Azureで使えるAI系サービスについて、まとめてみた!
2019.08.05
既にご存知のようにAzureにはAIの開発と利用を簡単にするサービスが現在も多数提供されていますが、Microsoftは各種イベントでAI分野に注力していくと公表しており、今後も新規サービスや機能強化が継続的に行われることが予想されます。これにより、AIの開発と利用のハードルが下がることが期待できますが、多岐に渡るサービスの機能や使い分けを把握するのは大変です。
そこで今回は、Azureで提供されているAI系サービスについて、それぞれの特徴やユースケースを簡単にまとめてご紹介いたします。
Azureで提供されているAI系サービス
以下の図は、Microsoftが提供する代表的なAIテクノロジーです。
前回は学習済みAIであるCognitive Servicesをご紹介しました。
今回はこの中から、クラウド上で機械学習環境を提供するサービスである下記3つのサービスについて、それぞれの特徴と使い分けを紹介していきます。
1. Azure Machine Learning Studio
2. Azure Machine Learning Service
3. Data Science/Deep Learning Virtual Machine
1. Azure Machine Learning Studioとは
Azure Machine Learning Studio(以下、Azure ML Studio)とは、GUI上でプログラミングなしにグラフィカルに機械学習モデルの構築と学習が可能なサービスです。
こちらのサービスでは、ワークスペースと呼ばれるキャンバスの中に事前構築された機械学習アルゴリズムなどのモジュール(下図の四角いパーツ)をドラッグアンドドロップし、モジュール同士を繋げていくだけでAI予測モデルを作成することができます。
これを利用すれば、機械学習プログラミング未経験者でも直感的にAIモデルを作成していけるのがメリットです。
また、PaaSのサービスなので、バックグラウンドで動作する仮想マシンの管理などを気にせずに利用できるのもメリットの一つです。
しかし、GPU搭載仮想マシンを利用することができないので、例えば画像分類モデルや自然言語処理など、膨大な計算リソースを必要とするディープラーニングモデルの学習には不向きです。
Azure ML Studioは、コーディングの必要がないので、AI予測モデルを迅速に構築、学習させたいケースなどで有用なサービスです。
機械学習の流れを学びたい方の入門用にも最適です。
Azure ML Studio ワークスペース
2. Azure Machine Learning Serviceとは
Azure Machine Learning Service(以下、Azure ML Service)とは、大規模な機械学習モデルを学習、構築するための、マネージドサービスです。
本サービスの特徴として、モデルの生成とハイパーパラメーターの調整を自動化する「Automated ML」という機能があり、複数のモデルアルゴリズムとハイパーパラメーターの組み合わせを自動で試し、分析データに最適な精度の高いAI予測モデルを自動で生成することができるという点が挙げられます。
この機能を利用することで、モデルのアルゴリズム選定の手間やハイパーパラメーターチューニングの過程を大幅に省略できます。
また、Azure ML ServiceではGPU搭載仮想マシンやハイパフォーマンス仮想マシンも利用可能です。
PaaSのサービスなのですぐに機械学習プログラミングを始められ、仮想マシンの管理が不要であることもユーザーにとっては嬉しいポイントです。
Azure ML Serviceは、機械学習プログラミング環境をすぐに用意したいケースや、ビッグデータを用いてAI予測モデルの構築を行いたいケースなどで有用なサービスです。
Azure ML Service Automated Machine Learning
3. Data Science/Deep Learning Virtual Machineとは
Data Science Virtual Machine(以下、DSVM)とは、データサイエンスに必要なツールが事前にインストール、構成された仮想マシンイメージであり、通常のAzure仮想マシンと同様に利用することができます。
また、Deep Learning Virtual Machine(以下、DLVM)とは、上記のDSVMを特別構成し、GPU搭載の仮想マシンインスタンスの利用を最適化した仮想マシンイメージで、ディープラーニングモデルの学習をより簡単にします。こちらも、通常のAzure仮想マシンと同様に利用可能です。
DSVM, DLVMは共に通常のAzure仮想マシンと同様にIaaSのサービスであるため、他のAIサービスよりも柔軟なマシン構成、ネットワーク構成やソフトウェアの導入などが可能です。
しかし、IaaS仮想マシン同様にOS以上のレイヤーの責任範囲はユーザーにあるので、PaaSのAI系サービスと比較して管理の手間などがかかってしまいます。
DSVM/DLVMは、オンプレミスでの機械学習に精通しているデータサイエンティストの方が、学習環境をクラウドに移行するケースなどで有用なサービスです。
DSVM/DLVMの仮想マシンイメージ
3つのサービスの比較
これらのサービス+前回ご紹介した「Cognitive Services」について、特徴を比較してみました。
*1: 「Custom Vision」など、学習可能なサービスは学習過程が必要
このように、Azureには多くの機械学習系サービスが用途別、対象別に用意されているので、要件や分析データによって利用するサービスを柔軟に選択し、スモールスタートですぐに始めることができるというメリットがあります。
まとめ
今回はAzure AIサービスのうち、Azure ML Studio、Azure ML Service、DSVM、DLVMの特徴と使い分けについてご紹介しました。
AIを利用したサービスの開発が加速化している現在において、より早く有用なAIモデルを作り出すために、開発以前の環境構築にかかる時間を削減することは非常に重要です。
これらのAI開発環境構成済みサービスの特徴を把握して最適な利用をすることで、AI開発のための準備期間を削減し、本来の目的である「課題解決のためのAIモデルの開発」に専念することができます。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
Azure Cognitive Service に興味をお持ちになった方は、ぜひ実際に触ってみてください。
また、利用方法やユースケースなど、ご不明な点がございましたら、ぜひお気軽にAzure相談センターまでお問い合わせください。Azureに精通したスタッフが丁寧にご回答いたします。