大規模案件にAzureが導入される理由-1
~ビジネスのニーズにしっかり合致~

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大規模案件にAzureが導入される理由-1~ビジネスのニーズにしっかり合致~

Azureの大規模案件事例

総務省が発表した平成29年版情報通信白書の「ICTサービスの利用動向」によると、一部でもクラウドサービスを利用していると回答した企業の割合は、前年から2.3ポイント上昇して46.9%。そして全社的に利用していると回答した企業の割合は1.6ポイント上昇の24.4%だそうです。企業におけるクラウド利用の割合は着実に上がっていると言えるでしょう。

少額から始められることもあり、中小規模での利用も多いクラウドサービスですが、サーバーやネットワークの性能だけでなく安全面も向上し、大規模案件やミッションクリティカルな案件にも活用されるようになっています。

そこで今回から2回にわたってクラウドサービス「Microsoft Azure」が、大規模案件でどのように導入・活用されているか、また、どのような点が大規模案件のニーズに合致しているかを、SB C&Sのスタッフがご紹介します。これから大規模案件でのクラウド活用を検討されている方は、ぜひ参考になさってください!

では、Azureを活用すると、たとえばどのような大規模案件対応が可能になるのでしょうか。それを知るには、過去の導入事例を見ていただくのが近道でしょう。今までの事例を何点か、SB C&S ICT事業本部 EM本部 ライセンシングソリューション部の安藤耕平がご紹介します。

SB C&S 安藤耕平

SB C&S 安藤耕平

開発企業様の場合

東京や関東圏、さらに四国などにサテライトオフィスがある、IT開発企業様の場合、それぞれのオフィスが自分たちにあった環境で仕事をすることを推奨しつつも、各地のスタッフ間で、必要なファイルやデータをシェアする環境が必要でした。それぞれのオフィスが自分たちにあった環境で仕事をすることを推奨しつつも、各地のスタッフ間で、必要なファイルやデータをシェアする環境が必要でした。
そこでクラウドプラットフォームを検討され選ばれたのがAzureでした。現在、基幹系・情報系システムのインフラやPaaSを半々くらいの割合で活用されています。
このように広域に展開したいサービスや事業の継続性を重視するサービスの場合、ハードウェア構成は、オンプレミスや1カ所のデータセンターに依存しないほうがよい場合が多々あります。


Webサービス提供業者様の場合

イベントのWebカタログサイトの提供を行う企業様のケースですが、イベント開催時にはサイトへのアクセスが膨大なものになるそうです。そうした特性のあるシステムの場合、通常時に合わせた構成ではピーク時にサービスが落ちますし、ピーク時に合わせると通常時にはオーバースペックな状態で、コストが無駄になります。
通常時とピーク時の差が非常に大きい場合、ピーク時に合わせてサーバーやネットワークの能力を調整できるクラウドは相性抜群。そこで選ばれたのがAzureでした。
上記のような場合以外でも、たとえは開発用途においては、たとえば負荷テストで一時的に高いスペックが求められるようなことがあります。オンプレミスの場合、購入やリースでは一時利用はコスト的に割高ですし、レンタルは手続きや準備期間に手間取ります。
従量課金で資産を持つことなく、一時的に高いスペックでシュミレーションできる検証環境をすぐに整えられるクラウドはその点優位で、また開発者であればDevOpsに取り組みやすい環境もあります。

Azureが解決する大規模案件ならではの課題

企業が大規模案件を運用するにあたって課題となる定番のテーマがいくつかあります。引き続き、SB C&Sの安藤耕平がご説明します。


ハードウェアを資産として持つか、経費として処理するか

サーバーのようなハードウェアを社内で所有してしまう(資産化してしまう)と、法定耐用年数に基づいて6年間は減価償却費が発生します。
しかし、現代の情報システムの変化と進化はとても早く、筐体としてのサーバーの寿命は6年あったとしても、現実問題として、6年前に導入したサーバーがそのまま情報システムとして活用できるかというと疑問ではないでしょうか。
Azureを活用すれば、開発時には小さな構成で安価にサーバーを動かし、実運用に入ってからは、規模にあった適切な構成に変更することができます。そしてそれらのサーバーは、資産でなく経費として処理できます。
経理面からも、サーバーを資産として持つことが多いオンプレミスよりも、経費として処理できるAzureのようなクラウドが有利であるという視点は見逃せません。
さらに、ハードウェアやネットワークの保守もクラウドサービスに依存できるので、周辺業務の軽減に貢献します。


すぐに導入できる

オンプレミスの場合、実際の導入まで、コストはもちろんのこと、開発のために相当程度の時間が必要になります。一方Azureなら、無料アカウントを作成すればすぐにクラウド上に環境を構築でき、最初の1か月はほぼ無料でテスト利用できます。そしてその間に適切な構成を構築して2か月目以降には本格稼働が可能です。
また、すぐに導入が可能になるのと同様、不要になったら簡単に停止できるところもAzureの便利なところです。資源を利用した分の支払いだけで済みます。


システムの規模をいつでも変えられる

繁忙期と閑散期があるシステムの場合、オンプレミスでは、ハードウェアとネットワークの設計は悩みが尽きません。繁忙期では多くのユーザーが同時にアクセスしてくるなど、システム全体に対する負荷が高まりますが、そこに水準を合わせたハードウェア設計では、繁忙期以外の運用時にはオーバースペックになり無駄が生じます。
一方、閑散期や平均的な稼働状態に合わせたシステム設計をすると、繁忙期にシステムが不安定になり、ビジネスの機会損失にも繋がりかねません。
こういった悩みはAzureの活用で解決できます。システムの構成を随時変更でき、リソースを使った分だけ支払うAzureなら、システムの稼働状況に応じた構成を組んでいればよいのです。
またいつごろから繁忙期か予測がつくのあれば、あらかじめその時期にハードウェアを増強する指示を入れておけます。これをオートスケールといいますが、もちろんAzureはオートスケールに対応しています。

クラウドが大規模案件に使われるための条件

運用面や経費などに関して、オンプレミスに比較してAzureが有利な点は今までご説明したような点にあります。とはいえ、何かトラブルが発生した場合、大規模案件では影響も大きくなりがちです。では、大規模案件でクラウドの活用を考えた場合、どのようなことが必要な条件になるのでしょうか。

その点を、SB C&S ICT 事業本部 MD 本部 ビジネスソフトウェア統括部 BSWビジネス企画室 野田泰宏がご説明します。

SB C&S 野田泰宏

SB C&S 野田泰宏

大規模案件では、障害が発生したり情報が漏洩した時の影響範囲も大規模になりがちです。さらにEUのGDPR(一般データ保護規則)への対応もあるので、データの預け先のセキュリティは重要です。

クラウドサービスを提供する各社は今、どこがいち早く新しい規格を取得できるかという競争が起こるほど、セキュリティ規格の取得に関して積極的な動きを見せています。

人的な管理面から見ると、Azureではクラウドの運用管理技術に特化しているエンジニアが専門の技術者として管理を担当しています。一方、オンプレミスの場合、エンジニアは複数の業務を兼ねているケースがほとんどで、システム管理専任ということはあまりないのではないでしょうか。そう考えると、クラウドサービスとの契約には、サーバーやネットワークの運用保守業務をアウトソースしている一面もあるといえるかもしれません。

ところで、よく話題にのぼる価格面については、セキュリティなどの面に比べるとお客様にとってはあまり大きな判断要素になっていないようです。もちろん、クラウドとオンプレミスとでは費用に関して絶対的な価格差もありますが、むしろ昨今の複雑なライセンス体系を一括で管理できることに、クラウドの利点があるといえるでしょう。ちなみにAzureであれば、Microsoft製品のライセンスも含めて組み合わせられます

大規模案件にとってのAzureのメリット

では実際に大規模案件のお客様がAzureを活用する際には、セキュリティなどの面について、どのようなメリットを感じているのでしょうか。


堅牢なセキュリティと災害対策

セキュリティに関しては、どのクラウドサービス事業者も、今では我さきに新しい規格を取得しようと積極的なのは上述の通りですが、災害対策は東日本大震災以降、日本では大きく進化しました。
東日本大震災が起こった2011年当時、日本ではまだクラウドのブームは起きていませんでしたが、BCP(事業継続計画)、DR(災害復旧)の概念が情報システムでも意識されるようになりました。データセンターが1カ所だけでは、そこに何かトラブルのあった場合のリスクがあまりにも高いということにお客様も気づかれたようです。
たとえば、ある企業では東日本大震災の直後にメールサーバーだけが停止してしまい、他の業務は問題なく続けていたにもかかわらず、メールが繋がらない、返信が来ないといったことがあったために、取引先などからは、その企業自身が被害にあったと勘違いされてしまったそうです。これなどひとつ間違ったら、受注が激減し、経営に大きな打撃となります。現代では、システムが適切に稼働しているということが即ち、その企業が「元気」であることの証明にもなるということです。
国内の複数の拠点にデータセンターがあるAzureであれば、どこか一カ所が大きな被害を受けることがあっても、データがすべて失われるようなことはありません。


老朽化システムのリプレース

サーバーをはじめとした情報システムのリースの契約期間が満了になったり、導入していたシステムの契約期間が終了したら、次のシステムをどう手配するか考える必要があります。
その際、検討に加えていただきたいのがAzureです。
たとえば、システムの技術的・経理的管理に負担がかかっていれば、それらを一括でアウトソースできますし、システムの増強にエンジニアが悩んでいれば、オートスケールの機能を持つAzureは魅力的だと思います。
開発段階では小さなシステムで作り始め、負荷テストや繁忙期など必要な時期だけ構成を増強できる強みもAzureにはあります。
システムをリプレースするタイミングは、新規導入について社内調整を進めるにもいい機会だと思います。ぜひ一度、Azureのメリットを改めて見直してみていただければと思います。