皆さまこんにちは。SB C&Sの井上です。
先日、Azure Storageの新たなデータ冗長オプションである、「GZRS」と「RA-GZRS」がGAされました。
Azure Storageは、Azure上で稼働する仮想マシンのデータを保存するディスクとしてや、仮想マシンのログデータ/診断データの保存先、さらには今話題のWVD (Windows Virtual Desktop)のユーザープロファイル保存先として指定できたりなど、非常に幅広く利用されています。
そして、幅広く利用されているからこそ、クラウド上に保存しているデータの可用性や持続性は多くの企業やユーザーが重視しています。
クラウド上に保存したデータをいつでもどこでも使えて、災害や障害発生時にデータが消えないこと、というのはもはや、クラウドベースストレージサービスを利用する上で当たり前に求められることですよね。もちろん、Azureでもさまざまなデータ冗長化オプションによって、データの可用性と持続性を保証しています。
しかし、いざ実際にAzure Storageで冗長オプションを選択する際に、種類が多くてどれが最適か、それぞれの違いが分からないということもあるのではないでしょうか。
そこで今回は前編/後編の2回にわたって、Azure Storageの種類と選択可能な冗長オプションについて詳しくまとめ、それぞれの冗長方法の違いを比較していきたいと思います。
今回の前編では、冗長オプションのご紹介の前に、Azure Storageの全体像や各冗長オプションの選択可否と違い、Storageを利用するために必要なリソースについてまとめます。そして次回の後編の記事で、各冗長オプションの詳しい解説をしていきます。
本記事でAzure Storageと冗長オプションについて知っていただき、最適なストレージサービスと冗長オプションを選択する一助になれば幸いです!
1.Azure Storage の種類
Azure上にデータを保存することができるストレージサービスには、大きく分けて以下5種類があります。
表1: Azure Storageの種類
ちなみに、Managed Disk以外のストレージサービスには「Azureストレージアカウント」というリソースを通じてアクセスし、ストレージアカウントの冗長オプションを選択することで、Azure Storageに保存したデータを冗長化することができます。
さて、表1のDiskはAzure VMにアタッチしてデータを保存するためのストレージで、Unmanaged DiskとManaged Diskの2種類があります。どちらのDiskもストレージアカウントにデータが保存されますが、Managed Diskでは「Managed(管理)」の名の通り、Azureがストレージアカウントの管理を行います。
Unmanaged Diskではユーザーがストレージアカウントを用意し、IOPS上限や耐障害性を考慮しつつ設計するといった構築/管理の際の手間が発生していましたが、Managed Diskでは、これらの煩雑な作業をAzure側で自動で構築/管理してくれます。そのため、ユーザーは「ディスク」リソースを作成して種類とサイズを選択するだけで、すぐにAzure VMのストレージを利用することができます。
さらに、Managed Diskは可用性セットや可用性ゾーンとの統合により単一障害点を避ける構成が自動で行われたり、Azure Backupでのデータバックアップがサポートされていたりなど、Unmanaged Diskにはないメリットが多くあります。
例えばUnmanaged Diskでは、可用性セット内のVMにアタッチされたディスクが一つのストレージスケールユニットに配置されるため、ストレージスケールユニットで障害が発生した場合、この中のディスクを利用するVMは正常に動作しなくなります。しかし、Managed Diskであれば、可用性セット内のVMにアタッチされたディスクが自動で複数のストレージスケールユニットに分散配置されるため、特定のストレージスケールユニットで障害が発生した場合でもVMを利用し続けることができます。
MicrosoftはAzure VMのデータ保存ストレージとしてManaged Diskの利用を推奨していること、Diskの新機能は基本的にManaged Diskにしか追加されないことなどから、特別な要件がない限りはManaged Diskを利用することをおすすめします。尚、現在Unmanaged Diskで作成されているものも、Azure Portal上で簡単にManaged Diskに変更することができます。
※Managed DiskからUnmanaged Diskに変更することはできないのでご注意ください
2.Azureストレージアカウントとは
Azure ストレージアカウントの種類
Azureストレージアカウントとは、前述のとおり、BLOBやFilesなどのAzure Storageを利用するために必要なリソースです。
ストレージアカウントには以下5種類があり、それぞれで利用可能なサービスや選択可能な冗長オプションが異なります。
表2: ストレージアカウントの種類
表2の汎用v1とBlobStorageの全機能は汎用v2でも利用可能なので、特別な要件がない限り、汎用v1やBlobStorageの代わりに「汎用v2」を利用するのがおすすめです。
また、次回の記事でご紹介する新冗長オプション「GZRS」は、現在汎用v2でのみサポートされています。
Azure Storageサービスは以下の図のようにストレージアカウントにより包括されており、選択するストレージアカウントの種類によって利用可能なサービスは異なります。
※利用可能なサービスは表2参照
図1: Azure Storageサービスとストレージアカウントの種類
Azure ストレージアカウントの料金
ストレージアカウントの利用料金は、ストレージアカウントの種類、利用するAzure Storageサービスの種類、冗長オプション、保存したデータ容量によって異なります。最新の価格はこちらからご確認ください。
では、それぞれの冗長オプションについて詳しくご紹介いたします。
3.ストレージアカウントの冗長オプション
ストレージアカウントの冗長オプションは以下の4種類があります。
表3: ストレージアカウントの冗長オプション
表の下の冗長オプションになるにつれ利用コストは高くなりますが、可用性と持続性も高くなります。
詳細は次回の記事でご紹介しますが、例えばLRSの場合、データセンター全体が停止するような障害発生時にはデータが消失する可能性がありますが、ZRSであれば他のデータセンターに保存されたデータにアクセスすることができます。
また、リージョン内のデータセンター全体が利用不可能になるような大災害に備えてGRSやGZRSを利用しておくことで、災害時でもセカンダリリージョンでデータが保護され、自動的にセカンダリリージョンのエンドポイントへのフェールオーバーが開始されるため、保存したデータの持続性と事業継続性を保つことができます。
Azure Storageに保存したデータの重要性、データ消失時の事業継続性への影響などとコストを加味し、最適なストレージアカウント冗長オプションを選択することをおすすめします。
次回の後編の記事ではこれらの冗長オプションについて冗長化の方法やユースケースも含めてさらに詳しくご紹介するのでご期待ください!
4.まとめ
今回はAzure上にデータを保存できるAzure Storageサービスの種類について、Azure Storageを利用するために必要なリソースであるストレージアカウントの種類についてと、それぞれのストレージアカウントで選択可能な冗長オプションの違いなどをご紹介しました。
Azureではストレージだけでも多くのサービスが提供されているため、どれを利用したらいいか分からない場合もあるかと思いますが、基本的にはAzure VMのストレージ領域として利用する場合は「ディスク」リソースを選択してManaged Diskを利用し、データのバックアップやアーカイブ、ファイル共有用途であれば「ストレージアカウント」リソースを選択してBLOBやFilesなどを利用する、などと使い分けることができます。
次回の記事では、今回簡単に紹介したストレージアカウントの冗長オプションについて一つずつ詳細にご紹介する予定です。
ぜひ次回もご期待いただけますと幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
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【 著者紹介 】
井上 雄貴 | JDLA Deep Lerning for ENGINEER 2019 #1
SB C&S株式会社 技術統括部 第1技術部 2課
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