社内のあらゆるデータを利用して分析や意思決定に役立たせるためには、データを活用できるようにする必要があります。システム間やデータ基盤を活用したデータ連携などはデータを活用する上で必要不可欠です。
そこで今回は、データ連携の概要からメリット、課題、システム基盤の構築方法まで解説します。
1.データ連携とは
データ連携とは、社内のデータを蓄積しているデータベースやストレージなどのシステム同士にあるデータ、もしくはデータを活用するためのデータ基盤にあるデータを共有・活用することを指します。
データ連携を行う目的は、複数のシステム同士をつなぎ、業務におけるデータ利用の無駄を省き、全体の流れを統一化し、可視化して有効活用することにあります。ただ連携させるだけでなく、データ管理の効率化もねらいの一つです。
データ連携の方法には、主に2通りの方法があります。
一つは「データ同期」であり、連携させたいデータに変更を加えることなく、単純にコピーすることで利用可能にする方法です。
もう一つは「ETL」という「Extract(抽出)、Transform(変換)、Load(取り込み)」の3つの工程を通じて、データを変換しながら連携先に取り込む方法です。
2.データ連携のメリット
データ連携を行うことにより、主に次のようなメリットが生まれます。
●データ活用を促進できる
データ連携が柔軟かつスムーズに実現すれば、データ活用を促進できます。データ連携が行われていれば、必要なときにすぐにデータを活用できます。異なる部門部署に蓄積されたデータを分析できる状態で連携しておけば、部門部署をまたいだデータ分析が容易になります。営業やマーケティング、商品開発、売上や会計情報に応じた施策や予算計画の検討などがスムーズに行えます。
●データ収集・加工のコスト削減につながる
部門部署間でデータ連携があらかじめ行われていれば、データ収集や加工のコスト削減につながります。少ないデータなら、手作業でデータを加工することもできますが、手作業は手軽でありながら入力ミスの恐れがあり、効率面で不安があります。ミスが起きれば、結局、作業工数が増すことになってしまいます。データ連携を行うことで、ミスが削減でき、作業工数や人員コスト削減にもつながると考えられます。
●データの一元管理により効率化につながる
データを連携することで、社内に散在するデータを一元管理できます。社内のデータを見える化できれば、どこに穴があるかも見極めやすくなり、業務効率も上がりやすくなるでしょう。
●データの整合性がとれる
データ連携した後は、複数の部門部署で同じデータを共有し、同じデータを更新していくことができます。リアルタイムで更新が反映され、常に全社的に同じ最新データを閲覧することができるため、データの整合性をとることができるようになるメリットがあります。
3.データ連携の課題
データ連携を社内で行おうとした際には、いくつか課題が生じてくることがあります。主な課題をご紹介します。
●データ形式が統一されていない
データ連携を行うには、データ形式をそろえる工程が必要です。各部門部署に散在するデータの形式がバラバラで、統一性がないこともあります。その場合には、データ形式を統一するために加工する必要があります。
●完全な連携自動化ができない
データ連携の際には、各システムからデータを集めて連携させるのはもちろん、連携を自動化すると効率的です。しかし、システムごとにデータ連携する方法は異なるため、データ取得や加工などの工程に一部、手作業が発生するなど、完全に自動化させるのはむずかしいことがあります。完全自動化をする際には開発にコストをかける必要が出てくることもあるでしょう。
●オンプレミスとクラウドの連携が困難
クラウドサービスが普及しており、企業内データはクラウドで管理するケースも増えてきました。しかしクラウドサービスのデータと、自社サーバのオンプレミスによるシステムのデータとの連携は一般的に簡単にはいきません。コストと時間を要することがあります。
これらの課題を解決するには、最も効率的なデータ連携を実現するために、最適なデータ連携基盤を選び、新たなシステム開発を含めた工夫を行う必要があります。
4.データ連携基盤の構築方法
データ連携を行うためには、データ連携基盤を構築し、実装することで実現するのが一般的です。データ連携基盤の構築を実現する方法には、次の種類があります。それぞれの特徴をご紹介します。
●ETLツール
ETLの工程を担うツールです。システム内のデータを抽出し、扱いやすい形式に変換してDWH(データウェアハウス)に取り込みます。ETLツールを用いれば、データ形式を統一できるため、データを活用しやすくなります。ETLツールの強みはビッグデータといわれる大量のデータを処理する能力に長けていることです。
●EAIツール
EAIとは「Enterprise Application Integration」の略であり、直訳すると「企業アプリケーション統合」となります。EAIツールとは、つまり、部門部署や業務ごとに異なるアプリケーションやシステムを連携させて統合するためのツールを意味します。
ETLツールと比べ、システム間連携の意味合いが強く、リアルタイム性も追求されています。一方で、ETLツールほどは扱えるデータ量は多くありません。
●RPA
RPA(Robotic Process Automation)とは、「ロボットによる業務自動化」の意味で、主に単純な定型業務をロボットで自動化することを指します。さまざまなシステムを連携させ、情報収集や計算、集計などの業務に必要な工程を自動化します。データ連携の一つではありますが、データ処理や加工・変換などを目的としているわけではありません。あくまでシステム間でデータを共有して作業を行いたいときの方法です。
●スクラッチ開発
ここでいうスクラッチ開発とは、データ連携基盤を自社に合わせて新たに開発することを指します。一般的なシステム開発同様、用件の定義から開発まで時間とコストがかかります。企業規模によって異なりますが、一般的にはETLツールやEAIツールを活用して、データ連携基盤を構築することが多いでしょう。
5.まとめ
データ連携やそのメリットや課題、基盤構築方法の種類をご紹介しました。
データ連携はMicrosoft Azureでも行うことができます。データ統合サービス「Azure Data Factory」を利用すれば、Azure内外のデータを連携することが可能になります。クラウド間のデータ連携やオンプレミスとクラウドのデータ連携も容易に行えるほか、ETLも行うことができます。
関連記事:Azure Data Factoryとは?概要から使い方まで徹底解説
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