Azure上でクライアントOSを実行し、
Q:Azure上でクライアントOSを実行し、VDI環境を提供できますか?
A:クライアントOSでVDIの本番環境を提供することは、今のところできません。Azure仮想マシンでクライアントOSを実行させることは可能ですが、MSDNサブスクリプション契約者が開発・テスト目的で利用する場合に限定されています。
【解説】
Azure仮想マシンは、さまざまなサービスをクラウド上から提供する「サーバー」としての利用を想定しています。したがって、用意されているOSイメージも基本的にサーバーOSに限られており、例えば、Windowsにしても、「Windows Server 2008 R2/2012/2012 R2」の利用が前提になっています。
ただし、Azure仮想マシンに用意されているOSイメージをよく見てみると、「Windows 7/8.1」などクライアントOSが選択できるようになっています(下図参照)。
図1:Azure仮想マシンでも、Windows 7/8.1のイメージが利用できる
また、Azure仮想マシンはHyper-Vとの互換性が確保されているので、仮想マシン上でクライアントOSを動作させること自体には支障がありません。
とはいえ、Azure仮想マシンでクライアントOSのOSイメージを利用できるのは、「MSDNサブスクリプション契約者が、開発・テストの目的で利用する場合」のみに限定されています。言い換えれば、Azure仮想マシンをVDI(仮想デスクトップ基盤)として通常の業務に活用することはできないというわけです。
もちろん、Azureは「VDI未対応」というわけではなく、いくつかの方法を用いれば、VDI環境として機能させることは可能です。
方法の一つは、Windows Serverインスタンスを導入し、Windows Serverのリモートデスクトップサービスを構成してデスクトップやアプリケーションを提供する方法です。これは、オンプレミスでWindows Serverを利用したサーバーVDIを構築するのとまったく同じ手法であり、Windows Serverのホスト先がAzure仮想マシンという違いがあるだけです。
リモートデスクトップサービスのRemoteAppを利用すれば、リモートデスクトップサービス経由で配信されるアプリケーションをエンドユーザーのデスクトップに統合し、あたかもクライアントPCで実行されているかのように操作できるようになります。
ただしこの方法の場合、Azure仮想マシン上のWindows Serverインスタンスにリモートアクセスできるのは、SA(ソフトウェアアシュアランス)付きのRDS CAL(クライアントアクセスライセンス)を持っている場合に限られます。
また、もう一つの方法は、「Azure RemoteApp」サービスを利用する方法です(下図参照)。
※2016年8月にAzure RemoteAppの提供は終了しました。※
図2:Azure RemoteAppsを利用すれば、クライアント環境を選ばずにWindowsの業務アプリケーションの配信が可能
Azure RemoteAppはWindows ServerのRemoteAppと同等の機能を提供するもので、リモートから配信したい業務アプリケーションをAzure上に用意されている「RemoteAppコレクション」にホストするだけで利用できます。
RemoteAppコレクションとは、Windows Serverのリモートデスクトップセッションホストのプールであり、Windows Serverで動作するアプリケーションであればほとんど利用できます。
このサービスの最大の特徴は、アクセス可能なクライアント環境を選ばないことです。Windowsの各クライアントOSはもちろん、MacOS、iOS、Androidからもアクセスできるので、たとえばiPadを使ってWindows Serverの業務アプリケーションを操作することも可能になります。
Azure上でVDI環境を提供したいというのなら、Azure RemoteAppの利用を第一に検討すると良いでしょう。
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