ついにGAされた Windows Virtual Desktop とは!? [アーキテクチャ/価格編]
2019.12.03
皆さまこんにちは!SB C&S の井上です。
2018年の Ignite で発表され、2019年3月にパブリックプレビューが開始された注目のサービス、「Windows Virtual Desktop」が9月末に突如 GA されました。
前回は Windows Virtual Desktop(以下 WVD) の概要と特徴 についてご紹介しました。
今回は WVD のアーキテクチャ、利用するために必要なライセンスや価格についてご紹介していきます。
WVD のアーキテクチャ
WVD のアーキテクチャは、「Microsoft 管理プレーン」と「ユーザー管理プレーン」の2つに大分されます。
それぞれの特徴と含まれるリソースについて、以下にまとめました。
また、WVD のセッションホストに接続する際には、2つの管理プレーン間で以下のようなやり取りが発生しています。
(1)Azure AD に接続
(2) 認証/トークン付与
(3)Web Access にトークン提示
(4)認可されたリソースを Broker に確認
(5)ゲートウェイに接続
(6)セッションホストに接続
上図のように、セッションホストに接続する際には必ず Microsoft 管理プレーン内の Gateway を経由します。
Microsoft 管理プレーンが存在しないリージョンにセッションホストをデプロイした場合は、Traffic Manager によって自動的に最も近い Microsoft 管理プレーンを経由しますが、レイテンシが発生する可能性があります。
ネットワークのパフォーマンスを最適化するためにも、Microsoft 管理プレーンと同じリージョンにセッションホストをデプロイすることが推奨されています。
GA 当時は日本リージョンには Microsoft 管理プレーンが存在せず、一度米国リージョンを経由していたためレイテンシが発生していましたが、最近 日本リージョンにも Microsoft 管理プレーンが追加 されたため、接続時のパフォーマンスが改善しています。
日本リージョンに Microsoft 管理プレーンが追加される前に日本リージョンにセッションホストをデプロイしている方でも、現在は日本リージョンの Microsoft 管理プレーンが自動的に選択されます。
また、WVD では、テナント名、ホストプール名、アプリグループ名、ユーザープリンシパル名などのメタデータ情報の保存先は、現状では米国のデータセンターのみです。
これらメタデータは保存時に暗号化され、米国で Geo 冗長されます。
アプリケーション設定やユーザーデータなどの情報はホストプールと同じリージョンに保存されますが、米国を宛先にデータ転送が発生する可能性がある点に注意が必要です。
WVD を利用するためのライセンス
WVD を利用するためには、以下のライセンスのいずれかが必要となります。
これらのライセンスを WVD 利用ユーザーに割り当てることで、仮想デスクトップへのアクセスと FSLogix 機能の利用が許可されます。
したがって、WVD の利用に必要なライセンスコストは、
[ライセンス料金 × 利用ユーザー数] 分となります。
WVD の価格
WVD を利用するには、先述したライセンス料金に加えて、Azure リソースの利用料金も必要となります。
WVD のアーキテクチャは「Microsoft 管理プレーン」と「ユーザー管理プレーン」の2つに大分されますが、実際に支払が必要なのは「ユーザー管理プレーン」内のリソースのみであり、「Microsoft 管理プレーン」内のリソース利用料金は所定のライセンス料金に含まれています。
したがって、WVD の利用に必要なトータルの価格は、
[ユーザー管理プレーンのリソース利用量 + (ライセンス料金 × 利用ユーザー数)] となります。
パートナーエコシステムでサードパーティー製品を組み合わせて利用する場合は、これに加えてサードパーティー製品のライセンス料金も必要となります。
すでに Microsoft 365 などのライセンスを所有している方はそのライセンスを利用してコスト削減出来るだけでなく、WVD のメリットである Windows 10 マルチセッションで複数ユーザーを集約することで、従来の VDI に比べてリソースコストを大幅に削減することができます。
また、WVD のセッションホスト仮想マシンは予約インスタンス(RIs; Reserved Instances) の利用も可能ですので、1年以上の長期利用を想定されている場合は RIs を利用することでリソースコストを更に抑えることができます。
WVD のユーザー管理プレーンの利用料金については、 Azure 料金計算ツール に「Windows Virtual Desktop」が追加されているため、こちらで利用ユーザー数や稼働時間などの数値を入力すれば簡易的な概算が可能です。
Azure 料金計算ツール WVD リソースコスト概算例
ライセンス料金も含めた概算が必要な場合は、ぜひ Azure相談センター にご相談ください。まとめ
今回は Microsoft 純正の仮想デスクトップサービスである Windows Virtual Desktop のうち、
- アーキテクチャ
- 必要なライセンス
- 価格
についてご紹介いたしました。
次回も WVD について、構築手順や接続方法についてご紹介する予定ですので、ご期待ください!
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
利用方法やユースケースなど、Azure や WVD に関してご不明な点がございましたら、ぜひお気軽に Azure相談センター までお問い合わせください。
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