AI(人工知能)の活用が各業界で進められているのを知り、これからビジネスに利活用していく予定がある事業者の方も多いのではないでしょうか。そこで改めて、AIのメリットとデメリットを確認しておくのも有効といえそうです。今回は、メリットと活用の具体例について、デメリットとなる課題を解決する方法も合わせてご紹介します。
1.AIとは
AIとは、「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」を略した言葉で、日本語では「人工知能」を指します。人間の言語の理解や認識、推論などの知的行動を、コンピュータに行わせる技術です。
AIと一口に言っても、時代の流れの中で発展してきました。近年のAI活用事例のほとんどは、AIの特徴であるディープ・ラーニングと自然言語処理を用いたものとなります。
ディープ・ラーニングとは深層学習とも呼ばれるもので、AIが自動的にデータ学習する「機械学習」の手法の一つです。人間の神経細胞(ニューロン)の仕組みを模したシステムであるニューラルネットワークをベースに、多層(ディープ)による学習によって段階的に深く学習することが可能です。
自然言語処理とは、人間が日常的に使っている言語を対象とした大量のテキストデータをAIが分析する技術です。
AIは、データを用いた反復型の学習と判断を自動化することができます。また深い分析が可能で、正確性を維持し、データを膨大な量かつ最大限に利用できるのが特徴です。
2.AIを企業が導入するメリットと具体例
AIを何らかのビジネスや業務に対して導入するメリットを、具体例と共にご紹介します。
●業務効率化で人材不足を解消・顧客満足度向上
従来、人が行ってきた業務をAIが代わりに行うことで、省人化と同時に業務効率化を実現します。
【具体例】
例えば、AIチャットボットをホームページ上に設置し、人に代わって一次の問い合わせ対応を行うことができます。随時に対応できるため、人の対応より対応スピードが早く、利用者の満足度も上がります。AIは会話内容を学習していくことから、ユーザーに使用されるたびに精度が上がっていきます。AIチャットボットの設置により、一部の問い合わせはそのまま解決するため、人が対応するケースは減ります。AIで解決できない問題に関してはオペレーター対応で解決できます。
●生産性・業務品質向上
AIは業務の質を一定に保つことができることから、生産性向上や業務品質向上も期待できます。
【具体例】
例えば、Microsoft Azureの一つのサービスであるプラットフォーム「Azure OpenAI Service」を利用すれば、ChatGPTと同じ対話型AIの大規模な自然言語処理モデル「GPT-3.5」、そしてもうワンステップ進化した「GPT-4」などのモデルを利用することができます。一般業務においてChatGPTのような形でテキストの要約を行うこと、または情報調べて文書を自動的に生成することも可能です。さらにMicrosoft 365のCopilotと連携し、プレゼンテーション資料を作成することも可能になります。ただ業務を自動化するだけでなく、わかりやすく見やすい資料が作成できる見込みがあったり、人が他のコア業務へ集中できたりすることで、生産性や品質向上が期待できます。
関連記事:Azure OpenAI Serviceとは?概要やChatGPTの利用についても解説
●ミスや事故の減少と安全性の向上・労働環境の改善
AIは人間に生じる見落としや勘違いなどのケアレスミスを削減します。活用用途によっては事故を予防し、安全性の向上や労働環境の改善にもつながると考えられます。
【具体例】
製造業において、AIを製品の異常検知に活用することで、人による検品の見落としを削減できます。また人間が立ち入りにくい場所の点検作業をAIが担うことで作業員の安全を確保できます。
●人的コスト削減
従来、人が行ってきた作業をAIが代替することによって、人的コストの削減につながります。
【具体例】
これまで目視確認が必須だった製造業などの点検業務の自動化することにより、これまで担っていた作業員を削減できたり、他の業務にリソースを充てることができたりすることで、コスト効率が良くなります。
●高精度なデータ分析・予測
AIは人間の判断ではむずかしい大量かつ高精度なデータの分析や予測を得意とすることから、さまざまな分野で役立てられます。
【具体例】
小売業においては、売上実績と在庫数のバランスを取りながら最適な仕入れを行う必要がありますが、人の勘や経験に頼っていると、どうしても欠品や過剰在庫が起こってしまいます。そこでAIにあらゆるデータを学習させることで、従来のように売れ行きだけではなく、環境の条件まで分析に入れ、高精度なデータ分析と需要予測が可能になります。AIの分析・予測を入れることにより、常に適正在庫を保つための仕入れを実現するために活用されている例があります。
●遠隔コミュニケーションを促進
AIが人に代わって接客ができることは知られていますが、人が接客をサポートする場合、その場にいなくとも遠隔からの参加も可能になるため、遠隔コミュニケーションの促進にもつながります。
【具体例】
AIを搭載したヒューマノイドロボットによる遠隔接客は、その代表的な例です。子育て世代や身体に障害を抱える人など、距離や身体的な問題によって現地へ行けない働き手がAIを搭載した遠隔操作型分身ロボットを遠隔から操作するといった接客方法が行われています。
3.AIを企業が導入するデメリット・課題
AIは導入するメリットが大きい一方で、デメリットもあります。そこでデメリットと共に、企業が導入する際に課題を解決するための対応策を合わせて確認しておきましょう。
●単純作業の多い職業の雇用減少
AIは人間が行う単純な定型作業も代わりに担うことができますが、人的コストを削減できるだけでなく、職業自体が不要になり、雇用が減少する懸念があります。
【対応策】
AIの普及で、単純作業を行う職業は需要が減る一方、需要が高まる職業もあります。例えば、AIを活用できるシステムエンジニアやAIに通じたデータ分析のスペシャリスト、AIをビジネスに活用する際のコンサルタントなどが挙げられます。対応策として、このようなAI活用人材を社内で育成し、一部の社員をAIを扱える社員に育て、雇用を減らすのではなくジョブをスイッチングさせることも一案です。
●情報漏洩のリスクが増大するため管理負荷が高まる
AIを活用するツールなどには、AIが活用するデータや分析結果など膨大なデータが蓄積されていきます。そのデータには機密情報が含まれることがほとんどであるため、情報漏洩対策は徹底しなければなりません。これまで以上に、セキュリティ管理の必要性が増し、管理負荷が高まる恐れがあります。
【対応策】
対応策としては、セキュリティの専門家へ相談したり、管理を外注したりする方法や、社内でリスク管理マニュアルの整備や管理体制の構築を新たに行う、セキュリティ人材を社内で育てるといった方法も考えられます。
●責任の所在が不明確
AIを活用してビジネスを行う際に、万が一、トラブルが生じた場合には、AIの判断によって行われた事柄において、責任の所在が不明確になることがあります。
【対応策】
現状、日本にはAIの判断によって生じるトラブルの責任の所在に関する法律などは作られていません。そのため、AI活用前に社内で対応方法を検討しておくことが重要です。
●ブラックボックス化
AIは人間にはできない高精度な分析が可能ですが、どのような思考プロセスで判断結果が出たのかを人間には把握できません。このような状態をブラックボックス化と呼ぶことがあります。AIの判断はすべてが「正しい」とは限りません。現時点では安全性、倫理、法的な規制などが考慮されていないことが多いためです。
【対応策】
解決策として、AIの思考プロセスを可視化するソリューションの利用が考えられます。例えば、AIがどのような経緯で答えを導き出したのかを説明するAIシステムが実際に存在し、活用されています。
4.まとめ
AIのメリットとデメリット、活用例をご紹介しました。AIはこれからビジネスへの活用可能性は多分に広がっています。課題を解決しながら、AIの活用を進めていきましょう。
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