【Azure基礎用語解説】 「Windows Azure Pack」
2016.02.17
Windows Azure Packは、Microsoft Azureをベースにしたセルフサービス型ポータル、プライベートクラウドをオンプレミスで構築するためのツールです。
マイクロソフトは、同社が開発した最新テクノロジーを真っ先にAzureに取り入れており、それによりAzureが提供するサービスは日々刻々と進化し続けています。Azureの利用者は要件に合致するサービスを自由に選択し、ビジネスに活用することが可能です。こうしたAzureのテクノロジーをオンプレミスでも使えるようにするために開発されたのが、Windows Azure Packです。Azureとオンプレミスに構築したプライベートクラウドのアーキテクチャを同一にすることにより、ユーザーはパブリッククラウドとオンプレミスの違いを意識することなく、共通のツールを使って相互運用しようというマイクロソフトの発想から誕生しました。
Windows Server、およびSystem Center Virtual Machine Managerと連携して動作するWindows Azure Packを導入すれば、Azureとほぼ同等の手順でプライベートクラウドをコントロールすることが可能になります。Windows ServerとHyper-VによりIaaS環境を用意し、利用者自身がポータルを使って仮想マシンのインスタンス作成、起動、停止、削除という一連の操作を行えるようになるわけです。また、Webアプリケーション/サービスを迅速に展開できるPaaSの構築も可能です。
Windows Azure Packに含まれる主な機能は以下のとおりです。
・マルチテナント用ポータル
仮想マシン、Webサイト、サービスバスなどのサービスのプロビジョニング、監視、管理を行うセルフサービス型のポータルです。Azureと一貫した操作性を備え、自由にカスタマイズすることができます。
・IT部門の管理者向けポータル
リソースやユーザーアカウント、使用料設定などを構成・管理するためのIT部門の運用管理担当者向けポータルです。
・Webサイト
ASP.NET、PHP、Node.jsによるWebアプリケーション用の共有プラットフォームを提供します。
・仮想マシン
WindowsおよびLinuxの仮想マシンにIaaS機能を提供します。
・サービスバス
分散アプリケーションの間で信頼性の高いメッセージングサービスを提供します。
・データベース
プロビジョニングと管理が容易なクラウド ベースのデータベースサービスを提供します。
当然のことながらAzureのすべての機能がWindows Azure Packに含まれているわけではありません。Windows Azure Packは、Windows Serverで構築するプライベートクラウドをAzureと同等のインターフェイスによる操作性で管理するためのツールと考えましょう。
なお、Windows Azure PackはWindows Serverを社内で利用していれば、誰でも無償で利用することができます。ダウンロードおよびドキュメントは、TechNet ライブラリより入手してください。
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