昨今のデジタル化の波に押される形で、ITへの投資を率先して進める企業も多いのではないでしょうか。しかし、IT関連の投資は多岐に渡るため、それらをいかに削減するかという課題は多くの企業で直面していることでしょう。
そこで今回は、知っているようで知らないITコスト削減のポイントを解説します。特にコストカットに有効な「PaaS」活用方法についてもご紹介します。
1.ITコストカットの基本的なポイント
ITコストを削減するためには、さまざまな方法が考えられますが、特に次の方法が基本のポイントとなります。
●既存機器やシステムのムダをカット
ITコスト削減に限らず、コスト削減に有効なのが、ムダをカットすることです。使われていない既存機器やシステムのムダを見つけて、代替すべきものを見つけることがコスト削減の王道です。
●運用コストを重要視して事前に対処
ITコストを考えるときに、初期導入コストと運用コストを検討するものですが、その中でも、初期導入コストにばかり意識がいきがちで、導入後は、コストについて忘れ去られてしまうケースが多々あります。しかし、運用後に人員増し、手間がかかるなどの人的コストや業務負荷が生じれば、運用コストがかさんでしまいます。そのような中でも、かかるであろう運用コストをあらかじめ検討しておき、事前に対策をとっておくことで、運用コストを削減することができます。
●リースや外注の検討
IT機器をリースすることで、初期導入コストの大幅な削減が見込めます。ITの分野は進化のスピードが速いことから、購入ではなく、利用契約を結んで使用するリースをうまく活用するのも一つの方法です。比較的コストを抑えることができます。自社内だけで運用はむずかしい場合には外注を検討することで、運用コスト削減につながることもあります。
●クラウド化の検討
オンプレミス環境のサーバーを、クラウドに切り替える企業も増えています。昨今、進められるリモートワークの推進などを背景に、いつでもどこからでもアクセスできるクラウドサービスの利用が進んでいますが、クラウド化は、比較的、安価に実施できることから、ITコスト全体の大幅な削減につながることもあります。
2.サーバーのクラウド化はITコストカットに有効
ITコストカットの一つとして取り上げたクラウド化の中でも、サーバーのクラウド化はITのコストカットに特に有効な手段です。その理由をご紹介します。
1.初期コストが低く抑えられる
先述の通り、クラウドサービスは「初期契約費用がほとんどないケースが多いのが特徴であるため、初期コストが低く抑えられます。運用コストについては、従量制や月額制などサービスによって異なりますので、自社に合ったサービスやプランを選定することで回避できます。対して、オンプレミスはサーバーを自社で一から構築する必要があることから、初期コストが高額になりがちです。
2.サーバーメンテナンス費用が不要
サーバーの保守やアップデートは、クラウドサービス業者が行うため、利用側としては、料金を払い続けることで負荷はかかりません。これまで自社で保守運用していた場合には、そのコストが大幅に削減できるでしょう。
3.バックアップのコストも低減できる
クラウドサーバーは、簡単な操作でバックアップをすることができるので、バックアップにかかるコストも手間も低減できます。一方、オンプレミスは、バックアップ環境を作るのにコストがかかりますし、手間も時間も要します。
このように、クラウドサーバーの活用は、ITコスト削減に有効です。ただし、サービスによって料金はさまざまであり、料金体系をしっかりと確認した上で利用するのをおすすめします。運用コストの負荷により、ITコスト削減の効果が薄まらないように注意したいものです。
3.コストカットに有効な「PaaS」
特に、昨今はAIを用いたサービスを開発するケースも増えています。そのようなIT環境に投資する場合には、クラウドサービスの中でも特に「PaaS」を活用すること有効です。
「PaaS」とはPlatform as a Serviceの頭文字をとったもので、アプリケーションの開発環境をネットワークを通して利用できるサービスのことを指します。
PaaSを活用することで、ネットワークやサーバーといったインフラから開発環境まで、ゼロから構築する必要がないため、大幅なコストカットにつながります。
多機能がそろっており、それらを活用することで、スムーズかつスピーディーな開発が可能となり、開発時間を短縮することが可能です。サービス開発を滞りなく実施できることで、業務負荷低減によるコスト削減につながるでしょう。
例えば、マイクロソフト社が提供するクラウドサービス「Microsoft Azure(アジュール)」は、PaaSのサービスを含んでいます。
例えば、「Visual Studio」はアプリケーションを簡単に開発、デバッグ、デプロイ、管理、診断するのに必要な機能がすべて備わっていますし、コードをすばやく編集およびデバッグする「Visual Studio Code」もあります。
また、AIサービスが開発できるプラットフォーム「Azure AI」は、機械学習の専門知識を必要とせず、AI機能を開発サービスに追加できるサービスです。
こうしたPaaSを活用することで、開発環境構築のコスト削減につながります。
4.まとめ
ITコスト削減は、多くの企業で急務といえます。そのポイントとなるのが、従来の方法にプラスして、クラウド化し、PaaSを利用することです。これらの方法を駆使して、ITコスト削減を実現しましょう。
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