズ性の低さがデメリットです。
ハードウェアアプライアンスの場合は運用管理の負担が大きい
物理的な機器を設置する場合、スペース確保や適切な運用・管理が必要です。作業負担が増える可能性もありますが、この点は仮想アプライアンスサーバーの設置で解決できます。仮想アプライアンスサーバは汎用サーバーの仮想基盤上で動作するため、専用ハードウェアの準備が不要で、イメージファイルをダウンロードするだけで即座に利用開始できます。導入や移行の時間を削減できる点がメリットです。
アプライアンスと汎用サーバーの特徴は以下の通りです。
アプライアンス | 汎用サーバー | |
---|---|---|
コスト | 〇 | △ |
セキュリティ | 〇 | △ |
導入に必要な知識 | 〇 | △ |
汎用性 | △ | 〇 |
拡張性 | △ | 〇 |
総合セキュリティ対策なら
パロアルトネットワークス
アプライアンスは安価ながらセキュリティ面でも高い効果を期待できます。一方で、不正アクセスやサイバー攻撃の手口が巧妙になっている昨今では、セキュリティ系のアプライアンスのみで対策をするのも十分とは言えません。
パロアルトネットワークスは、多様なステークホルダーから信頼と実績を積み重ねている総合セキュリティ対策のプロフェッショナル集団です。セキュリティ対策に課題を感じている企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
アプライアンスの概要から代表的な種類、導入メリットや注意点を紹介しました。コスト面での懸念があり、システム関連に明るい人材が限定されがちな中堅・中小企業にとって、アプライアンスは積極的に導入検討したい製品です。自社のシステム課題を洗い出し、それに特化したアプライアンスの導入で業務改善を実現しましょう。