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自治体におけるMicrosoft 365の利活用紹介

Microsoft 365
    2023.09.15

    みなさんこんにちは。SB C&Sで技術支援を担当している萩原です。
    最近お問い合わせの多い自治体でのMicrosoft 365の活用方法や、利用方法及び導入時に検討するべき事項(利用機能やセキュリティ対策)について、2回にわたってご紹介いたします。

    今回は、自治体におけるMicrosoft 365の活用事例についてご紹介いたします。

    Microsoft 365について

    Microsoft 365は、ご存じの通りクラウド版のMicrosoft Officeです。イメージ的には、ただのWordやExcelがクラウドからバイナリが提供されるだけというイメージがあるかもしれませんが、もしそうであれば、それは大きな間違いです。
    Microsoft 365は、組織の業務を変えるツールや、場所にとらわれない働き方を実現するための新しいセキュリティの考え方が実装されています。

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    では、具体的にどのようなシーンでMicrosoft 365が効果的に利用できるかについて、具体的な事例をいくつかご紹介します。

    SharePointを利用したファイルの同時編集

    ファイルサーバーに置いているExcelファイルを同時に編集しようとすると、誰かが先にファイルを開いている場合、その人がファイルを閉じるまでは読み取り専用としてしか利用ができませんでした。Excel台帳での管理で多くの人が同じExcelファイルを利用する場合、誰もファイルを開いていない時間を推測しながら開いたり、誰かがファイルを開いたまま離席したりすると、その間他の人も業務が止まるなど非効率な状況が発生します。
    Microsoft 365とSharePointの機能を利用すれば、Web版Excelでもクライアントインストール版Excelであっても、同時に複数人でファイルを開き編集を行うことが出来ます。
    特定のセルに対して、担当者などに確認事項などを入れたい場合は、コメント内にメンションを入れることで、相手に確認を求めることができます。(メンションされた相手は、コメントの内容がメールで通知されます)
    また、Microsoft Excelですので、細かく格子状に設定されたセルで構成されたシートであっても、表示ずれやレイアウトが壊れることなく正しく表現できます。

    ▼複数人同時編集はもちろん、コメントで特定の相手にメンションも可能です
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    Teamsを使ったコミュニケーションハブの実現

    従来まで内線やメールでのコミュニケーションが中心でした。内線電話は、自分のデスクでないと会話出来ません。また基本電話は、1対1であり、複数人と同時に会話することはできません。メールでのやりとりの場合、添付ファイルを使った往復のやりとりは非効率かつ手間のかかるものでした。
    Teamsを利用すれば、複数人に対してチャットで会話することができます。会話の履歴もチャットであれば残りますし、先程のSharePointの機能を利用して会話しながら、お互いに1つのExcelやWord等のファイルを同時に編集を行うことが出来ます。
    必要に応じてビデオ会議を行うことが出来ますので、文字ベースでは伝わらない内容や、複数人で顔を合わせて同時に会話した方が早い内容の場合、同じ画面上からすぐにビデオ会議が開始可能です。
    支所・本庁での定期会議などの開催も、わざわざ本庁まで集まることなくそれぞれの赴任場所で直接会議に参加することが可能です。
    また、Intuneを利用しMDM/MAM(デバイス/アプリケーション管理)を活用することで、職員個人のスマートフォンで、セキュリティを担保(情報のやりとりの制限)しながらTeamsの利用などが可能です。出張時や災害発生時の安否確認など職員が庁舎にいない時に連絡を取り合う必要がある場合に、活躍できます。


    Powerシリーズを使った手軽なDXの実現

    DXと聞くと、デジタル化するために大がかりなシステムを導入したりコンサルを入れたりといったハードルの高いイメージがありますが、Microsoft 365は、もっと身近で手軽な業務のデジタル化と業務改善を行うことが出来ます。
    例えば、お問い合わせをメールで受け付けていた場合、それをMicrosoft Formsで入力形式を作成することで、名前や連絡先など、必ず問い合わせ時に必要な情報を入力必須にすることができます。入力されたデーターは、ExcelやSharePointのListsなどで管理することができ、あとから問い合わせの統計を取ることも簡単にできます。
    例えば、問い合わせの内容種別をドロップダウンで選択できるようにフォームを構成し、Power Automateの機能を使って、問い合わせの種別に応じて担当の部門に自動に振り分けて担当者に問い合わせ内容を通知することも可能です。
    また、簡易的な決裁機能などもあり、例えば、上司への休暇申請などの簡易な申請内容について、許可・却下などをフローとして組むことができます。

    ▼様々なテンプレートやアクションを使ってマウス操作で自動化ができます
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    Officeライセンスのコストダウン

    非クラウド版のオンプレミスライセンスであるOffice LTSCは、デバイス毎のライセンスとなります。自治体の三層分離の場合、マイナンバー利用事務系、LG-WAN系、インターネット系と3系統のパソコンが存在している場合、それぞれにOffice LTSCライセンスを手配する必要があります。例えば、500ユーザーの規模で、マイナンバー利用事務系の端末が300台、LG-WAN端末が500台、インターネット系端末が200台ある場合、それぞれの環境でOfficeを利用するとOffice LTSC 2021を1000ライセンス手配する必要があります。また、現行最新版であるOffice LTSC 2021は、5年間のサポート期限と設定されており、2023年9月現在、サポート期限は、「2026年10月13日」までとなっています。つまり、今年Office LTSC 2021を購入しても、サポートされるのは、3年後までとなります。それ以降は、ソフトウェアアシュアランス(SA)の契約が継続されていれば、バージョンアップが可能である可能性が高いですが、SAがない場合は、サポート期限切れ状態のまま利用を続けるか、Microsoft Officeのライセンスの買い直しを行いバージョンアップを行っての利用が必要となります。
    (参考)Windows および Mac 用の Office 2021 および Office LTSC に関する FAQ

    一方、Microsoft 365は、ユーザーライセンスとなります。そのため1ユーザーが3台端末を保有していてもライセンスは1となります。Microsoft 365では、最大15台のデバイス(PC5台、スマートフォン5台、タブレット5台の計15台)を1ライセンスで利用することができるため、端末毎にライセンスを手配するオンプレミス版ライセンスよりも経済的な手配ができます。
    また、Microsoft 365は、クラウド版のため定期的に新しいバージョンがリリースされ、アップデートが可能な端末は、自動的にアップデートが行われ常に最新のOfficeを利用することができます。脆弱性情報の都度確認や煩わしいWSUSの調整も不要です。

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    まとめ

    Microsoft 365は、WordやExcelなど身近なアプリケーションでありつつも、業務改善や新しい働き方を支援するクラウドプラットフォームです。
    Officeを使うなら従来のオンプレミスライセンスよりもクラウドライセンスであるMicrosoft 365を利用する方が、業務面でもコスト面でもメリットが出てくる側面があると思います。WordやExcelだけのOfficeスイート製品だけの利用で、Microsoft 365を利用することはもったいないです。
    最近では、多くのOffice互換ソフトウェアがリリースされていますが、ただのWord/Exce/PowerPointの互換製品を利用するだけでは、業務の改善や改革は、できないと思います。Microsoft 365を活用して豊富な機能を利用することで、自治体業務にもデジタル化や業務効率化そして、総合的なコストダウンができると思います。

    自治体にMicrosoft 365を導入検討する際は、以下の記事も参考ください。

    著者紹介

    SB C&S株式会社
    ICT事業本部 技術本部 第3技術部 2課
    萩原 隆博 - Takahiro Hagiwara - (Nutanix NTC)

    HCIを中心とした仮想化とMicrosoft 365のプリセールスエンジニアを担当しています。
    Nutanix Technology Champion 2018-2024