【Azure基礎用語解説】
高まりつつあるDNSホスティングの重要性
最近では、コーポレートサイトだけでなく、ブランドサイトやECサイト、オウンドメディアなど複数のWebサーバーを運用する企業や、顧客体験向上のためにモバイルアプリを拡充させる企業が増えています。
そしてそれにともなって、DNSサーバーの独自運用が検討されるケースも増加しています。
DNS(Domain Name System)とは、インターネットにおけるホスト名やドメインに対応するIPアドレスの情報を管理、運用するシステムのこと。ユーザーがホスト名(いわゆるWebサイトのURL)を入力すると、DNSサーバーが、そのホストにひも付くIPアドレスを検索、変換(名前解決)をし、その結果、ユーザーが利用しているデバイスにWebサイトが表示されます。
このDNSサーバーには、インターネット全体でのドメイン名に関する問い合わせに対して回答する「権威サーバー」の役割と、同じ問い合わせを受けた時のためにデータを一時保存する、負荷分散のための「キャッシュDNSサーバー」という、大きく2つの役割があります。
このキャッシュDNSサーバーを独自運用するメリットとしては、DNSで定義されるドメインについての情報である「レコード」の自由な設定や、負荷分散等を柔軟に実施できるということがあります。
DNSサーバーのクラウド移行にも
ニーズの高まり
自社運用の形態としては、オンプレミスで運用するケースやホスティング会社に委託する場合がありますが、オンプレミスでのDNSの場合、ホスティングに比べて設定の自由度が高く、サーバーの台数や運用上の仕様を、柔軟かつ詳細に設定できるというメリットがありますが、一方、その設定には高度な知識が求められます。
さらに、高負荷に耐えうる構成を設計したり、常に最新のセキュリティ情報をつかみ、DNSサーバーの脆弱性を突いたサイバー攻撃などへの対策も継続的に実施していく必要があります。
このように、独自にDNSを運用するには、多くの工数とネットワークやセキュリティに関する高いスキル、知識が求められます。社内の情シス担当者の業務負荷を考えると、これはデメリットといえるでしょう。
そのため最近では、ハードウェアやソフトウェア、ネットワークの高可用性や、トラフィック集中などの高負荷対策、セキュリティ対策などの観点からDNSサーバーをホスティングで運用するケースが増えています。
その中でも注目を集めているのが、企業のシステム基盤のクラウド移行を背景とした、クラウド型DNSホスティングのサービスです。
DNSホスティングサービスとしての
「Azure DNS」とは
そのような状況のなか、プレビュー版を経て正式にサービスとして公開されたのが、Azure上でDNSを提供する「Azure DNS」です。
Azure DNSを利用すると、他のAzureサービスと同じ識別情報、API、ツール、請求およびサポートを使用し、DNSレコードを管理することができます。また、一般的なDNSと同様、REST APIや.NET 、PowerShellなどのコードでレコードを管理することも可能です。
レコードの追加は、ポータルにサインインし、DNSゾーンのブレードから
「レコード セット」→「レコード セットの追加」で直感的に行える
「A」「AAAA」「CNAME」「MX」「NS」「PTR」など、一般的なレコードタイプが利用可能で、また、2要素認証、ロールベースのアクセス制御、詳細な監査ログといったセキュリティ機能が導入されており、安全性、堅牢性にも配慮しています。
そして、マイクロソフトのDNSサーバーのグローバルネットワークを活用することにより、SLA(サービス品質保証)ベースで99.99%の高い可用性を保証しています。なお、Azure DNSの料金は、ホストされる「DNSゾーン」の数と、受信した「DNSクエリ」の数に基づいて課金されます。
Azure DNSには、今のところドメイン名を購入するサービスはないため、他社サービスを使って独自ドメインを準備する必要はあるものの、スピード感を持って新しいWebサイト、サービスやアプリをリリースしたいという企業にとって、有用なサービスとなるでしょう。
とくに、他のAzureサービスと同じ識別情報、支払い方法、サポート契約でDNSレコードを管理できる優位性をいかせば、Azureでドメイン管理とアプリ開発プロセスを統合することで、サービスインまでのスピードや工数を効率化したいというニーズにも柔軟に応えることができます。
AzureのDNSが正式にサービスインしたことで、システムの全てをクラウドに移行していく「クラウドファースト」の流れがより加速していくかもしれません。
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