Azureサポートエンジニアが語る──
2015年9月11日、日本マイクロソフト品川本社で『Azureサポートエンジニアがお話しする 初学者向けAzure仮想マシン これだけは知っておこう』と題するセミナーが開催されました。同セミナーは、Azure入門者を対象にしたもので、Azure仮想マシンや仮想ネットワークの基礎について日本マイクロソフトのエンジニアが解説を行いました。
本記事では、セミナー最初に登壇した日本マイクロソフト クラウドソリューションアーキテクトの勇大地氏のセッション『Microsoft Azure IaaS 概要』のエッセンスを紹介します!
Azure仮想マシンのアドバンテージを改めて訴える
日本マイクロソフト クラウドソリューションアーキテクト、勇大地氏
AzureはWindows特化のプラットフォーム
にあらず
Azure仮想マシンは、自由に使える「仮想マシン」をクラウド上に構築できるサービスです。仮想マシンには任意のアプリケーションを自由にインストールできるため、その用途は多彩。
「既存の社内サーバーをクラウドへ移行する用途をはじめ、素早くプロビジョニングできる特性を生かして、システムの検証やテスト、あるいは自社データセンター被災時の災害対策用に最適です」と、勇氏は説きます。
Azureの仮想マシンでは、OSがインストール済みで、すぐに使い始めることのできる「イメージ」が提供されています。例えば、「Windows Server」であれば、バージョンやエディションの異なる複数のイメージが提供されているほか、「Visual Studio」などの開発環境やクライアントOSのテスト環境もMSDN向けに用意されています。
また、オラクルとのパートナーシップを通じて、データベースの「Oracle Database」やミドルウェアの「WebLogic Server」がプリインストールされたイメージも提供されていると、勇氏は続けます。加えて、同氏は、複数のLinuxディストリビューションのイメージも用意されている点に言及し、Azure仮想マシンが「Windowsに特化したインフラではない」ことを強調しました。
さらに同氏はこうも付け加えます。
「仮想マシンの料金はCAL(クライアントアクセスライセンス)も含め、OSライセンスが込みになっていますので別途調達する必要はありません。これは、オラクル製品についても同様です」
並列プログラミング用途にも適した設計
続いて勇氏が触れたのは、Azure仮想マシンの性能の高さ。
Azure仮想マシンでは、インスタンスとして、汎用インスタンスの「Aシリーズ」やSSD搭載の「Dシリーズ」、大型インスタンスの「Gシリーズ」が用意されているといいます。
このうち、Aシリーズでは、高速CPU・大容量メモリの高性能インスタンス(A8~A11)がラインナップされており、これらは「並列プログラミング」向けの最適化も行われているのだそう。
「実際、スーパーコンピュータの性能ランキングであるTOP500(http://www.top500.org/)において、Azure A9 504ノード/8,064コアの仮想マシンが165位(2012年11月)にランクされたこともあるほどです」と、勇氏は語り、こうも続けます。
「さらにGシリーズでは、32コアCPU、448GBメモリ、6TB SSDの仮想マシンが利用でき、最大10万IOPS以上の性能を発揮します」
このようなAzure仮想マシンの性能の高さは、その仕組みにあるといいます。
「Azure仮想マシンの仮想CPUは、オンプレミスの『Hyper-V』とは異なり、論理プロセッサと物理プロセッサが1対1で割り当てられます。つまり、物理コアが1つ丸ごと仮想CPUのコアとなり、他の仮想マシンとコアが共有されることもありません。そのため、Azureの仮想マシンでは、物理コアの性能をすべて享受することができ、それが、性能の高さにつながっているわけです。しかも、仮想マシンのインスタンスは仮想マシンを作り直すことなく、いつでも変更することが可能です」
もう一つの魅力は、ストレージの堅牢性
Azureの仮想マシンには、ストレージが堅牢であるという特徴もあります。
「Azure仮想マシンは『BLOBストレージ』という分散ストレージに格納されます。BLOBストレージは3カ所の異なるディスクへ書き込み、それが完了して初めて"書き込みが成功した"と見なされます。また万が一、ハードウェア障害などで複製が失われた場合も、別の場所に新たな複製が作られます。この仕組みにより、Azure仮想マシンのストレージは、3本のディスクをミラーリングした場合と同等以上の堅牢性を確保しているのです」(勇氏)。
このほか、勇氏は今回、仮想マシンで利用される仮想ネットワークの優位性についても次のように言及しています。
「Azure上では、ユーザー専用のプライベートなアドレス空間・サブネットを定義することが可能です。仮想ネットワークに配置したサーバーには、指定のアドレスを割り当てることができるため、VPNを構成して社内ネットワークとAzure仮想ネットワークを接続したり、Azureの(閉域網接続サービス)『ExpressRoute』を使って自社のシステムとAzureのデータセンターとを直結したりすることもできるのです」
こうした勇氏の話から強く感じられるのは、Azure仮想マシンの利便性の高さです。その機能・性能・堅牢性は、これまでのパブリッククラウドのイメージを大きく超えるものであり、オンプレミスの基幹システムやプライベートクラウドと同等、もしくはそれ以上のレベルにあると言えます。加えて、リソース拡縮の自在性や対応サーバ・プラットフォームの豊富さ、サーバー立ち上げのスピード感などを加味すれば、企業システムのプラットフォームとして、Azureはその第一候補になりえるのではないでしょうか。
依然として、パブリッククラウドへのミッションクリティカル・システムの移行に関して否定的な向きや、パブリッククラウドの適用範囲を限定的なシステムにとどめようとするユーザー企業は少なくありません。けれど、Azureの実力が今以上に知れ渡れば、パブリッククラウドに対するさまざまな懸念や誤解が一掃されることになるのではないでしょうか。
本セミナーの資料は、以下に公開されています。ぜひご参考にご覧ください。
https://docs.com/user767890/9919
※11月4日、Microsoft社とRedhat社の協業が発表されました。
Redhat Enterprise Linux(RHEL)を Azure上で利用する形態は下記の2種類となります。
1. Bring Your Own Subscription(BYOS)
2. Pay as You Go(PAYG)
詳細は後日、本サイトでご紹介いたします。
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