【特集】HPCや基幹システムのクラウド移行を後押しする「Premium Storage」

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ビッグデータ解析などの基盤として高まるストレージの重要性

ビッグデータ解析によるイノベーション創出に取り組む企業が増えています。これは、Webサイトだけでなく、さまざまな機器や端末から得られた膨大なデータを分析し、そこから得られた知見やノウハウをもとに、さらなる付加価値を生み出していこうという取り組みです。

そのための分析手法として機械学習などの手法を用いる際、大量のデータを並列に分散処理するHPC(High Performance Computing)の基盤として、OSや開発環境に依存しないオープンなプラットフォームとしてAzureが選ばれるケースが増えています。

また、HPCに限らず、たとえば、大規模ストレージにデータを一元管理し、企業内の多くのユーザーがアクセスするアナリティクスやBIなどで、効率的にデータを利活用したいというニーズに対しても、Azureが選ばれるケースはさらに増えていくでしょう。

高パフォーマンス、低レイテンシーを実現する「Premium Storage」

こうしたニーズを後押しするのが、従来の「Standard Storage」に加え、2015年4月から一般提供が開始された「Premium Storage」です。

Premium Storageでは、仮想マシンごとに最大64TBの永続ストレージを追加できます。Standard Storageはハードディスクドライブ(HDD)にデータが保存されるのに対し、Premium Storageでは最新のソリッドステートドライブ(SSD)にデータが保存されます。

また、仮想マシンごとに80,000を超えるIOPS(I/O Operations Per Second)を達成、高パフォーマンスを実現するとともに、読み取り操作では極めて低いレイテンシーを実現しています。

マイクロソフトの発表によれば、以下のようなパフォーマンスが確認されているとのこと。これほどハイパフォーマンスなIOPSを実現できるサービスは、大手のパブリッククラウドとしては唯一です。

●2TBのSQL Serverデータベース バックアップ時の速度は、Standard Storageと比べて6倍
●2TBのSQL Serverデータベースを復元するときの速度は、Standard Storageと比べて30倍
●Premium Storageで実行されるSQL Serverデータベースの書き込みスループットは、オンプレミスの中級グレードのSAN(Storage Area Network)で実行されるスループットと比べて2倍

また、Premium Storage はサービス品質保証(SLA)によって99.9%の可用性を保証されています。チケット等の予約システムや金融機関の入出金処理などで利用されるOLTP(オンライントランザクション処理)やビッグデータ解析、データウェアハウスなど入出力負荷の高いワークロードに対応が可能です。

「HD Insight」や「Machine Learning」などと組み合わせて利用することも可能

そして、高パフォーマンスと低レイテンシーが求められる負荷の要件が厳しいデータベースとても利用できるため、Dynamics AX、Dynamics CRM、Exchange Server、SharePoint Farms、SAP Business Suite など基幹業務システムのアプリケーションをクラウドに移行することもサポートします。

Premium Storage の使用を開始するには、(1)AzureポータルでPremium Storageアカウントを作成する、(2)「DS」シリーズの仮想マシンを作成する、の2つのステップでスタートします。

ストレージアカウントの種類「Premium Locally Redundant」を選択する

ストレージアカウントの種類「Premium Locally Redundant」を選択する

Linuxを用いたHPC環境を構築するためにオープンなプラットフォームを求める企業や、すでにAzureを利用している企業で、HD InsightやMachine Learningなどと組み合わせながら、さらに高パフォーマンス、低レイテンシーのサービスを提供したいと考える企業、あるいはBIツールやCRM、メールやグループウェア、ERPなどの業務システムをクラウドに移行したいと考える企業にとって、有用なサービスとなるに違いありません。

photo:Thinkstock / Getty Images