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【特集「AWS vs. Azure」#1】
圧倒するAWS、猛追するAzure。市場の評価は果たして・・・?

2015.12.16

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現在、世界中で数多くの事業者がIaaS、PaaS、SaaSなどさまざまなクラウドサービスを提供しています。そのうち、パブリッククラウド市場を牽引する立場にあるのが、「Amazon Web Services(AWS)とMicrosoft Azureの2つのサービスです。本特集では3回にわたり、AWSとAzureの違いを探ります。今回は市場の評価やインフラ、法務面についてAWSとAzureを比較します。

シェア1・2位のAWSとAzureを市場は
どう見ている?

クラウドサービスのシェアについては、国内外の調査会社がレポートを発表しています。シェア率に若干の違いはありますが、いずれのリポートも「圧倒的なシェア1位のAmazon Web Services(AWS)」「急伸するシェア2位のMicrosoft Azure」という順位だけは共通しています。これはワールドワイドだけでなく、日本国内も同様です。

2006年にいち早くクラウドサービス事業を開始したAWSは、まさにパブリッククラウド市場の先駆者でした。一方のAzureは2010年にPaaSとして始まり、IaaS機能は2013年に提供開始という比較的新しいサービスです。

このように歴史の長さには差があるものの、現在はともに幅広いサービスラインアップを用意しており、両者はクラウド市場において完全なライバル関係にあります。

では、市場はAWSとAzureをどのように見ているのでしょうか。

米国の大手調査会社ガートナーは、2015年3月~6月に「アプリケーション PaaS」、「クラウド IaaS」、「クラウド ストレージ」のマジック クアドラント(Magic Quadrant)を発表しています。マジック クアドラントとは市場内で競合するベンダーの相対的な位置付けを可視化したガートナー独自の指標で、リポートによるとマイクロソフトだけが唯一、3つのクラウド市場において「ビジョンの完全性(Completeness of Vision)」と「実行能力(Ability to Execute)」がともに優れた「リーダー」と認められています。

IaaS、およびクラウド ストレージ市場では、アマゾン ウェブ サービス(AWS)社も「リーダー」のポジションにあります。しかし、PaaSのマジック クアドラントには、AWSの名前は登場しません。これは、ガートナーがAWSをPaaSベンダーとして見ていないことを意味します。

これに対し、マイクロソフトはAzureにおいてIaaS、PaaS、クラウド ストレージを自在に組み合わせたハイブリッド クラウド サービスの豊富な選択肢を提供する戦略を推進しており、それが市場で高く評価されていると考えられます。

関連記事:AWSとAzure徹底比較!~料金や性能で評判が良いのは?

日本企業に優しいデータセンターインフラは
どっち?

上のような観点からAWSとAzureを見比べると、クラウドサービスのインフラである「データセンター」の違いも気になってきます。

まず、日本企業にとっては、サービスをパフォーマンス良く使うためにも、また、データの海外流出を回避するためにも、日本にデータセンターがあることが重要です。

AWSのデータセンターは2015年10月現在、世界11カ所にリージョンを置き、各リージョンの中に「アベイラビリティーゾーン」と呼ぶ複数のロケーションがあるという階層構造になっています。

日本には2011年に東京リージョンが開設され、東京近郊に3つのアベイラビリティーゾーンが存在しています。それぞれのアベイラビリティーゾーンのロケーションは物理的に異なりますが、大規模災害時におけるリージョン全体の被災を想定したディザスタリカバリーには対応しておらず、利用する企業が個別に対応しなければなりません。

一方、Azureのデータセンターは2015年10月現在、世界20カ所にリージョンを置き、その下に複数のデータセンターがあります。同じ地域に偶数のリージョンを配置することで、遅延の少ないディザスタリカバリー環境を容易に構築できることが、Azureの大きな特徴です。日本には2014年に開設された東日本リージョン(東京、埼玉)と西日本リージョン(大阪)の2つのリージョンがあります。それぞれ地理的に離れているので、Azureの中だけで国内限定のディザスタリカバリー環境が構築できます。

日本企業に優しいデータセンターインフラはどっち?

何かあった場合の法的係争はどこで?

オンプレミスでもクラウドサービスでも、いつどのようなトラブルに見舞われ、データ消失などの憂き目に遭うかわかりません。トラブル発生時に双方が納得できる示談が難しい場合、法律に基づいて裁判所で係争することになります。

ただし、グローバルでサービス提供が行われている海外事業者のクラウドサービスでは、簡単な話で済まないこともあります。

アマゾンもマイクロソフトも日本法人はありますが、サービスを提供しているのはともに米国本社です。そのため、日本企業が国内でクラウドサービスを利用する際の契約は米国本社との間で締結します。

しかし、AWSとAzureとは、準拠法と裁判地に違いがあります。

AWSが準拠法としているのは、米国(アメリカ合衆国)ワシントン州法です。また、係争時の管轄裁判所には、米国ワシントン州キング郡の州裁判所となっています。それに対し、Azureでは、日本の法律を準拠法とし、管轄裁判所は東京地方裁判所としています。

実際に係争が起きる可能性は非常に低いと思われますが、法務面を重視する企業はこうした点にも留意する必要があるでしょう。

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