2017.12.01

DevOps Enterprise Summit 2017で発表された、ユーザー企業事例(第1回)

加藤学
ソフトバンク コマース&サービス株式会社
テクニカルフェロー
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今回は、11月13~15日にサンフランシスコで開催されたDevOps Enterprise Summit 2017へ参加してきましたので、その内容を報告いたします。本記事では基調講演で登壇されたユーザー企業のプレゼンをベースに全体の所感について書いていきたいと思います。

(上記写真は、昨年のDevOps Enterprise Summitの写真です。)

DevOps Enterprise Summit 2017とは?

今年で4年目になる、DevOps Enterprise Summit (以下DOES ドーゥス)はエンタープライズと入っている名前の通り、DevOpsを実践している企業が自分たちの進め方や現状の状況、失敗談などのユースケースを共有する場として世界中から多くのユーザー企業、周辺ベンダーが集まります。

また、こういったカンファレンスの開催は、デジタルトランフォーメーションと言われて久しいですが、ITを差別化の方法として捉え、このITをどんな形で効率よく実践できたか、できなかったか、今後どうしようと考えているのかを、業界をリードするユーザー企業が積極的に情報発信することで、特定の業界のみならずその垣根を超えた新しい仕組みづくり、オープンイノベーションを推進して行こうという背景があると思います。

今回のイベント企画運営は、アメリカ合衆国オレゴン州ポートランドにある企業 IT Revolution社によって行われています。運営側からカンファレンスの参加者への行動指針(Code of Conductとも言います)は、「Listen | Share | Respect | Speak Up」というものでした。 つまり、参加者同士が、耳を傾け | 情報を共有し | 敬意を払って | 意見を交わすことが重要だと。朝7時過ぎにもかかわらず、朝食会場では多くの方々とラウンドテーブルで意見交換をさせていただき、北米の方々をはじめとした、ヨーロッパ、南米、アジアからの参加者の前向きな姿勢を非常に強く感じました。


171207_kato_01.jpgラウンドテーブルの様子

全体の参加人数は1,400人程の参加者となり、大手ベンダー系カンファレンスに比べると少ないですが、小さいながら熱量の大きい、熱狂に満ちたカンファレンスだと感じました。 それでは早速、内容について見ていきましょう。

「DeepDive into Devops」

司会進行として、The Phoenix ProjectやThe DevOps Handbookの著者であるGene Kimが登場しました。


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司会進行役のGene Kim氏

まずカンファレンス全体のテーマとして紹介されたのは、「DeepDive into DevOps : DevOpsを深掘りしよう!」で、すでに米国では多くの企業がチャレンジしているDevOpsのプラクティスをより深掘りしていこうというメッセージが込められていました。Geneが進行をし、事例紹介として各企業のスピーカーが紹介されるというスタイルで基調講演が進んでいきます。基調講演3日間を通して、多くの企業が登壇しました。(以下時系列での抜粋)

一例として、はじめに登場したCSG International(以下CSGI)の事例の紹介をしたいと思います。CSGIは、携帯電話などの通信サービスの事業者(キャリア)向けにBSS (Business Support System)と呼ばれるいわゆる課金や顧客管理ソフトウェアを提供している、設立35年のITサービス企業です。ビジネスも堅調で、2012年からの5年間でCSGIが提供するプラットフォームへのAPIコール数は、当時と比べると433%まで増加し、4,000TPSまでのリクエストを受けるプラットフォームに成長しました。この成長を支えた活動であるDevOpsに本格的に着手したのは2014年で、その段階では、彼らがAgile Transformationと呼んでいる初期DevOpsプラクティスを実践していました。具体的には、CI (Continuous Integration :継続的インテグレーション)や、インフラストラクチャを自動化していく動きです。この結果は顕著に現れ、2012年から比べるとリリースインパクトで劇的な変化が現れていました。


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一方、状況が変わらないこともありました。上段に表示されている月間インシデント数は、当時から変わらず2017年初頭まで1,400〜1,600インシデントの間をウロウロしていました。しかし、状況が変わったのは、彼らが行ったService Owner Modelを採用した後でした。結果、月間インシデントが半分程度まで減ったのです。このService Owner Modelは、従来のプロジェクトに重きをおいた組織から、サービスオーナーと呼ばれる、エンドツーエンドの開発工程、運用、SLA、顧客体験や事業としての価値創造までを一貫して見られるT-shaped Leader (つまり非常に広い視点やスキルを持った人財)を製品もしくは、サービスのまとまりごとにSOとして配置して運用する方法です。


171207_kato_04.png
これは、開発の流れと知識共有の効率性を重視した、プロダクト/サービスを基準に置いた(プロジェクトではない)運用方法であるとも言えると思います。こういった体制を取ることで、プロセス面では、SAFe (Scaled Agile Framework 大規模アジャイル開発フレームワーク)や、ITILなど、開発と運用別々に存在している枠組みを一緒に扱い、一緒のバックログに入れることで、全体の投資バランスが取れ、毎日の継続的な活動とフィードバック、サービス改善が得られるというメリットもあるそうです。


171207_kato_05.png
CSGIの発表は、人・組織やプロセス的な側面からの事例発表でした。人、文化を変えていくということは容易なことではなく、人事部門も巻き込んで密に連携して、オペレーション構造や職責の改革を継続的に行っている良い例だと感じました。

おわりに(次回予告)

今回は、CSGI社のプレゼンをベースに情報共有いたしましたが、他にも多くのユーザー企業が自社の活動を共有されていました。それぞれ個別のユースケースの深掘りは次回以降に随時まとめて行きたいと思いますので、お楽しみに!

日本でのDevOpsは北米から見ると4年、5年遅れていると言われていますが、少しでも皆さまのチャレンジに貢献できるように情報発信していきたいと思います。
早く情報を知りたいという方は、YouTubeチャンネル、DropboxとGitHubに一部の動画と資料が投稿されていますのでご参照ください。(英語)

この記事の著者:加藤学

ソフトバンク コマース&サービス株式会社
テクニカルフェロー

エンタープライズ領域での開発から運用監視までの幅広い業務経験を活かし、事業開発やマーケティングチームと一緒になってビジネスの立ち上げを行っている。日本とアメリカ、特にシリコンバレーへ滞在し、新規プロダクトの発掘調査や国内外の新規パートナーリクルーティング、技術戦略、ポートフォリオの策定など、技術をバックグラウンドにしたさまざまな活動を行っている。最近では、DevOpsを始めとした開発者向けビジネスの立ち上げを行い、プロジェクトの責任者として慌ただしい日々を送っている。


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