現在、デジタルトランスフォーメーション(DX)が世界的に進められており、日本でも経済産業省から呼びかけられ、国を挙げて推進されています。
まだデジタルトランスフォーメーションを詳しく知らない、一般的にどのように行われているのか、また、皆さんが使うツールについて知りたい方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、デジタルトランスフォーメーションの概要や進め方、そして適したツールなどを解説します。
1.デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、15年ほど前にスウェーデンのウメオ大学、エリック・ストルターマン教授が提唱した概念といわれています。「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念であり、簡単にいえばデジタルシフトのことを指します。
日本では、経済産業省が策定した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」によると、DXは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」といったように定義されています。
DXを理解するには、ただのIT化・デジタル化に留まらず、企業そのものの仕組みの「変革」を目指すところがポイントです。
2.企業にDX化が求められている理由
現在、DXが日本でも国を挙げて推進されている状況ですが、その推進は急務となっています。その大きな理由として、経済産業省が警笛を鳴らしている「2025年の崖」が参考になります。これは、2018年5月から始まった経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」が出した報告書で出されたワードで、老朽化した既存の基幹システムがDXを推進する上での障壁になり、2025年までにシステムの刷新をしないと、それ以降、年間で最大12兆円の経済損失が発生する可能性があるというものです。この企業が直面するであろうリスクを「2025年の崖」と呼び、早期にDXを進めることが呼びかけられています。
老朽化のほか、複雑化やブラックボックス化も日本企業の課題として挙げられています。
また、昨今は、スマートフォンの浸透による消費行動の変化、デジタル化によるビジネスモデルの急激な変化、新型ウィルスの流行予防策としてのテレワーク化なども背景となっており、DX化により、業務効率化、売上アップ、顧客満足度向上などを進め、新しい状況に合わせてサービス提供のDXを行い、競合他社に打ち勝っていく必要があります。
3.DX実現の途中で直面する課題
しかし、DXの実現はそう簡単なものではありません。日本企業においては、実現の途中でさまざまな課題に直面するといわれています。主に次のような課題が挙げられます。
3.1 結果が出るまで時間がかかるため長期的な視点が必要
DX化は、ただデジタルツールを導入すれば終わりではありません。企業の基幹システムや業務用システムの刷新から新ツールの導入まで、企業全体のシステムを変革する必要があります。その変革を行うにも、結果が出ることを待つにも時間がかかります。長期的な視点を持って、早々と、また地道に続けていくことが必要となります。現行業務と並行して行う必要があるため、時間がかかることは一つ目の課題です。
3.2 人材・モノ・資金の大量な投資を要する
現在、日本企業のIT関連の予算は、既存システムの維持費に当てられているといわれています。これまでのIT関連の予算を正しく人材・モノ・資金に対して投資していく必要があります。また、大量な投資となるため、予算が見合わないという課題もあります。
3.3 DX推進の人材不足
DX化は、当然のことながら新しいソリューションをどのように導入するかを考えなければいけないため、システム周りの知識を理解している人材が必要です。しかし、人手不足といわれる中、社内にそうしたIT人材が不足しているのが多くの企業の課題といえます。
4.DX化を成功させるためのツールの選び方と進め方
これまで解説してきたように、DXを進めるのには課題が多く、一つ一つ突破していく必要があります。共通する課題もあれば、各企業自体の独自課題もあり、企業によって異なるため、企業ごとに自社の状況を具体的に分析し、対策を実施する必要があります。
本文では、一般的な企業が直面する課題を解決する進め方、そしてそのDXを成功させるツールを解説します。
4.1パブリッククラウドの活用
DX化を短期間かつ低コストで実施するために、最適といわれているのが、クラウド製品を活用することです。中でも、広く一般企業様向けにインターネット経由で提供している「パブリッククラウド」を導入することが有効と言われています。
パブリッククラウドの導入は、専用のハードウェアなどを調達する等の初期導入費用、調達期間等が一切なく、一度契約してしまえば、利用したいユーザーが必要な時に必要なだけ、自由にサーバーやネットワークリソース、クラウド上のその他サービスを自由に使えるシステムです。まだこれからどのようにDX化を進めるか、具体的にどのサービスを利用するか分からないが、パブリッククラウドの契約をし、インフラ環境をクラウドで整えることを自社DXの第一歩にする企業が多いと言われています。
最近のパブリッククラウドサービスは柔軟性が高く、カスタマイズしやすい上に、高度なセキュリティを備えていることも多くなっています。
働き方の変革により、標的型攻撃等も増えている中、セキュリティも担保されるパブリッククラウドはDX化に最も適している方法の一つといえます。
4.2組織の正しいDX化の方法
DX化を進めるには、ただクラウドの導入、ツールの導入等ものを変更するだけではうまくいきません。組織全体がDXを推進し、人的対策を合わせて実施する必要があります。具体的には下記の3点が最も重要です。
・経営戦略・ビジョンの策定
DX化を成功させるためには、組織全体が一丸となって進めていくことが重要です。経営トップが経営戦略やビジョンを明確に策定し、いつまでに何を目標にし、いつまでに最終的にDX化をやり遂げるということを組織内に呼びかけることが重要です。
・DX推進部門などの設立
経営戦略やビジョンに基づき、実施していくには、業務の合間の片手間ではなかなかむずかしいところがあります。できればDX推進部門などを設立して、集中して取り組む体制づくりも重要です。そうした専門部門が、PDCAを回して地道に推進していくことが重要です。
・DXを推進できるIT人材の確保と育成
DX推進部門に配置するIT人材を採用、育成することも必要です。人手不足といわれるのですが、いかに優れた人材を得て、育成していけるかがDXの成功のポイントとなります。
5.まとめ
デジタルトランスフォーメーション(DX)の基本や必要性、DX化を成功させるためのツールの選び方と進め方を解説してきました。重要なポイントは、パブリッククラウドでインフラを整え、その他の効率的なツールを導入することも重要であれば、組織が一丸となって進めることがDX成功のカギです。
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