今さら聞けない VDIの話
今さら聞けないVDIのメリットとデメリットを徹底解説
- 連載記事/コラム
今さら聞けない VDI の話の最終回となる今回は、これまでのシリーズで解説してきた VDI についてのさまざまなメリットとデメリットについて改めてご紹介します。
新人テレワークの広がりとあわせて、VDI を導入するという企業も増えてきているみたいですね。
先輩一時しのぎではなく、テレワークができる環境を恒常的なものにするということは、これからの企業にとっては必須になってきていると思うな。
新人でも、VDI の導入に対しては慎重な意見もありますよね。そもそもテレワークの導入において、VDI にどういったメリットやデメリットがあるのかを、聞かれることも多いです。
先輩VDI の導入も、最終的には従業員の働き方を自由にしたり、BCP対策を実現するための手段だから、VDI のメリットとデメリットを整理しておくことは大事だね。今日は、その確認をしてみようか。
VDI のメリット・デメリットを理解するための基礎知識
先輩まずは「VDI」という言葉の定義を整理しておこうか、VDI は広義と狭義2つの意味で使われるんだ。
広義での VDI は、仮想デスクトップという概念全体を表現している。
一方で、狭義での VDI は、シンクライアントを実現するための実装方式の1つとしての VDI 方式として使用される。
以前にも、VDI の定義は話したことがあるな。
参照リンク:
VDI とシンクライアントの違いを徹底解説
今回は、仮想デスクトップ全体を表す広義の VDI について話していこうか。
VDI 導入4つのメリット
先輩まずは VDI のメリットから解説していこうか
VDI 導入におけるメリットは、主に以下の4つになる。
それぞれ解説していこうか。
- セキュリティを向上し情報漏洩リスクを減らす
- 管理・メンテナンスの手間を減らすことができる
- 在宅勤務などの多様なワークスタイルに対応できる
- BCP 対策としての有効性
1. セキュリティを向上し情報漏洩リスクを減らす
1つ目のメリットは、セキュリティを向上し情報漏洩リスクを減らすということだ。 VDI は、テレワークを実施する上で、有効なセキュリティ対策だと言える。
VDI はクライアント端末にデータを保管せず、サーバー側でデータを保管するので、従業員が使用する端末の物理的な盗難・紛失などに伴う情報漏えいのリスクを低減することができるからだ。
また、端末のセキュリティソフトや OS などのアップデートを従業員にゆだねている場合、対応漏れや更新時のトラブルが起こる可能性もあるが、VDI であればサーバー側で一括アップデートできる点も、セキュリティ向上におけるメリットと言えるな。
2. 管理・メンテナンスの手間を減らすことができる
2つ目のメリットは管理・メンテナンスの手間を減らすことができることだ。
従業員が物理的な PC を業務用端末として使用している場合、OS のバージョンアップやアプリケーションのアップデートを端末ごとに行うことになる。
更新イメージを夜間バッチなどで配布するような場合も、PC 電源のオンオフや、更新されなかった端末への適用確認などで、端末の数が多くなる程手間が増える作業になってしまう。
さらに、テレワークによって社外に PC 端末が持ち出されてしまうと、そうしたチェックが行き届かなくなる可能性もある。
VDI であれば、そういった端末ごとの個別対応や端末がある場所へ出向いての対応が必要なくなるので、システム管理者の作業負担が大きく低減できる。
また、端末でシステムのアップデートが行われる最中は、更新が終わるまで作業できないダウンタイムとなるが、VDI であれば深夜など業務時間外のタイミングで終わらせることもできるんだ。
3. 在宅勤務などの多様なワークスタイルに対応できる
3つ目のメリットは、在宅勤務などの多様なワークスタイルに対応できることだ。
VDI を導入することで、ネットワークさえあれば仕事ができるセキュアな環境を従業員に提供できるようになる。
これにより、素早くテレワーク体制へと移行したり、子育て中や住居が遠くにある従業員の通勤の負荷を減らすなど、柔軟な働き方を提供できるようになる。
働きやすい環境を提供できるようになれば、従業員の離職防止や会社への帰属意識の向上も期待できるようになるな。
4. BCP 対策としての有効性
4つ目のメリットは、BCP 対策としての有効性が高いことだ。
新型コロナウイルスのようなパンデミックだけでなく、日本では大型地震や大雨・台風といった自然災害によって、物理的にオフィスが使えなくなる状況は、これからも十分に起こり得る。
BCP 対策ができていないと、そうした事象が起こるたびに業務を停止することになったり、従業員の保有する端末に保管されているデータがなくなることによる、致命的な情報喪失が起こるリスクにさらされることになる。
企業としてそうした不測の事態に対して事業の継続性を担保する BCP 対策は重要だし、ビジネスで使用するデータと使用端末を切り離す VDI はその対応策として一端を担うことができるんだ。
VDI 2つのデメリット
新人これからのビジネス環境を考えると、VDI はメリットの多い選択肢に思えますね。
先輩
そうだね。とはいえ、メリットだけでは無いので、デメリットとなる点も考えた上で、導入を検討することが必要になるな。
VDI のデメリットは、以下の2つになる。それぞれについて解説していこう。
- サーバー側で必要なリソースを把握する必要がある
- 1つの障害で全体に影響が出るリスクがある
1. サーバー側で必要なリソースを把握する必要がある
1つ目のデメリットは、サーバー側のリソースを十分に確保する必要があるということだ。
VDI はオンプレミス環境へ導入する性質上、導入後にスケールアップやスケールダウンするなど、処理能力の変更を柔軟に行うことが難しいという特徴がある。
そのため、導入する時点でどの程度の処理能力を保有する必要があるのか、リソースのサイジングをしっかり行う必要があるんだ。
2. 1つの障害で全体に影響が出るリスクがある
2つ目のデメリットは、1つの障害で全体に影響が出るリスクがあるということだ。
障害といっても、サーバーリソースの不足・ネットワーク障害・配布イメージのトラブルなど色々なケースが想定される。
ただし、ここで紹介したデメリットの1も2もサーバーやインフラの可用性をあげることで回避することができる。
具体的には、VMware による VMware vSAN や VMware NSX DC といったストレージやネットワークの仮想化による可用性の向上や、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)と呼ばれる IT 基盤そのものを簡単に追加できるソリューションを利用することで、オンプレミス環境での VDI もスケールアップやスケールダウンなどの柔軟性を高めることができる。
VDI と同時に DaaS を検討するケースが増加
新人VDI の導入については、もっと気軽にできる方法としての DaaS を検討する企業も多いみたいですね。
先輩 そうだね。最近は、そもそも自社のインフラをオンプレミスではなくクラウドで所有する企業も多くなってきているから、最初から VDI ではなく DaaS を選択する企業も増えてきているみたいだ。最後に DaaS についても簡単に解説しようか。
VDI はサーバーをオンプレミスで用意するので、一定の初期投資がかかるし、事前のサイジングが重要だったり、運用が始まってもサーバーのメンテナンスや、外部からアクセスする際のセキュアなネットワーク構築にも配慮する必要がある。
そこで、最近、注目されているのが DaaS だ。
DaaS は、仮想デスクトップをクラウドサービスとして利用するもので、インフラ面での初期投資や運用負荷を、導入企業が負担する必要がないので、小規模での導入時には非常に有力な選択肢として選ばれているんだ。
また、運用開始後に処理能力の拡充や利用数を簡単に増減することができるので、利用状況にあわせることができる柔軟性が高いのも特徴だと言えるね。
まとめ
新人VDI 導入のメリットが大きいのはもちろんですが、デメリットとしてはインフラ環境の整備という面が大きいですね。
先輩 そうだね、VDI はオンプレミス環境へ導入するものだから、どうしてもそちらの負荷が高くなる。すでに仮想化環境を充実させている企業なら、デメリットを低減するハードルも低くなるけど、VDI 導入と合わせてインフラ環境も整備する場合は、導入コストだけでなく、メンテナンスコストまで含めて考える必要があるね。
ただ、VDI 導入はあくまで手段であり、目的ではないんだ。本来解決したい「働き方改革の実現」や「BCP 対応」といった課題に対して、VDI のメリット・デメリットを把握した上で、DaaS やその他のソリューションまで含めた、さまざまなアプローチをしていく必要があるんじゃないかな。
新人確かに、テレワークを実現するためのソリューションの選択肢も今はたくさんありますから、何を実現したいかで導入するソリューションを選ぶ必要がありますね。
今回は、「今さら聞けない VDI の話」の最終回として、改めて VDI のメリットとデメリットをご紹介しました。
シリーズを通じて、VDI がどういったものなのかをご理解いただくことで、ビジネスのお役に立てたなら幸いです。
SB C&S では、VDI ソリュ―ションとして「VMware Horizon 7」を、DaaS ソリュ―ションとして「VMware Horizon Cloud」や「VMware Horizon Cloud on Mirosoft Azure」、「VMware Horizon Cloud on Microsoft Azure with AVD」といったさまざまなソリューションをご提供しています。
さらに、VDI のように環境を構築する必要がなく、手軽にテレワークを始められる上に、デバイスや従業員の管理も一元的に統合できる、柔軟な働き方と高いセキュリティと管理を両立するデジタルワークスペースのソリューション「VMware Workspace ONE」もご提供しています。
詳しくは、下記の製品ページまたはソリューションページをご確認ください。
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