コラム
企業における情報資産とは?
種類や管理方法を解説

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現代ではあらゆる情報が資産となり、企業や組織を支えています。それ故にサイバー攻撃も巧妙になっている昨今では、情報資産の管理も重要になってきています。本記事では資産にあたる情報の種類や、適切な管理方法について解説します。
情報資産の概要と種類
情報資産はその名の通り資産となる情報のことです。企業だけではなく、個人で保有している情報やデータも該当します。
また、資産となる情報の種類は幅広く、多くの情報が資産とみなされます。これから紹介する情報資産が、自社の持つ情報が資産に該当するか確認してみましょう。
情報資産とは
情報資産とは、企業活動にとって価値があり、保護すべき情報やその管理対象となる記録媒体のことを指します。具体的には、電子データや紙文書、会議記録など、企業の運営や競争力に直接影響を与える情報が含まれます。
「人」「物」「お金」そのものではなく、それらに関連するデータや記録が情報資産に該当します。ISO/IEC 27001でも「情報資産=組織にとって価値を持つ情報およびそれを支える手段」と定義されています。
情報資産の漏洩はあらゆる脅威と密接につながるため、適切に管理し保護しなければなりません。
情報資産の種類
情報資産には次のようなものが含まれます。
- 電子的データ:顧客情報、財務データ、知的財産、業務ノウハウ
- 紙文書:契約書、社内マニュアル、設計図
- デジタルコミュニケーション:メール、チャットログ、会議記録
なお、パソコンやサーバー、ネットワーク機器といった物理的資産はIT資産に分類され、情報資産を保護・利用するための媒体です。すべての情報が同じ価値を持つわけではなく、ISMSでは「資産台帳」を作成し、重要度(極秘、内部、公開など)を分類して管理します。
情報の内容については、個人情報や顧客情報、契約書類、事業契約書のほか、事業内容や自社特有のノウハウにいたるまで、全ての情報が情報資産になります。どんな情報であっても、情報資産に分類される可能性は十分にあり得るため、取り扱いには注意を払いましょう。
IT資産との違い
情報資産と類似した言葉にIT資産があります。IT資産は情報資産を扱うためのインフラやツールを指し、具体的にはハードウェア(PC、サーバー)、ソフトウェア(業務アプリ、OS)、ネットワーク機器、ライセンスなどを指します。
情報資産が「守るべき対象」であるのに対し、IT資産はそれを処理・保管・伝送する「手段」という違いがあります。
企業や組織における情報資産
個人の情報資産は、種類が少なく情報量もそう多くありませんが、企業や組織には数多くの情報資産が存在し、種類も増えていきます。企業や組織に、どんな情報資産があるかみていきましょう。
取引情報
取引した情報は情報資産に含まれます。例えば契約書や請求書が取引情報に当てはまります。また、取引内容の記録や契約書の履歴も取引情報に該当します。
個人情報
個人情報は立派な情報資産です。顧客の氏名や住所、購入履歴を残していれば、それらは情報資産となります。企業や組織で雇っている従業員の氏名や住所、給与情報も同様に情報資産となります。
財務情報
賃借対照表、損益計画書、予算計画などの財務情報も情報資産です。ほかにも売上高や総資産・負債・純資産といったデータを残してあるものは、すべて情報資産に含まれます。情報が漏洩すると、内部状況が丸裸にされハイリスクを負うことになります。
業務プロセス・ノウハウ
対外的な観点から業務マニュアルなどは、情報資産ではないと思われるかもしれませんが、組織の業務を効率よく進めるための重要な情報資産です。ほかにも標準作業手順書(SOP)や、プロジェクトの計画書も情報資産に該当します。
知的財産
知的財産とは、人間が創造するものやそれに伴うアイデアを指します。情報資産となる知的財産は、商品やサービスの情報や設計、特許、社内システムのソースコード・アルゴリズムなどが当てはまります。企業内で発明や考案されたものが知的財産です。
コミュニケーション
業務に関わるコミュニケーションも、記録していれば立派な情報資産となります。会議の議事録以外にも、Eメールやチャットのログも資産として扱われます。意思決定がどのようにして行われたか、どのようなやり取りをしていたかの記録は、証拠として役立つため外部に漏れると危険です。
情報資産を管理する重要性
情報資産の管理は、自社や組織が行っているビジネスの価値を守り、業務の効率化とコスト削減の観点からもとても重要です。また、法的リスクを回避し、企業の信頼性とブランドイメージを守るためにも、情報資産は死守しなくてはなりません。
ビジネスの価値を守る
情報資産の管理は、ビジネスの価値を守るためにも必要な取り組みです。顧客データや知的財産、業務のノウハウが漏洩すると、企業の市場競争力の低下につながりかねません。
また、業務に利用するデータが消失すると効率が下がり、業務が滞る可能性もあります。
企業の信頼性とブランドイメージを守る
情報漏洩の問題を起こした企業は、それだけで信頼性を損ねます。その問題が情報漏洩された側の情報を脅かすものであれば、情報を渡すことを懸念し関わりを避けたくなるでしょう。それは企業として取引をしたくないだけではなく、顧客としての利用も同様です。
信頼できる企業であるというブランドイメージを守るためには、情報資産の管理は欠かせません。
業務の効率化とコスト削減を実現できる
情報資産の管理と、業務の効率化・コスト削減は一見結びつかないかもしれません。しかし、組織や企業が全体で情報資産を管理すると、全員が知識を得られます。必要な情報がすぐにわかり、いざというときの意思決定も素早く行えるようになるでしょう。
無駄な情報の削減やバックアップ等のリカバリーも行えるため、コスト削減や業務が停滞するリスクの回避にもつなげられます。
法的リスクを回避する
情報の漏洩は企業の信頼性やブランドイメージの失墜を引き起こしますが、それ以前に法律違反となるリスクがあることを忘れてはなりません。個人情報保護法をはじめとする法律に違反すると、罰金や法的措置などを科される恐れがあります。
コンプライアンスに違反しないように、情報資産の適切な管理は重要です。
情報資産を管理する方法
情報資産を適切に管理しておけば、情報の漏洩は起きず、万が一漏洩したとしても問題にはなりません。適切に管理するためには、情報資産の把握と、アクセス権限の付与・確認、セキュリティ対策の実施がポイントとなります。
情報資産を把握する
まずは自身が所有している情報資産の分類と整理を行い、情報資産を把握します。データをリストアップし、重要かどうか、どの程度の機密情報かで分類を行います。より重要度、機密度が高い情報は優先的に管理するため、分類はとても大事です。
情報資産の取り扱い状況を確認する
情報資産の重要度、機密度に応じてアクセスできる人を分けます。それほど重要ではない情報はすべての人が見られるようにし、機密情報はなるべく少ない人数にすると良いでしょう。
ログを監視して不正なアクセスがないかを日々チェックしていれば、いざというときに迅速に対処が可能です。
セキュリティ対策を実施する
パスワードの強化や多要素認証を行い、アクセスしづらい環境を整えることが重要です。そのほかにもウイルス対策ソフトやファイアウォールでデータを守り、セキュリティ対策を行っておくと安心です。
データが消失しないように適宜バックアップをしておき、データが漏洩しても判別できないように暗号化を済ませておけば、問題が起きても大事には至らないでしょう。
従来のウイルス対策ソフトやファイアウォールに加え、
- 次世代ファイアウォール(NGFW)やUTMによる外部脅威のブロック
- EDR/XDRで端末レベルの高度な侵入検知
- DLPによる情報漏洩防止
- ゼロトラスト・アクセス制御
といった多層的な防御が必要です。
情報資産を守るセキュリティ対策
情報資産の管理にはセキュリティ対策が必要不可欠です。対策を行うためにはセキュリティ対策ソフトやツールの導入以外にも、従業員にセキュリティ教育や研修を行って、意識を高めてもらうと、一層情報資産を守れるようになるでしょう。
UTM(統合脅威管理)とセキュリティ対策ソフトを併用する
セキュリティ対策ソフトはサイバー攻撃にとって必要不可欠です。通常のウイルス対策ソフトやファイアウォールのほかにも、情報資産を守るための専門ソフトも複数存在しているため、使い勝手がよく高性能なソフトを利用すると良いでしょう。
特にUTMは、ファイアウォール、アンチウイルス、IPS、URLフィルタリングなど複数のセキュリティ機能を1つのアプライアンスに統合した製品です。これを導入することで、中小企業でも効率的に情報資産を守る体制を整えられます。
従業員のセキュリティ教育を行う
従業員一人ひとりに情報漏洩を防ぐ知識と高い意識があれば、漏洩する可能性は低減します。社内や組織でセキュリティ教育を行って、全員に情報漏洩の怖さと未然に防ぐ術を知ってもらいましょう。
事故が発生するタイミングや、情報の取り扱い方などを共有することも、情報資産の管理として重要です。
IT資産を管理するツールを利用する
情報資産の管理方法が難しければ、管理ツールを利用するのもおすすめです。従業員が使うPCやスマホといったハードウェアや、利用するソフトウェアの情報を管理できるツールがあると、より情報漏洩の防御が簡単になります。
管理ツールはログの監視やリモートコントロール、禁止されたソフトウェアの使用や外部デバイスの制御が行える機能を持っています。そのほか、OSのバージョンやウイルス対策ソフトの更新状況も管理できるため、常にセキュリティを最新の状況にしておくと万全です。
総合セキュリティ対策なら
パロアルトネットワークス
AIセキュリティ プラットフォームを提供するパロアルトネットワークス社のソフトであれば、総合セキュリティ対策を行えます。サイバー攻撃が巧妙になっている近年ですが、AIはリアルタイムでネットワークの監視を行い、データをもとに分析と攻撃のブロックをします。
まとめ
情報資産とは個人情報のほかにも、企業の財務情報・人事情報・業務のノウハウ・知的財産などさまざまなものが含まれます。これらは適切に管理されなければ、情報が漏洩し、企業に甚大な被害が出る可能性もあります。
ソフトやツールの導入、社員研修をして情報資産を守りましょう。もし管理が難しいと感じるのであれば、パロアルトネットワークスのソフトを利用してみてください。企業が守るべき情報を、AIによる強大なセキュリティで守り切ります。