基幹システムでのRed Hat Ansible Automation Platform活用例
SAP S/4 HANAの高速デプロイ
はじめに
みなさん、こんにちは。レッドハット株式会社の石倉と申します。
本記事でRed Hat Ansible Automation Platform(以下Ansible)の活用方法について紹介いたします。
Ansible概要
AnsibleはIT自動化ソリューションです。
これまでITエンジニアが手動で対応していた、Day1の構築作業、Day2の運用内での構成変更、構築、運用変更後の動作確認、あるいは、日々のログ確認、情報収集作業などを、Playbookという形で自動化するソリューションになります。
大きな特徴としては、対象を選ばないこと、OSはLinuxやWindows、また、各種Network機器、パブリッククラウドの自動化も可能ということです。
ここでは、Ansibleを活用した、基幹システムバージョンアップ時に必要となるデプロイ作業の負荷軽減方法などお伝えできればと思います。
既存SAP社ERPソフトウェアのサポート終了
SAP社のERPソフトウェアのサポート終了問題についてご存知でしょうか。
簡単にまとめるとSAP社のERP製品である「SAP ERP 6.0」の標準サポートが2027年に終了します。日本国内で約2,000社が導入していると言われており、サポート終了の影響度は大きく導入企業は何かしらの対応に迫られています。
本記事を読んでいる方の中には、バージョンアップ計画の立案や、バージョンアッププロジェクト推進を担当されている方も多いのではないでしょうか。
具体的な対策として、
・新規SAP社ERPソフトウェアのSAP S/4HANAに移行する
・他社のERP製品に切り替える
・標準サポートなしで継続する
といった選択が考えられます。
SAP S/4HANAへの移行を検討する場合、現行のSAP社ERPソフトウェア(ECC)では、マルチプラットフォーム、マルチデータベースでのサポートがされていましたが、SAP S/4HANAではプラットフォームサポートが大きく限定されております。このため、担当者はプラットフォームアーキテクチャーの見直しに迫られ、変更作業の負担がかかります。
そこでAnsibleを活用することにより、変更されたプラットフォームに対してのITエンジニアのタスクの軽減が可能になります。
基幹システムでの活用例
具体的には、現在人の手で行っているSAP S/4HANAデプロイ作業を、Ansibleで自動化していきます。
SAP S/4HANA向けに用意されているロール(Playbook内で実行されるタスクをパッケージ化したもの)には、
- Red Hat Enterprise Linux(RHEL) for SAP Solutionsサブスクリプションに含まれるもの
- コミュニティにより開発が進められているもの
の2種類があります。
RHEL for SAP Solutionsサブスクリプションに含まれるロール一覧を以下にまとめます。
※これらはRed Hatによりサポートが提供されています。
(詳細はコチラ)
本ロールを活用することで、SAP S/4HANAのインストール前提として必要となる事前作業の省略化が可能になります。
また、サポートの無いコミュニティ版とはなりますが、SAP S/4HANAのデプロイに必要となるその他の作業もロールとして提供がされています。
(詳細はコチラ)
デプロイ作業が自動化されることにより、プロジェクトフェーズに応じて段階的にデプロイされる開発、検証、本番など、複数インスタンスで設定内容の差異を防止し、サンドボックス環境のように定期的に再構築が必要となるSAPインスタンスがPlaybookで何度でも容易にデプロイが可能、といったメリットがあります。
(Ansible Towerのインベントリで変数を設定した例。変数により、環境固有の差異を吸収します。)
この他にも、日々の大量の運用業務で発生している基幹システム全体のIT作業をAnsibleで自動化することで、作業品質が担保でき、作業時間が省力化できるなど多くのメリットを享受できます。
おわりに
いかがでしたでしょうか。今回ご紹介したAnsible含め、Red Hatが提供するその他基幹システム向けのソリューションの詳細については下記URLをご参照ください。
関連リンク
この記事の著者:石倉大基
テクニカルセールス本部 シニアソリューションアーキテクト
2018年にレッドハット株式会社に入社。技術営業としてエンタープライズビジネスの立ち上げに従事。直近では主にSAP社ソフトウェアで活用できるレッドハットソリューションの啓蒙活動を実施しています。
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