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情報漏洩とは?
定義や事例、情報漏洩を防ぐ方法を解説

情報漏洩とは?定義や事例、情報漏洩を防ぐ方法を解説

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情報漏洩とは、組織や個人が保有している個人情報や機密情報など、本来社外に出してはならない情報が、意図せず外部に流出したり、第三者によって不正に取得されたりすることを指します。この記事では情報漏洩の定義や原因、具体的な事例、防止策を解説します。

情報漏洩とは何か

まずは情報漏洩の基本的な内容を押さえておきましょう。

情報漏洩の定義付け

情報漏洩とは、本来は社内や個人の管理下にあるべき情報が、何らかの原因によって外部に渡ってしまうことを指します。これはパソコン上のデータが流出するようなデジタル面の事象に限らず、紙の資料の紛失や、外部で不用意に口にした会話が第三者に伝わるなど、アナログな場面でも発生します。

発生原因は、うっかりした操作や確認不足といった人為的ミスが多い一方で、悪意を持った外部からの不正アクセスや攻撃によるケースも見られます。

情報漏洩によって発生する損害は、金銭的なものだけではありません。顧客からの信頼を失う、業務が一時的に停止するなど、組織の信用や事業の継続性にまで影響が及ぶ可能性があります。

情報漏洩の対象となる情報と主な法令

企業が保有する情報のすべてが、漏洩リスクの対象となります。なかでも特に注意すべきなのが「個人情報」と「営業秘密」です。

個人情報とは生存する個人に関する情報で、次の各号のいずれかに該当するものです(個人情報保護法2条1項)。

  • 1号 他情報と照合することで特定個人を識別できる、氏名や生年月日などのもの
  • 2号 その情報から個人を特定できる、個人識別符号が含まれるもの

営業秘密とは、秘密として管理された生産方法や販売方法その他の事業活動に有用な、技術上もしくは営業上の情報であり、公然と知られていないものです(不正競争防止法2条6項)。

情報漏洩に関する主な法令としては、以下が挙げられます。

個人情報保護法

個人情報の取り扱いに関する基本的なルールを定めた法律で、個人の権利と利益を守ることを目的としています。たとえば、情報の利用目的を可能な限り明確にすることなどが求められます。

不正競争防止法

企業間の健全な競争を確保するための法律です。情報漏洩に関する条文では、営業秘密の不正取得や開示、使用が禁止されており、違反した場合には損害賠償や刑事罰が科されます。

サイバーセキュリティ基本法

国や企業の情報資産をサイバー攻撃から守るため、国の責務や基本方針などを定めた法律です。攻撃件数が増加傾向にある中で、セキュリティ対策の強化を目的として制定されました。

不正アクセス禁止法

他人のIDやパスワードを使ってシステムに侵入する行為などを禁止する法律です。違反者への罰則に加えて、システム管理者には、不正アクセスを防止する努力義務が課されています。

マイナンバー法

マイナンバー(個人番号)は特定個人情報として扱われ、特に厳格な管理が求められます。この法律では、番号の取得から利用、保管、廃棄に至るまでのルールや管理体制が細かく規定されています。個人情報保護法と比較しても、より厳格な運用が求められる法律です。

情報漏洩の原因は大まかに分けると2つ

情報漏洩の原因は大まかに「故意」の場合と「過失」の場合に分けられます。

故意

故意の漏洩とは、情報を不正に取得しようとする第三者、または内部の人間によって引き起こされるものです。たとえば、退職者や業務委託先の担当者が、業務で得た情報を外部に売却したり、競合企業に提供したりする行為がこれに該当します。

このような漏洩は、金銭目的や転職先での優位性を得るためなど、明確な意図を持って行われる点が特徴です。

過失

誤操作や不注意によって起こる情報漏洩もあります。たとえば、機密情報を含むメールを誤って別の相手に送ってしまうなどがその一例です。

過失による漏洩に悪意はないものの、結果として顧客や取引先に損害を与えてしまう可能性があり、信頼関係の破綻や契約の解除などにつながるリスクもあります。

情報漏洩の種類

情報漏洩は、細かく分類すると以下の5つに分けられます。それぞれ解説します。

人為的漏洩

人為的漏洩とは、従業員など組織内部の人間によって発生する情報漏洩を指します。多くはメールの誤送信や書類の置き忘れといった不注意が原因ですが、故意に情報を持ち出す「内部不正」も深刻な脅威です。特に注意が必要なのがSNSへの投稿で、何気ない発言から機密情報が漏れるケースも見られます。

物理的漏洩

物理的漏洩とは、紙の書類やUSBメモリなどの記録媒体を通じて発生する情報漏洩を指します。
機密文書や記憶媒体の紛失・盗難、廃棄ミスなどが挙げられます。スマートフォンやノートPCなどのモバイル端末を紛失し、業務データや個人情報が流出するケースも増えています。

システム的漏洩

システム的漏洩は、システム設定のミスやソフトウェアの不具合など、情報システムに起因する問題によって発生する情報漏洩です。たとえば、クラウドサービスの設定ミスにより、本来非公開のデータが誰でも閲覧可能になるケースなどが該当します。

技術的漏洩

技術的漏洩とは、ハッキングやマルウェア感染など、外部からのサイバー攻撃によって発生する情報漏洩です。デジタル端末が普及する現代において、最も多い漏洩原因の一つとされています。近年はランサムウェアによる被害が深刻化しており、企業にとって業務停止や経済的損失につながる脅威となっています。

第三者経由の漏洩

第三者経由の情報漏洩とは、取引先や委託先など外部関係者によって発生する情報漏洩を指します。たとえば、委託先の従業員が業務上知り得た情報を不正に持ち出すケースなどが挙げられます。このような漏洩を防止するには、取引先の選定時に適切な審査を行い、契約書にセキュリティ条項を明記するほか、定期的な監査も欠かせません。

情報漏洩で企業責任はどうなる?

企業が個人情報を漏洩した際には、行政上、民事上、刑事上の責任が発生します。

行政上の責任

まず行政上の責任として、個人情報保護委員会により以下のような行政処分を受けることがあります。

  • 報告徴収
    漏洩発生企業に対し、個人情報の管理状況や経緯などの報告を求める。
  • 立入検査
    企業の施設に立ち入り、漏洩原因や対策状況について調査・検査を実施する。
  • 指導や助言
    再発防止のための改善指導や助言を行う。法的拘束力はない。
    無視を続けると勧告・命令に進展する可能性がある。
  • 勧告や命令
    改善が見られない場合は勧告や命令を行う。
    勧告の拘束力はないが、命令には法的拘束力があり、違反時には企業名の公表もあり得る。

民事上の責任

民事上の責任として、漏洩した情報の持ち主(被害者)に対して損害賠償責任が発生します。漏洩した個人情報の件数に応じて損害賠償責任が発生するため、莫大な賠償額となる恐れもあります。

刑事上の責任

刑事上の責任として、以下のような罰則が科されます。

  • 措置命令違反
    行政の命令に違反した場合は以下の罰則がある。
    個人:1年以下の懲役または100万円以下の罰金
    法人:1億円以下の罰金
  • 報告義務違反
    報告徴収に対して拒否・虚偽報告を行った場合は以下の罰則がある。
    個人・法人問わず50万円以下の罰金
  • 個人情報の不正流用
    流出した個人情報を使って不正に利益を得ようとした場合は以下の罰則がある。
    個人:1年以下の懲役または50万円以下の罰金
    法人:1億円以下の罰金

個人情報の取り扱いに対する世間の目は年々厳しくなっており、漏洩が明るみに出た場合、企業の信用は大きく損なわれます。

情報漏洩を防ぐ方法

情報漏洩を防ぐために、企業や組織で取り組めることはどのようなものがあるでしょうか。ここからは情報漏洩の防止に向けた取り組みを紹介します。

情報の不要な持ち出しや持ち込みはしない

PCやスマートフォン、USBメモリなどの業務用機器は、業務上の必要がない限り社外への持ち出しや私物機器の持ち込みを控えるべきです。やむを得ず持ち出しや持ち込みが必要な場合には、データの暗号化や端末ロックなどのセキュリティ対策を徹底した上で、ルールに基づいた運用が求められます。

機密情報を安易に放置したり破棄したりしない

機密情報に関わる端末や書類を、安易に放置・破棄しないようにルール化しましょう。業務用のスマートフォンをデスクに置いたまま退社して放置したり、機密情報が記載された書類をそのままゴミとして廃棄したりすると、情報漏洩につながりかねません。業務用の端末は所定の場所へと置いてロックをかける、書類はシュレッダーにかけて廃棄するなどの対策を行いましょう。

信頼性の低いWebサイトやメールにはアクセスしない

不審なメールの添付ファイルや、見慣れないリンクにはむやみにアクセスしないことが大切です。なかにはクリックしただけでマルウェアに感染するケースもあります。見た目が本物そっくりな偽サイトに誘導され、個人情報を入力してしまう被害も増加しています。サイトを開く前にはURLを確認し、信頼性を見極める習慣を身につけましょう。

研修や訓練を実施し社内のリテラシーを強化する

セキュリティに対する知識を深めるために、社内で定期的な研修や勉強会を行いましょう。実際に発生した情報漏洩の事例を共有し、それに対してどのような対応が必要かを全員に周知することで、組織全体の意識向上が期待できます。

情報漏洩対策に役立つツールを導入する

従業員のミスをすべて無くすことは困難ですが、情報漏洩に役立つツールを導入することで、人的ミスによる事故のリスクを抑えることが可能です。情報漏洩を未然に防ぐだけでなく、情報漏洩の対策を続けることによる管理担当者の負担を軽減できるでしょう。

総合セキュリティ対策なら
パロアルトネットワークス

情報漏洩は第三者からの攻撃だけでなく人的ミスによっても発生します。そのため総合的なセキュリティ対策が必要となるでしょう。

パロアルトネットワークスは、世界中の多様な組織のサイバーセキュリティパートナーとして信頼と実績を重ねています。情報漏洩への対応として、総合セキュリティ対策を検討中の企業様は、ぜひパロアルトネットワークスまでお気軽にご相談ください。

まとめ

情報漏洩を防ぐ方法としては、不要な情報の持ち出し・持ち込みをしないことや、機密情報の入った端末を安易に放置したり破棄したりしないことが大切です。

情報漏洩対策に役立つツールを導入することも対策の1つとして重要です。情報漏洩対策の最適な方法を模索し、万全なセキュリティを検討してみてください。

この記事の執筆者

写真:石塚ちひろ

SB C&S株式会社
ICT事業部
ネットワーク&セキュリティ推進本部
石塚ちひろ

写真:野口 綾香

SB C&S株式会社
ICT事業部
ネットワーク&セキュリティ推進本部
野口 綾香

サイバーセキュリティのマーケティングを担当。
初心者の方にも理解しやすく、役立つ報を発信することを大切にしています。

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