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Azure OpenAI Serviceとは?
概要やChatGPTの利用についても解説

2023.04.11

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最近、「ChatGPT」というワードをニュース記事や報道でよく目にするようになりました。OpenAIが提供するAIモデルに注目が集まっており、AIサービスの開発も活発化しています。
そのChatGPT などを活用したAIサービスを容易かつ迅速に行えるプラットフォーム「Azure OpenAI Service」はMicrosoft Azureの一つのサービスであり、大いに注目されています。
今回はAzure OpenAI Serviceの概要やメリット、Azure OpenAI Serviceで利用できるChatGPTの活用方法をご紹介します。

1.Azure OpenAI Serviceとは?

Azure OpenAI Serviceとは、マイクロソフト社が多様なクラウドサービスを提供する「Microsoft Azure」において、オープンソースの人工知能(AI)が利用できるサービスです。

OpenAIという米国のAIを開発する非営利団体と、Microsoftの共同開発によって生み出されました。

Azure OpenAI ServiceではOpenAIが開発したChatGPTを含むGPT-3、CodexなどのAIモデルを利用することができます。また米国時間 2023 年 3 月 21 日からはOpenAI の最新モデルであるGPT-4 がプレビューとして利用可能になりました。

Azure OpenAI Serviceは「Azure Cognitive Services」の一部です。

Azure Cognitive Servicesとは、開発者がAIやデータサイエンスのスキルや知識がなくてもアプリケーションを構築できるサービスです。Azure OpenAI Serviceもその一部であるため、開発者が機械学習に関する高度な知識を持たなくても、AIモデルを容易にアプリケーションへ組み込むことができます。

Azure OpenAI Serviceの概要と活用例を資料でまとめて確認したい方はこちら 関連記事: Azure Cognitive Serviceとは? 関連記事:そもそもAI(人工知能)とは?画像生成AIなど種類やモデルを解説

2.Azure OpenAI Serviceでは「ChatGPT」が利用可能

Azure OpenAI Serviceでは、複数のAIモデルを利用してサービス開発ができます。
利用できるAIモデルには、現時点でGPT-3シリーズ、 GPT-4シリーズ、Codexシリーズ、埋め込みモデルの4種類があります。

GPT-3シリーズは、自然言語を理解・生成できるモデルのシリーズで、ChatGPTが含まれます。
GPT-4シリーズは、GPT-3と比べて、幅広い一般知識と問題解決能力を有するといわれます。また画像を入力すると解析し、内容を文章で出力できるなどの高度な能力を持ちます。
Codexシリーズは、GPT-3モデルをベースとしたもので、自然言語の記述からプログラムコードを生成するAIモデルです。
埋め込みモデルは、機械学習における「埋め込み」のために使用できるモデルセットです。「類似性、テキスト検索、コード検索」といった埋め込みモデルがあります。

この中でも、注目が集まっているのがGPT-3シリーズのChatGPTです。ChatGPTについて詳しく見ていきましょう。

●ChatGPTとは?

ChatGPTとは、OpenAIが開発した大規模言語処理であり、テキストで質問を投げかけるとAIがその回答を表示するサービスです。例えば、チャットボットに実装して会話のやりとりを行えます。人が書いたものと同レベルの自然な文章を作成することができることに高い評価があります。

関連記事: ChatGPTについてこちらの記事でも解説しています

●ChatGPTの活用方法

ChatGPTを活用すれば、社内外のコミュニケーションやドキュメントの作成を効率化できます。

例えば次のような活用方法があります。

・一般業務において、ChatGPTがテキストの要約を行い、ビジネスプレゼンテーションを作成

・マーケティング分野において、製品やサービスの販売促進のために、SNSに投稿する記事のコンテンツ作成をChatGPTが担当

・製造業において、製造した製品における問題の根本原因を見つけ出すために、ChatGPTが画像から生産異常や欠陥を検出

・システム開発会社において、カスタマーサービスのログからユーザーからの苦情をChatGPTから抽出し、問題点を開発チームに示して改善サイクルを回す

・食品メーカーにおいて、顧客が好みの味や食感、用途などの質問に対して回答するとChatGPTが顧客の嗜好や要望に基づいたオーダーメイドの食品コレクションを作成

このように、ChatGPTには業種・業界、用途問わず、さまざまなシーンでの活用が期待できます。

3.Azure OpenAI Serviceのメリット

Azure OpenAI Serviceを使用するメリットをご紹介します。

・多様なAIモデルとツールが備わる

Azure OpenAI Serviceには、ChatGPTだけではなく、その他にも多様なAIモデルとツールが備わっています。また、様々なプログラミング言語やフレームワークに対応しているため、コードの自動生成などが可能であり、Azure上の他のAIサービスとも容易に連携がとれるため、AIアプリケーションの迅速な構築やデプロイが容易に行えます。

関連記事:Azureで使えるAI系サービスについて、まとめてみた!

・クラウドベースのサービスなので導入が容易

導入も早くて容易です。Azure OpenAI ServiceはMicrosoft Azure上で実行されるクラウドベースのサービスであるため、ハードウェアやソフトウェアを用意する必要なくすぐ始められます。また、ChatGPTのようなサービスを利用する場合、大量の計算資源を必要とします。Azure OpenAI Serviceを利用すれば、リソース追加はその都度可能であるため、スケーラビリティにも優れているところもポイントの一つです。

関連記事: 基幹・業務システムのクラウド化のメリット・課題とは 関連記事:オンプレミスとクラウドの比較 メリット・デメリット~移行時の注意点など~

・高度なセキュリティを担保しながら利用できる

エンタープライズ企業は特に、高いセキュリティポリシーをクリアするためにクラウドベースの開発プラットフォーム選びに苦労します。
その点、Azure OpenAI Serviceは Microsoft Azureの高度なセキュリティで保護されたなかで機密性高く利用できます。これは、OpenAIのAIモデルを利用して開発を行う際に組織にとって大きなメリットといえます。

関連記事: Azureのセキュリティ 4つの強み

4.Azure OpenAIとOpenAI社のAPIの違い

Azure OpenAI ServiceはMicrosoft Azureのサービスの一部として提供されていますが、OpenAI社のAPIでOpenAIモデルを利用する場合との違いはあるのでしょうか。

一つには、利用できるモデルに違いがあります。最新モデルはOpenAI社で優先的に提供される場合があります。例えば、音声認識モデル「Whisper」はAzure OpenAI Serviceではまだ提供されていません。(2023年7月時点)

一方で、 Azure OpenAI ServiceがOpenAI社のAPIと比べて優れている点として、セキュリティ・SLA・サポートなどがあげられます。

・セキュリティ:Azure OpenAI ServiceではAzureのセキュリティ基準に準拠しているため、仮想ネットワーク内での利用制限やAzure ADを利用したアクセス管理や監視ができます。

・SLA:マイクロソフトは、Azure OpenAI Serviceを含む「Azure Cognitive Services」では99.9%以上の稼働率を保証していますが、OpenAI社のAPIではSLAはまだ公開されていません。

・サポート:OpenAI社のAPIでは有料のサポートプランはありませんが、Azureでは「べーシック(無料)」「デベロッパー(開発)」「スタンダード(標準)」「プロフェッショナル ダイレクト」の4種類のサポートプランが提供されています。

各サポートプランの内容についてはこちらをご覧ください

5.Azure OpenAI Serviceの機能でよくある質問

Azure OpenAI Serviceの機能でよくある質問として以下2点をご紹介します。

5-1.Azure OpenA ServiceIでファインチューニングはできない?

ファインチューニングとは、事前学習された訓練済みのモデルに対して追加の学習を行うことを指します。
AzureのOpenAI Serviceではgpt-35-turbo-0613、babbage-002、davinci-002のモデルをファインチューニングすることが可能です。ただし、米国中北部とスウェーデン中部のリージョンのみで使用できます(2023年11月時点)。

5-2.Azure OpenAI Serviceで機密情報を入力しても良い?

Azure OpenAI Serviceで入力したデータはOpenAIなど外部のAIに学習データとして利用されることはありません。 また、Azure OpenAI Serviceは、Microsoftの厳格なセキュリティ基準を満たしているため、自社の機密情報が外部に漏洩するリスクを最小限に抑えることが可能です。

6.Azure OpenAI Serviceの使い方・利用までの流れ

次に、Azure OpenAI Serviceの使い方をご紹介します。利用するまでの流れは次の通りです。

1.Azureサブスクリプションの作成
2.Azure OpenAI Serviceへのアクセス申請
3.Azure OpenAIのリソース作成・モデルのデプロイ
4.Azure OpenAI Serviceの利用開始

順を追って解説していきます。

1.Azureサブスクリプションの作成

Azureのサービスを利用する際には、「Microsoftアカウント」と「Microsoft Azureサブスクリプション」の2つを作成する必要があります。よって、Azure OpenAI Serviceを利用する際にも2つを作成しましょう。

Microsoftアカウントは、マイクロソフトの各種サービスを利用する際に使用されるアカウントのことです。Microsoftアカウントを所有していない場合は、Microsoftアカウントのページから新規作成してください。

Azureサブスクリプションは、Azureを利用するために必要な契約です。契約内容や支払方法、サポートプランが決められているライセンスが複数、用意されており、最適なものを選んで契約します。

Azureサブスクリプションのご購入は、全ての最新サービスが入ったCSP(Azure Plan)でのご購入がおすすめです。Azure サブスクリプションは、発行するだけで、Azureサービスの利用を開始していない場合、利用料は発生しません。

Azure OpenAI Serviceにご興味ある場合は、ぜひお付き合いのある販売店さま、あるいはAzure相談センターにお問い合わせの上、Azureサブスクリプションの契約だけお済ませください。

「Azureアカウントの作成方法」はこちら

2.Azure OpenAI Serviceへのアクセス申請

Azure OpenAI Serviceを利用するためには、「アクセス申請」をする必要があります。

アクセス申請用のフォームに必要事項を入力して送信し、承認されたら利用が開始できます。

申請フォームには、AzureサブスクリプションIDやメールアドレス、会社の住所の概要などを記入する必要があります。フォームを送信すると、審査が行われ、マイクロソフトから承認メールが届きます。

アクセス申請はこちら

また、Azure OpenAI ServiceでChatGPT-4のモデルを利用する場合は、別途申請が必要です。こちらも申請後にマイクロソフトの承認メールを待ち、届いたら利用が開始できます。

ChatGPT-4の利用申請はこちら

3.Azure OpenAIのリソース作成・モデルのデプロイ

承認メールが届いたら、Azure Portalにアクセスしましょう。

Azure OpenAI Serviceのモデルを利用するには、まずAzure OpenAI用のリソースを作成し、Azure OpenAIの中から利用したいモデルをデプロイする必要があります。
デプロイとは、モデルをAzure OpenAI Service上に配置して、利用できる状態にすることを指します。

●リソースの作成方法

Azure Portalにサインインした後、「リソースの作成」というメニューを選択し、「Azure OpenAI Service」を検索します。見つけたら「作成」を選びます。

Azure OpenAIの作成ページが開くので、「基本」「ネットワーク」など、順を追って必要な情報を入力・選択していきます。内容を確認して送信すれば、リソース作成完了です。

●モデルのデプロイ方法

次に、作成したリソースに、Azure OpenAIのモデルから一つを選択してデプロイします。

Azure OpenAI ServiceのWebベースの開発環境「Azure OpenAI Studio」にアクセスしてサインインします。

ここでデプロイしたいリソースを選択して、「新しいデプロイを作成する」を選択し、モデルの選択やデプロイ名などを設定します。「作成」を選択すると、デプロイ始まります。デプロイが完了すると、モデルが利用できるようになります。

詳細はMicrosoftの公式サイトの参考リンクをご参照ください。
参考:Azure OpenAI Serviceリソースを作成してデプロイする
関連記事:Azure OpenAI ServiceリソースデプロイをBicepモジュールでやってみよう

4.Azure OpenAI Serviceの利用開始

いよいよAzure OpenAI Serviceのモデルが利用できるようになりました。

Azure OpenAI StudioやWeb APIを使用してデプロイしたモデルを利用していきます。

Azure OpenAI Studioにてモデルを利用するには、使用するサブスクリプションとリソースを選択した後、デプロイされたモデルを選択します。すると、モデルを操作することができるようになります。

手始めに「OpenAI Playground」を使ってみましょう。これはコードを使用せず、ブラウザから直接、GPT-3を手軽に試すことができるインターフェースです。

メッセージボックスに質問や指示を入力することで、回答が返ってきます。

詳細はMicrosoftの公式サイトの参考リンクをご参照ください。
参考:クイック スタート: Azure OpenAI Serviceを使用してテキストの生成を開始する 関連記事:Azure OpenAI Serviceのモデルを展開するのは簡単だけど・・・


以上、Azure OpenAI Serviceの利用開始までの流れや使い方をご紹介しました。順を追って進んでいくうちに、詳細に関してご不明な点が生じることもあるかと思われます。その場合には、お気軽にご相談ください。丁寧にサポートさせていただきます。

●Azure OpenAI Serviceの認証方法

なお、Azure OpenAI Serviceを利用するためには認証が必要です。認証方法には、APIキー認証とAzure AD認証の2つの方法が用意されており、いずれか一つを利用できます。

APIキー認証を利用する際は、Azure PortalからAzure OpenAI Serviceリソースに移動してエンドポイントキーとアクセスキー、デプロイ名を取得します。この認証方法は、アクセスの際に取得したAPIキーを使用するため、APIキーが外部に漏れてしまうと不正に利用されてしまうリスクがあるので十分、注意が必要です。

Azure AD認証を利用する際は、Azure ADユーザーにAzure OpenAI Serviceリソースに対するロールを割り当てます。Azure ADは組織全体でアクセス管理を行ったり、ユーザーごとにアクセス制限の設定ができるため、企業での利用に適しています。

7.Azure OpenAI Serviceの利用料金とは

Azure OpenAI Serviceの利用料金は、従量課金制であるため、利用した分だけ料金が発生します。具体的には、APIリクエストの際に送信されるトークンの数に基づいて料金が決定されます。また、言語モデルごとに単価が決まっているため、使用したい言語と使用量に応じて価格が決まります。

モデル(言語モデル) 1000トークンあたり
ChatGPT 0.280991円
Code-Davinci 14.049501円
GPT-4 プロンプト(1000トークンあたり) 完了(1000トークンあたり)
8K コンテキスト 4.215円 8.430円
32K コンテキスト 8.430円 16.860円

※最新情報については、Microsoft公式情報をご確認ください。 https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/details/cognitive-services/openai-service/


トークンとは、Azure OpenAI Serviceがテキストを処理するための基本単位です。1トークンは、1文字から数文字までのテキストで処理されています。つまり、APIリクエストを送信するとき、送信するテキストが多いほど、課金される金額も増える仕組みです。

Azure OpenAI Serviceの利用料金について理解することで、費用対効果や導入の妥当性を判断し、賢い利用を心がけましょう。

8.Azure活用でお困りならSB C&Sにご相談ください。

Azure OpenAI Serviceの概要をご紹介しました。ChatGPTが世界的に話題になるなか、日本国内でも興味関心が高まっており、ChatGPTなどを活用した優れたサービスも次々と開発され始めています。早々にChatGPTなどを用いた開発に着手することは、有意義といえます。

Azure OpenAI Serviceについて詳しくお知りになりたい方や、試してみたい方は、ぜひSB C&Sにご相談ください。

SB C&SはMicrosoft Azureに関してどのようなお悩みやご相談にもご対応させていただいておりますので、Azure OpenAI Serviceについても同様にサポートさせていただきます。

関連記事: Azure OpenAI Serviceの概要と活用例
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