一度調達したら、リースや償却が終わるまで手放せない、
ハードウェアの使用年数はシステム管理者にとって悩みの種の1つです。変化の激しいIT事情にあって、購入して数年経ったサーバーが性能的に物足りなくなっても、会社の経理的に処分できない、というのはよくあることです。またレンタルやリースで契約している場合、毎月の費用をおさえることはできるものの、契約期間に縛られて、イヤでも満足のいかないものを利用しなければならない状況が待ち受けています。
ハードウェアは上手に調達できないとシステムの導入が遅れてしまいますが、手放すときもスムーズに進めないと、パフォーマンスに劣る機器での運用を強いられてしまうもの。そういった上手な機器選定や期間決定の見極めは経験を積んだエンジニアでも難しいものです。
そのようなニーズにピッタリなのが、クラウドサービスです。サーバーをはじめとする資源の調達とシステムの成長に合わせた柔軟な拡張、さらに不要になった際の処理もスムーズにできるよう、クラウドサービスで管理体制を改善していきましょう。
機材の購入は経済的な負担が
大きい
システム部門の方ならご存じのように、高額なハードウェアの場合、毎年固定資産税を払い、数年に渡って減価償却費を計上していかなければなりません。
償却資産の評価に用いる耐用年数 - 東京都主税局で「電子計算機」の欄を参照すると、サーバーの償却期間が5年であることがわかりますから、仮に業務に利用するサーバーを100万円で購入したとしたら、5年間に渡って減価償却費を計上し、さらに固定資産税も払うことになります。
つまり、もしかしたら、数年経ったら性能的に満足できなくなっているかもしれないサーバーに対して、費用を払い続けなくてはいけないという状況なのです。
もちろん、このサーバーは使えないとなったら、償却期間中であっても売却することはできますが、それが頻繁に発生してしまうと管理部門からあまり良い顔をされないでしょう。
リースやレンタルしたサーバーを適切に
使うのも難しい
機材をリースやレンタルするのも、よく行われます。この場合、減価償却の必要がなく、固定資産税もかからないというメリットはありますが、短期契約のレンタルは割高になりますし、システム構成を自由に選ぶこともできません。また、リースは中途解約が難しく、しかもその場合には購入した場合よりも割高になるくらいコストを支払うことになります。
このように、数年後まで見据えたうえで、適切なスペック、構成でレンタルやリースを決定するのは非常に困難ですし、不満が生じるたびに借り換えをするべきか否かを検討するというのも、あまり生産的とは思えません。
そのような場合、クラウドサービスであれば、コストを気にせず、タイムリーに構成やスペックを決定できます。担当者は、本来の業務に時間を使うことができるというわけです。
ニーズに応じてシステムを
変更しやすい
クラウドサービス
では、サーバーをはじめとした各種機材をクラウドサービスで契約すると、調達や資産管理などはどのようになるのでしょうか。
調達・廃棄に関しては、クラウドサービスは大きなメリットがあります。物理的な調達・廃棄のフェーズがなく、資産ではなく経費扱いの導入になるため、契約時にも素早くシステムを構成して実戦投入できますし、課金単位も分単位などのように、とても短くなっています。
必要なときに必要な分だけ契約できるクラウドサービスは、オンプレミスでの購入やレンタル、リースの場合のような、ハードウェアや処理性能の陳腐化に関するリスクがなくなるというわけです。
仮にオンプレミスでクラウドサービスのような柔軟なサーバー構成を採ろうとするならば、物理サーバー上で仮想サーバーを運用する手段が考えられます。ただしこの場合、物理サーバーには高い性能が要求され、また物理サーバーのシステム障害が起こりにくいよう、さまざまな冗長手段を選ぶことになるため、導入にかかる時間も導入費用も大きくなります。
さらに、物理サーバーを廃棄する場合にはすべての仮想サーバーを他の環境に移さなければならないため、「柔軟に」仮想サーバーを使えば使うほどいざというときの移設の手間がかかり、結果的に、物理サーバーは廃棄できないサーバーになってしまいます。その結果、システム面からも契約面からも、長期的に物理サーバーのメンテナンスを続けて行く必要に迫られることになるのです。
一方、クラウドサービスの場合は、サーバーはすべて「契約」です。使いたい時間だけ契約をすることで、資産管理から解放されます。
変化の激しいサービスにこそ、
クラウドを
活用しよう
ところで、マイクロソフトも「Microsoft Azure」(以下、Azure)というクラウドサービスを提供しています。
Azureは、初期費用/解約手数料が不要で、しかも分単位の課金、ストレージなども実使用量に比例した料金設定になっています。
価格の概要 - Azure 価格の仕組み | Microsoft Azure
今後必要となるだろうサーバースペックが読めない、システムの利用者数の変化がわからない、理想とする大きなユーザー数はあるものの最初から大規模な利用者数を想定したシステム構成には金銭リスクがある......。オンプレミスの場合、構成を変更しにくい、またはシステムを破棄しにくいからこその構成面・金銭面・税金面の悩みはあるものです。
短期間での規模拡大やサービス内容の革新など、急な変化が予想されるITサービスの提供を検討しているのであれば、契約や変更のしやすいクラウドサービスの導入は有力な候補となることでしょう。
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