コラム
リスクスコアとは?
スコアを活用してリスクの程度を把握しよう

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リスクスコアとは、発生確率と影響度を基にリスクの重大性を数値で評価する指標です。特に企業では、サイバー攻撃やシステム障害といった潜在リスクを見える化に活用されており、リスク管理やセキュリティ対策に欠かせない指標です。
本記事では、リスクスコアの種類や算出するメリット、活用時の注意点を解説します。
リスクスコアとは
リスクスコアは、ビジネスや組織活動に潜むさまざまなリスクを複数の要素から数値化した評価指標です。具体的にどのような場面で活用するのか、計算方法などを解説します。
リスクスコアの概要
リスクスコアとは、複数の潜在的リスクに対し、発生可能性と影響度をデータに基づき数値化し、重大性を直感的に把握できる指標です。企業の倒産確率やプロジェクト、サイバー攻撃、病気の発症などをチェックするために、幅広く活用されています。
スコアが高ければ危険性が高い、低ければ安全性が高いというようにリスクの程度を直感的に理解でき、リスクの重大性を認識しやすいのが特徴です。迅速な意思決定や潜在的な脅威への事前対策が講じられるため、リスク管理の重要な基盤となっています。
リスクスコアの計算方法
リスクスコアの基本的な考え方は、「発生確率」と「影響度」を組み合わせて算出する方法です。
実際には各要素に重み付けを行ったり、より複雑なアルゴリズムを用いるケースもありますが、例えば、それぞれの要素を10段階で評価する場合、「発生確率:8」×「影響度:6」=「リスクスコア:48」のように算出します。算出に用いる各要素は細分化され、各要素の重要度に応じて重み付けを設定します。
ただし、計算方法はリスクの種類やシステムによって変わるため注意しましょう。
リスクスコアの種類
リスクスコアの種類は、大きく分けて4つあります。それぞれのリスクスコアの内容を見ていきましょう。
セキュリティリスク
セキュリティリスクのリスクスコアは、企業の情報資産が抱える脆弱性と、サイバー攻撃などの脅威が発生した場合の影響度を総合的に評価し数値化します。算出の際には、システムの脆弱性情報(CVSSスコアなど)や脅威の発生頻度、情報資産の重要度、現在のセキュリティ対策の有効性などが考慮されます。
企業の信用リスク
倒産確率をリスクスコアとして算出することで、企業の信用リスクを評価できます。倒産のリスクスコアには、以下のような定量評価と定性評価、加点・減点の項目で点数化し、リスクスコアを評価します。
- 業歴(企業運営の継続性)
- 資本構成(企業財務の安定性)
- 規模(従業員数や売上高など)
- 損益(決算報告書から会社の損益を評価)
- 資金現況(支払い状況や資金調達余力など)
- 経営者(経営者の資産背景や経営経験、人物像など)
- 企業活力(人材や取引先、将来性など)
- 加点/減点(上記項目だけで十分に反映されていない要素)
企業の信用評価において、リスクスコアは重要な役割を果たします。企業の財務状況や支払い履歴、将来性などを可視化できるため、信用度を客観的かつ定量的に判断可能です。新たな取引先や投資先を選定する際、信用度を確認するためにリスクスコアを活用するケースが多くあります。
プロジェクトリスク
プロジェクトでのリスクスコアは、プロジェクトの規模や進捗状況などを考慮し、プロジェクトの遅延や失敗のリスクを算出します。リスクや失敗の因子に対し、発生確率と発生した場合のプロジェクトに与える影響度を個別に評価します。リスク対応計画の策定や予備費の設定、スケジュールの見直しなどプロジェクトマネジメント上の意思決定に役立てられます。
医療・健康のリスク
医療や健康管理の分野では、個人の健康状態や生活習慣、既往歴をもとにリスクスコアを作成し、疾病の早期発見や予防策に役立てられます。冠動脈疾患や妊娠リスクなど、特定の病気の発症リスクや死亡リスクが算出可能です。リスクスコアは、心臓病や糖尿病といった生活習慣病などの評価に利用され、リスクが高い場合は早期検査や生活改善を即すきっかけとなります。
リスクスコアを算出するメリット
続いて、リスクスコアを算出するメリットを詳しく解説します。
リスクの優先順位を決められる
リスクスコアを算出する最大のメリットは、リスクの優先順位を明確にできる点です。企業は数多くのリスクに直面しており、そのすべてに完璧な対策を講じることは現実的ではありません。セキュリティにかけられるリソースには限りがあるため、どのリスクから優先的に対処すべきか見極める必要があります。リスクスコアを活用すると最も重要なリスクを特定できるため、影響の大きいリスクに対して優先的に対処できます。
リスクへの対策を立てられる
リスクスコアの算出プロセスでは、リスクを数値化するだけでなく、リスクの具体的な内容や原因、影響範囲を細かく分析します。そのため起こり得るリスクをどのように軽減するか、具体的な対策を考えられるようになります。セキュリティリスクのスコアが高ければ、より強いセキュリティ対策が必要とわかり適切な対策が講じられます。
セキュリティ意識を向上させられる
リスクスコアの活用は、組織や従業員全体のセキュリティ意識を高められます。数値化されたリスクの状況や影響度を理解することで、システムや情報の使用者はリスクの重大性を実感しやすくなります。日常的なセキュリティ対策や注意喚起に対する意識向上が期待でき、結果的に組織全体がリスクに対して敏感となり、いち早く対応できる体制が築けるでしょう。
不足しているセキュリティの発見や不正アクセスの抑止につながる
リスクスコアを活用すると、現行セキュリティ対策の脆弱性や不足している対策を特定できます。高スコアのリスクが示す箇所に対して、重点的に対策を講じられます。リスクベース認証では、ユーザーのアクセス元や行動パターンなどから算出したリスクスコアに応じて、ワンタイムパスワードや多要素認証を追加するなど認証レベルを自動調整し、不正アクセスを防ぎます。
効率的に与信判断ができる
リスクスコアは、取引先が信用できるかどうかの与信判断に活用できます。倒産リスクを事前に把握できるため、貸し倒れなどのリスク回避につながります。
また、リスクスコアの与信判断は投資判断にも活用可能です。企業や投資家は、投資対象の企業についての信用リスクや市場リスクをリスクスコアから判断します。投資対象のリスク要因や今後の動向を予測し、ポートフォリオの最適化やリスクヘッジ案を立案します。リスクスコアを活用することで、より合理的な投資決定を実現し、リスクコントロールとリターンを両立させられるでしょう。
リスクスコアを扱う際の注意点
リスクスコアは、算出方法や評価基準が異なるケースもあるため、用いる時は注意が必要です。スコアの算出基準やデータの質によって実際のリスクと乖離する可能性があります。リスクスコアはあくまで予測や推定に過ぎません。絶対的な評価と判断せず、1つの指標としてほかの情報と併せて総合的に判断することが重要です。
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まとめ
本記事では、リスクスコアの種類や算出するメリット、活用時の注意点を解説しました。リスクスコアは、企業の信用評価やセキュリティ管理、個人の健康管理に至るまで幅広く活用されている指標です。スコアを活用することで、リスクの優先順位付けや効果的な対策立案が可能になります。本記事を参考に、企業に潜むリスクを的確に把握し、安全性と信頼性を高めましょう。