Azureを使って動画配信を行うことはできますか?
2015.12.24
Q:Azureを使って動画配信を行うことはできますか?
A:Azureには、Azure Media Servicesというサービスが用意されています。このサービスを使えば、インターネットを経由してオンデマンドビデオ、ライブストリーミングビデオを配信することが可能です。
【解説】
Azure Media Servicesは、マルチデバイス向けのビデオ配信が行えるPaaSです。あらかじめファイルとして保存したビデオをユーザーのリクエストに応じて配信するオンデマンドのほか、テレビ、PC、モバイルなど各種デバイス向けにリアルタイムのライブビデオを配信するストリーミングにも対応し、ビデオ(オーディオのみも可)配信に必要なあらゆる機能を備えています。
従来、インターネット経由でビデオを配信するには、オンプレミス環境にビデオ配信サーバーを用意したり、ビデオの元データにエンコード(圧縮・暗号化)処理を行ったりなど、インフラやビデオに関する詳しい専門知識が要求されました。そのため、ビデオ配信の手段としてよく利用されたのが、YouTubeに代表される動画共有サービスです。ビデオデータをアップロードするだけで手軽にビデオ配信が可能で、自社のWebページにも容易に埋め込むことができる利便性からそのような動画共有サービスは瞬く間に普及しました。
しかし、動画共有サービスを利用した場合、ビデオの格納先も配信も自社の手を離れてしまいます。そのため、社外に広く視聴してもらいたいプロモーションビデオ用途には適していても、操作マニュアルや社員教育など社内限定のビデオを配信するのには向いていないという課題があります。また、企業によっては動画共有サービスへのアクセスを禁止している場合も考えられます。
そうした課題をすべて解決するのが、Azure Media Servicesです。このサービスを利用すれば、ビデオ配信サーバーを用意することも、自前でエンコード処理を行うこともなく、Azureポータルから簡単にビデオ配信が可能になります。
Azure Media Servicesは、2014年にロシア・ソチで開催されたオリンピック冬季競技大会期間中の18日間にわたり、延べ6,000時間を超えるビデオ配信に利用されるなど、すでに豊富な実績を誇っています。マイクロソフトの代表的なクラウドサービスであるOffice 365で提供されているビデオポータル機能「Office 365 Video」も、Azure Media Servicesを基盤として利用しています。
Azure Media Servicesは、最新ライブストリーミング仕様のMPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)もサポートしています。MPEG-DASHは、国際標準化団体のISOが策定したストリーミング配信規格です。SilverlightやFlashのような各ベンダー独自規格のプラグインが不要で、HTTP5に対応した最新のWebブラウザ(Microsoft Edge、Internet Explorer、Chrome、FireFox、Operaなど)でそのまま表示できるため、急速に普及しています。
さらに、最新のグローバル配信ネットワークであるAzure Content Delivery Network(Azure CDN)と組み合わせて利用すれば、マイクロソフトのグローバルデータセンターの堅牢なネットワークを経由して、帯域幅が広い高品質なビデオを世界中のどこへでも高速に配信することが可能です。
photo:Thinkstock / Getty Images