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HCI で加速するサーバ仮想化、目からウロコの移行術とは?

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実は今、改めてサーバ仮想化が注目されている。その背景の 1 つには、Software-Defined の潮流からストレージやネットワークを含めた仮想化が可能になり、HCI といったよりシンプルにサーバ仮想化が実現できるようになったことが挙げられる。加えて、利用企業の多い VMware vSphere 5.5 のサポート切れが近づくなど、リプレイスの要請もある。とはいえシステムを移行する際は、停止することはできない。そこで、覚えておきたいのが、バックアップソリューションを活用した仮想環境への移行術だ。

さまざまな技術の進展で、さらに注目を集めるサーバ仮想化。その移行を考えたとき、覚えておきたい方法がある (© Evgen 3d - Fotolia)

サーバ仮想化の「検討」には今が絶妙なタイミング

ここ数年の仮想化技術の進化は、企業インフラに大きな影響を与えている。サーバだけでなく、ネットワークやストレージを含めて仮想化することが可能になり、データセンター機能全体をソフトウェアで管理する "SDDC"(Software-Defined Data Center)の時代に入ってきたためだ。 こうした流れの中、「次世代の IT インフラ」として企業規模の大小を問わず大きな注目を集めているのが、シンプルかつ省スペースで構成できる「ハイパー コンバージド インフラストラクチャ」(HCI)だ。

次世代 IT インフラの向かう方向性は SDDC。サーバのみならず、ネットワークやストレージまで仮想化され、一元的な管理が可能になる。その流れで登場したのが HCI だ

HCI は 1 台のサーバにコンピューティングとストレージの機能を集約し、仮想化に必要なソフトウェアをパッケージングした仮想化インフラ製品のことだ。従来までのサーバ仮想化では、複数のサーバ機器からストレージが共有できるよう、共有ストレージ機器を外部に用意して複雑なネットワークを設定する必要があった。HCI では、ストレージを仮想化する SDS(Software-Defined Storage)により、複数にわたるサーバ内蔵のストレージをソフトウェア的に制御して、仮想的な 1 つの共有ストレージとして利用できる。これにより、よりシンプルかつ柔軟にサーバ仮想化を実現できるのだ。

そのため、中堅・中小規模の IT インフラ構築においては、まずは必要最低限の HCI でスモールスタートし、変化の激しいビジネス状況に応じて、サーバを少しずつ継ぎ足しながら、柔軟な構成が可能になった。これまで物理的に分散していたシステムも仮想化技術でどんどん集約され、運用が容易なインフラに変わりつつある。

SB C&S株式会社 ICT 事業本部 MD 本部 技術統括部 第 1 技術部 3 課 課長代行 熊谷哲人(VMware vExpert)
SB C&S株式会社
ICT 事業本部 MD 本部 技術統括部
第 1 技術部 3 課 課長代行
熊谷哲人(VMware vExpert)

実際、長年にわたり vExpert(VMware コミュニティー全体に大きく貢献した個人を表彰する一年更新のプログラム)として企業の仮想化をサポートしてきた SB C&S の熊谷哲人は、「すでに仮想化技術でインフラを構築している企業だけでなく、まだ仮想化に着手していない企業も『HCI を導入したい』という声がよく聞かれるようになりました」とニーズの高まりを説明する。

「また、仮想化市場で圧倒的シェアを誇る VMware ですが、折しも現在なお多く利用されている VMware vSphere 5.5 のサポート切れが2018年9月に迫っています。これを機に、新バージョン(同 6.5)をベースにした HCI ソリューションを検討する企業も多く出てくるでしょう」(熊谷)

問題となるのは「どう移行するか」、画期的な解決策とは

ただし、既存インフラを仮想環境へと移行する際には、一時的でもシステムを止めたくはない。物理(Physical)から仮想(Virtual)への P2V、あるいは仮想から仮想への V2V でも、いかに業務に対して支障がなく、スムーズに移行できるかというのが大きなポイントになるはずだ。そこでユニークな提案としてオススメしたいのが、バックアップソリューションを活用した移行テクニックだ。 一見すると、なぜバックアップソリューションが P2V/V2V 移行に役に立つのか? と不思議に思う向きがあるかもしれないが、実はこれは、非常に理に適ったアプローチといえるのだ。ここからは、目からウロコのシステム移行アプローチについて紹介していこう。

P2V/V2V の移行を容易にする機能とは

仮想環境のバックアップには、多くのソリューションが存在する。中でも Arcserve シリーズは、多くの実績を持つ信頼性の高いソリューションとして定評がある。

イメージバックアップがベースの「Arcserve Unified Data Protection」(UDP)は、物理・仮想の複雑な混在環境でもコンソールから一元的にバックアップ運用が可能だ。

Arcserve UDP は、リソースへの負荷を抑えるエージェントレス方式により、仮想マシン単位での効率的なバックアップが行えるのだが、万が一のための災害対策として、リストア時間をゼロにできる「インスタント VM」や「仮想スタンバイ機能」も標準でサポート。そして、これらの機能を活用すると、P2V/V2V の移行が容易に行えるようになる。

Arcserve UDP の仮想スタンバイ機能を活用し、サービス無停止、最小ダウンタイムで瞬時にシステムの移行を実現できる

インスタント VM は、バックアップデータを 4 ステップのウィザードでリストアし、仮想マシンを即時に作成できる。一方、仮想スタンバイは、仮想マシンを作成し、本番環境からのバックアップデータを元に通常時に事前にリストアを実施。もし災害や障害が起きたら直ちにスタンバイ用の仮想マシンを起動し切り替えることで、本番業務を再開できる機能だ(遠隔地やクラウドサーバ上への仮想スタンバイも可能)

またArcserve UDP には、バックアップの基本機能として、初回に一度だけフルバックアップを実施し、その後は更新ブロックのみをバックアップすることで細やかな世代管理が可能な「継続的増分バックアップ」と、複数ノードを横断しながら重複データを自動検出し、容量の無駄を排除する「重複排除」もある。

Arcserve Japan ソリューション統括部 プリンシ パルコンサルタント 鈴木 智子氏
Arcserve Japan
ソリューション統括部
プリンシ パルコンサルタント
鈴木智子氏

Arcserve Japan にて、20 年来にわたり バックアップソリューションのプリンシパルコンサルタントを務めてきた鈴木 智子氏は、「システムを移行する際には、オンラインで丸ごと取得してきたバックデータに加え、作業直前の増分データを取って最新の移行データとし、一気に新しい仮想環境にリストアします。そして仮想スタンバイ機能により、仮想マシンを起動すれば、短時間で容易に移行を完了できます」と強調する。

従来まで大切なデータの保管のための手段と考えられていたバックアップソリューションだが、Arcserve UDP を使うことによって、先々のデータ移行も見据えた新しい使い方ができるようになるわけだ。

「Arcserve UDP は、コスト面でもサーバ/ソケット単位で 10 万円(1 年間の保守料含む)と、お求めやすい料金で利用できます。サーバ台数が多い場合には、Arcserve UDP の機能をすべてプリインストールした無制限ライセンスのバックアップ / リカバリ専用アプライアンスも用意しています。5 年間の保守サポートも含んでおり、こちらをご利用いただいたほうがコスト面で有利になるケースも多いでしょう」(鈴木氏)

この専用アプライアンスは、内蔵ストレージとして、それぞれ 12TB/24TB の「Arcserve UDP 8200/8220」の 2 モデルを選択できる。

いずれも Arcserve UDP の重複排除とデータ圧縮の機能により、容量的にかなり余裕をもった使い方が可能だ。たとえば、酒造で有名な霧島ホールディングスでは、従来 270GB だったデータが 72GB になり、84.4% の削減効果があった。もし将来的にデータが一杯になってもスケールアウトも容易だ。

VMware 環境のバックアップと言えば、無料で利用できることもあり、vSphere 標準の「vSphere Data Protection (vDP)」を利用している企業が多いかもしれない。しかし、その vDP はまもなく提供が終了してしまう(vSphere 6.5 まで)。その意味でも、仮想環境のバックアップを見直すには、ちょうどよいタイミングと言えるだろう。

仮想インフラ環境を「健康診断」、状況可視化で社内決裁もスムーズに

さて、前出の SB C&S では、この Arcserve UDP と専用アプライアンスの販社として、数多くの実績を有している。同社の強みは、バックアップソリューションを単に提供するだけでなく、企業インフラを構築する上で求められる幅広いノウハウと技術力を持っていることだ。

実際に前出の熊谷氏は 5 年連続で vExpert を更新しており、ほかにも vExpert を取得している多数のメンバーもいる。そのため、新規に仮想化基盤を検討する際、あるいは仮想化基盤を構築済みで保守更新時に運用環境を見直しする際に心強いアドバイスも受けられるだろう。

たとえば SB C&S では、ユーザー企業向けに「仮想化健康診断(VOA)サービス」を実施している点も大きな特徴だ。

VOA サービスではユーザーの仮想化環境のアセスメントが可能だ
VOA サービスではユーザーの仮想化環境のアセスメントが可能だ

これは、まさに人間ドックと同様に、仮想基盤の状態をモニタリングし、パフォーマンス向上の改善や今後の計画に役立つ診断をしてくれるサービスだ。具体的には、SB C&S によって vRealize Operations Manager (vROps) 仮想アプライアンスが事前構成済されたノート PC をユーザーの既存仮想環境上のネットワークに 2 週間~ 1ヵ月ほど接続するだけ。その後は vROps が既存仮想環境におけるパフォーマンスデータや利用状況を自動的に収集・分析し、可視化された有用なレポートを出力してくれる。

「既存インフラのサイジングが適切かどうか、あるいは何かリソースのムダがないのか、そういった情報を事前に把握できるため、既存インフラのリプレイス等を検討する際の説得材料としても最適です。また、『稟議も通りやすくなる』と、お客様にも大好評のサービスです」(熊谷)

データ削減率 94%! 国際基督教大学の仮想化システム基盤のスムーズな移行にも成功

SB C&S では昨年8月、前出の専用アプライアンスを使い、国際基督教大学(ICU)の仮想化システム基盤(HCI)のスムーズな V2V 移行に成功している(導入事例はこちら)。新しい仮想化環境では、従来まで毎日 1 時間かかったバックアップ時間が増分バックアップにより 3 分間で済み、容量も 26.5TB のデータに対して 1.6TB 以下(データ削減率 94%)と驚異的な効果を上げた。今後は P2V 移行も視野に、よりシンプルなシステムの集約化をしていくという。

システム構築を考える際、バックアップソリューションは「後回し」になりがちだ。しかし前述の事例のように、あらかじめバックアップ環境も見据えて統合的にソリューションを選択すれば、新しい仮想環境への移行自体もスムーズに行え、将来的な拡張も容易に対応できる。これからのスマートな次世代インフラ構築には、バックアップがカギになるのは間違いない。

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