誰でも簡単にAIを作れる?
近年、AIは非常に注目されており、テレビ、新聞、ニュースサイトなどでAIという文字を見ない日はないほどのブームの最中です。しかし、需要の高まりと同時にAI人材の不足も問題視されています。海外の有名企業や国内の一部企業などが数千万円の報酬を提示して優秀なAI人材の争奪戦を行うほど不足しており、日本政府もAI人材充足に向けた施策が急務であると公表しています。また、AIモデル作成には「学習」という重要な工程があり、処理に大量のGPUが必要なため、開発コストが上がってしまうという問題もあります。
そこで今回は、AIモデル作成のコストを削減し、AI人材不足問題を解決できるかもしれないAzureのサービス群「Azure Cognitive Services」についてご紹介します。
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Azure Cognitive Services
とは?
Azure Cognitive Servicesとは、Azureで提供される「人間の認知(Cognitive)機能の一部」をWeb APIとして利用できる"AIパーツ"です。
人間の認知機能といえば視覚や聴覚などがありますが、Cognitive Servicesにもこれらの認知を可能にするサービスがあります。現在提供されているサービスは以下の5ジャンル27種類にわたります。
Cognitive Servicesの大きな特徴は、学習済みAIモデルの予測機能を利用できる点にあります。
学習済みAIでは、以下の図の「モデル構築」部分を省略可能であり、Cognitive Servicesの場合はMicrosoftがビッグデータを用いて学習した優秀なAIモデルを利用することができます。
AI予測モデル 構築手順
Azure Cognitive Servicesのメリット
前述の通りAIモデル作成には、専門的な知識や大量の学習データ、コンピューティングリソースが必要で、膨大な時間とコストがかかります。
しかし、Azure Cognitive Servicesでは、Microsoftが事前に学習させたAIモデルを利用するため、コストを大幅に削減できます。
また、Web APIとして利用できる"AIパーツ"ですので、REST APIを使用してアプリケーションと簡単に連携することができます。C#やPythonなどのプログラミング言語に対応したSDKやサンプルコードも用意されているため、開発を進めやすいです。
さらに、Azure Cognitive ServicesはDockerコンテナをサポートしているため、クラウド環境に限らず、オンプレミスやエッジデバイスでも利用可能です。
Azure Cognitive Serviceの
活用例
では、Azure Cognitive Service を具体的にどのように活用していくのか、その例をご紹介しましょう。
例えば顔写真や動画から顧客の属性(性別、年齢)や感情を分析するAIを利用したい場合、大量の学習用顔写真データを前処理/アノテーションし、最適な畳み込みニューラルネットワーク(CNN: Convolution Neural Network)を構築し、GPU搭載のHPCなどで数時間~数十時間学習させる必要があります。さらに、一度学習させて終了ではなく、予測精度が上がるように何度も繰り返しパラメータ変更と学習を繰り返してAIモデルを作る必要があります。これには機械学習/ディープラーニングのスキルに加え、膨大な時間とコストが必要となります。
一方、Cognitive Servicesを利用する場合、Face APIやEmotion APIに予測させたい顔写真データを入力するだけで顧客属性/感情分析AIが実現可能です。
このようにCognitive Servicesを有効活用することでAIエンジニアなしにAIを利用することができ、AIモデルをいちから構築する場合に比べて学習コストと時間を大幅に削減可能となります。
まとめ
今回はAzure Cognitive ServicesというAzureの学習済みAIサービス群についてご紹介しました。
Cognitive Servicesのような学習済みAIは、機械学習やディープラーニングなどの知識なしで、かつ低コストで誰にでも簡単にAIモデルの利用を可能にします。AI人材不足はAIモデル構築に必要な知識量の多さなどの敷居の高さが要因の一つと言われていますが、こうした工程を省略できるCognitive Servicesの活用によって、AI人材不足問題を解決できる可能性があるのではないでしょうか。
筆者個人としても、AI利用のハードルを下げ、モデル構築の手間とコストを減らすためにCognitive ServicesのようなAI SaaSやAzure Machine LearningのようなAI PaaSを有効に利用することが、これからのAIアプリケーション開発の主流になっていくのではないかと考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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