【わかりやすく解説】大規模言語モデル(LLM)とは?
近年、生成AIがビジネスや日常生活でも活用される機会が増えています。
その中でも、従来のモデルに比べて大量のデータとディープラーニングによって構築された大規模言語モデル(LLM)が登場し、注目されています。
しかし、その仕組みや種類など詳細について理解している方は少ないのではないでしょうか。
大規模言語モデル(LLM)はどのように機能し、どのような種類が存在するのか。そして、具体的に何ができるのか、また課題は何か。本コラムでは、これらの疑問に答え、LLMの基本から応用までをわかりやすく解説します。
1.大規模言語モデル(LLM)とは?
はじめに、大規模言語モデル(LLM)とは何か解説していきます。
●大規模言語モデル(LLM)とは?
大規模言語モデル(Large Language Model, LLM)は、自然言語処理の分野で近年注目を集めている言語モデルです。LLMは、従来の言語モデルと比較して「データ量」「計算量」「パラメータ量」の3つを大幅に増加させることで、自然言語を用いて様々なタスクを高精度で処理できるようになりました。
●言語モデルとは
言語モデルは、テキストデータを用いて自然言語のパターンを学習し、次に来る単語やフレーズの確率を割り当てる確率モデルです。従来の言語モデルは、限られたデータセットから学習するため、パターン認識の精度に限界がありました。しかし、LLMは膨大なテキストデータを活用し、より多くの文脈とパターンを学習することで、高い精度で出力できます。
●大規模言語モデルと生成AIとの違い
生成AIは、テキスト、画像、音声などのデータを自律的に生成できるAI技術の総称です。生成AIは、様々な形式のデータを取り扱うことができるため、幅広い応用が可能です。代表的な生成AIの例として、Azureのサービスでも提供されるOpenAI社のGPTなどのモデルがあります。
一方で、大規模言語モデル(LLM)は、自然言語処理に特化した生成AIの一種です。LLMは、膨大なテキストデータから学習し、より高度で精度の高い出力を実現することに特化しています。例えば、GPTやGemini、Claudeといったモデルは、質問応答や翻訳、要約生成など、多様な言語タスクにおいて高い精度を誇ります。
LLMの特徴は、その膨大なパラメータ数にあります。これにより、LLMはより多くの文脈を考慮し、自然な言語生成を可能にします。例えば、GPT-3.5は1750億以上のパラメータを持ち、これにより非常に自然な会話や文章生成が可能です。
また、LLMは自己教師あり学習を用いることが一般的です。自己教師あり学習では、モデルが自らデータの中から学習に必要な情報を見つけ出し、効率的に学習を進めます。これにより、LLMは多様なタスクに対して汎用性の高い能力を持つことができます。
2.大規模言語モデル(LLM)の仕組み
続いて、大規模言語モデル(LLM)が入力(プロンプト)を受けてから文章を生成するまでの大きな流れについて解説します。
1.トークン化:入力文をトークン(最小単位)に分別
2.文脈理解:プロンプト内の各トークンとの関連性を計算
3.エンコード:特徴量の抽出
4.デコード:次のトークンを予測
5.入力文の次のトークンの確率を出力
まず、入力された文章は「トークン化」され、単語や句を最小単位に分解します。
この段階では、入力文がモデルにとって理解しやすい形式に変換されます。
次に、「文脈理解」のステップで、各トークンの関連性が計算され、文全体の意味が把握されます。これにより、モデルは単なる単語の羅列ではなく、文脈を考慮したタスクが実行可能になります。
続いて、「エンコード」プロセスで、各トークンの特徴量が抽出され、数値データとして処理されます。この情報をもとに、「デコード」段階で次に来るべきトークンを予測します。
最後に、入力文の次のトークンが出現する確率を計算し、最も適切な単語を選び出します。これらのプロセスを通じて、LLMは人間のように自然で流暢な文章を生成することが可能となります。このように、大規模言語モデルは複雑なアルゴリズムを駆使して、入力から出力までの一連の流れを効率的に処理しています。
3.大規模言語モデル(LLM)の種類
続いて、大規模言語モデル(LLM)の代表的なモデル(シリーズ)をご紹介します。
●GPT(Open AI)
GPT(Generative Pre-trained Transformer)は、自然言語処理の分野で最も知られたモデルの一つです。新しいものは、テキストだけでなく画像などの入力を受け取ってテキストを出力できる「マルチモーダル」なモデルとして進化しています。さらに処理できるトークン数も大幅に増加しており、より複雑な質問などに対応することができるようになっています。
●Gemini(Google)
マルチモーダルなモデルで、高度な推論能力を持ち合わせています。
●Claude(Anthropic)
複数のベンチマークテストで優れた性能を示すモデルです。
●LLaMa(Meta)
オープンソースのモデルで、Large Language Model Meta AIの略です。
4.大規模言語モデル(LLM)でできること・課題
最後に、大規模言語モデル(LLM)でできること、そして課題について詳しく解説します。
●できること
1. カスタマーサポート
大規模言語モデルは、カスタマーサポートにおいて非常に有用です。自動応答システムを構築することで、24時間体制での顧客対応が可能となり、問い合わせの処理時間を大幅に短縮します。これにより、顧客満足度の向上が期待できます。
2. 文章の作成・校正・要約
LLMは、自然な文章の生成や校正、要約を行う能力を持っています。報告書やメールの作成、文書の校正作業を自動化することで、業務効率が向上します。また、要約機能を活用すれば、大量の情報を短時間で把握することが可能です。
3. 多言語翻訳(リアルタイムの翻訳含む)
多言語翻訳は、国際的なビジネスやコミュニケーションにおいて不可欠な要素です。LLMは、リアルタイムでの多言語翻訳を可能にし、異なる言語間でのコミュニケーションを円滑にします。
4. プログラミング
プログラミングの分野でもLLMは活用されています。コードの自動生成やバグの検出、コードの最適化を行うことで、開発者の生産性を向上させます。これにより、開発期間の短縮と品質の向上が期待できます。
●課題
1. ハルシネーション
LLMの課題の一つとして、ハルシネーションがあります。これは、存在しない情報を生成してしまう現象で、特に信頼性が求められる場面で問題となります。情報の正確性を保証するためには、生成されたテキストを人間が確認するプロセスが必要です。
2. 著作権侵害のリスク
LLMは大量のデータを学習材料として使用しますが、その中には著作権で保護されたコンテンツも含まれることがあります。そのため、生成されたテキストをそのままコンテンツなどに利用すると、著作権を侵害するリスクが存在します。企業は、法的な問題を回避するために、使用するデータの選定や生成されたコンテンツに注意を払う必要があります。
3. 機密情報の流出
LLMの導入においては、機密情報の流出リスクも考慮しなければなりません。LLMは大量のデータを学習しており、その中には機密性の高い情報も含まれる可能性があります。これを学習データとして活用された場合には、モデルが意図せずに機密情報を生成し漏洩するリスクが存在します。
この課題に対処するためには、データの取り扱いやモデルへの入力についての厳格なポリシーを設け統制をとることが必要です。
5.まとめ
大規模言語モデルでは自然言語を用いて様々なタスクを高精度で処理できるようになりました。
しかし、プロンプトエンジニアリングやハルシネーションに対する対策など、有効活用するためには、新たなスキルや専門的な知見が必要になってきています。
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