2024.01.31

ビジネスの現場で活用できる真のスクラム実践を。Scrum.org™がトレーニングと認定資格の提供で目指す世界

村尾唯
株式会社ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック マーケティング担当
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2023年11月、北米やヨーロッパを中心にスクラム関連のトレーニングと認定資格を提供するScrum.org™の代表・デイヴ・ウエスト氏が来日し、SB C&S本社を訪問しました。

これまでは英語の同時通訳によって研修を提供するケースが多くありましたが、最近では日本語話者による研修実施も増え、日本国内へより広く、スクラムの価値と革新的な働き方を届けることを目指しています。

Scrum.org™が提供するトレーニングと認定資格の特徴について、デイヴ・ウエスト氏とトレーナー陣に詳しく聞きました。

 

デイヴ・ウェスト/CEO, Scrum.org™ (見出し写真左から3人目)

 IBM/Rational社在籍時はRational Unified Process(RUP)の開発を主導。その後コンサルティングを経て、Ivar Jacobson Consultingの北米支社を統括。Forrester Research社でVPとリサーチディレクターとして活躍し、ソフトウェア開発とデリバリープラクティスに従事。Scrum.org™に加わる前は、Tasktop社でChief Product Officerとして製品管理、エンジニアリング、アーキテクチャを担当した。数多くのカンファレンスで基調講演を行い、記事や研究報告も多数執筆している。手がけた書籍「Head First Object-Oriented Analysis and Design」は高い評価を受け、新しいソフトウェアモデリングやアプリケーション開発プロセスの構築に貢献。

世界認定者90万人超えのスクラム関連トレーニングを提供するScrum.org™

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----はじめに、Scrum.org™はどのような団体なのか教えてください。

 

デイヴ氏:Scrum.org™は、スクラム共同開発者であり、スクラムのバイブル的存在「スクラムガイド」著者のケン・シュエイバー氏が2009年に設立した団体です。

複雑な問題に直面する組織やチームの働き方を「プロフェッショナル・スクラム」の考えをもとにアップデートさせていくことを使命に立ち上がりました。Scrum.org™が掲げるプロフェッショナル・スクラムには、スクラムのフレームワークや方法論だけでなく、マインドセットやふるまい方など、スクラムを実践する上で不可欠な要素が網羅されています。

団体の立ち上げ直後より、マイクロソフトなどの大企業を中心にスクラムチーム支援と開発者向けのトレーニングコース開発を行ってきました。

現在は、ヨーロッパを中心とする世界44か国で、スクラムマスターやプロダクトオーナー向けのトレーニングや認定資格、継続学習のためのコンテンツを提供しています。また、各種トレーニングの講師を務めるプロフェッショナル・スクラム・トレーナー(以下、PST)が全世界に約370名在籍しています。

近年では日本国内でも認知度が広まりつつあり、日本語話者のPSTによるトレーニングの受講も可能です。

※2024年1月現在、認定資格試験は英語表記かつ自動翻訳利用可となっています

スクラムは世界各国で普及が進んでいますが、単にスクラムを実行して物事を早く完了させることではなく、スクラムの考えによって、顧客に対していかに価値を創出できるかが重要です。私たちScrum.org™は、その点に寄与する学びを提供したいと考えています。

他のアジャイル・スクラム団体と異なる3つの特徴 

----アジャイル・スクラム関連のトレーニングや認定資格を提供する団体は複数ありますが、Scrum.org™の特徴として、どのような点があげられますか?

 

デイヴ氏:大きく3つあります。1つ目は、提供トレーニングの品質管理に力を入れていることです。教材やトレーニング内容が講師によって異なるスクラム研修が多い中、Scrum.org™では認定を受けた世界共通の教材を使用する点が大きな特徴です。また、各コンテンツのバージョン管理も厳格に行い、継続的改善に努めています。

2つ目は、トレーニングと認定資格をそれぞれ独立させて提供していることです。スクラムマスターの役割と効果的なふるまいを学ぶ「Professional Scrum Master™(PSM)」をはじめとする認定資格は、トレーニングを受講せずに試験のみ受講することも可能です。試験対策のためのトレーニングではなく、スクラムマスターやPOが現場で効果的なふるまいができるように、実践的なトレーニングの提供に価値を置くという考えから来ています。

トレーニングと認定資格をセットで提供する場合は、企業のビジネスモデルや提供サービスに合わせた内容のカスタマイズも行っています。

3つ目は、コミュニティの運営に力を入れていることです。Scrum.org™のウェブサイト上で運営するコミュニティブログには全世界から多くのアクセス数を誇り、PSTを含むコミュニティメンバーとの双方向なコミュニケーションを図っています。

トレーナー認定のプロセスと研修事例の紹介

----続いて、研修講師を務めるOptilearn社のライアン氏、アレックス氏に話を伺います。PSTは、どのようなプロセスを経て認定されるのでしょうか?

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プロフェッショナル・スクラム・トレーナー(PST)を務めるライアン氏(写真中央)、アレックス氏(写真左)

 

ライアン氏:PSTになるためには、厳正な審査をパスする必要があります。

現場でのスクラム実践経験が豊富なこと、スクラムへの深い理解を持っていること、初心者から上級者まで幅広い受講者に対応可能な"教える"スキルを有していること、これらすべてを満たす人材のみがPSTとして活動できます。小論文の提出、インタビューやPST候補者同士のピアレビューなど、実に24もの認定ステップをパスしなければなりません。

もともとソフトウェア開発現場向けの手法として生み出されたスクラムですが、近年ではビジネス現場に所属する受講者も増えてきました。旅行会社、医薬品メーカー、保険会社や銀行などの金融機関、官公庁など幅広い企業・組織に対して研修を提供しています。

 

アレックス氏:私たちPSTは、スクラムを教える"講師"という立場にとどまらず、スクラムを効果的に実践してもらうための"コンサルタント"の役割も果たすことを意識しています。

「Professional Scrum Master™ (PSM)」では、基本的なスクラムのフレームワークや用語について解説するほか、ケーススタディに取り組む時間も多く用意しています。

その中では、「事業の本質的な価値とは何か」「どのように価値を提供するのか」「ユーザーストーリーにもとづいたテスト計画ができているか」といった、所属組織のビジネスに即したテーマでのディスカッションを行うことも多いです。

繰り返しになりますが、スクラムの実践はあくまでも手段の一つです。受講者の皆さんがビジネス現場でより高い価値を創出できるよう、研修の提供を通じてサポートできれば幸いです。

Scrum.org™のトレーニングを受講するには

「Professional Scrum Master™ (PSM)」をはじめとするScrum.org™の各種トレーニングは国内での受講が可能です。詳しくは各社のウェブサイトをご覧ください。

関連リンク

ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック

Optilearn

Scrum.org™ 公式サイト

この記事の著者:村尾唯

株式会社ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック マーケティング担当

2022年1月より現職で、社内コンテンツ制作やイベント企画運営を担当。複業でフリーランスライターとしても活動中。 


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